だいぶ、その名が浸透してきた「ピロリ菌」。
正式には「ヘリコバクター・ピロリ」
日本人のピロリ菌感染者は、約3500万人で、10~20歳代の場合、20%前後でありますが、年齢が上がるにつれ高くなり、50歳以上では80%程度といわれています。
これには、上下水道の整備が十分に完備されていなかった昔の衛生環境が影響していると考えられています。
また、ほとんどが、胃の中の酸性度が低い幼児期に感染し、一度感染すると除菌しない限り、胃の中に住み続けるといわれているのです。
感染が続くと、感染の範囲が胃の出口から入り口まで広がり、慢性胃炎がすすんでいきます。悪化すると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、さらに胃がんを引き起こすことがあることがあきらかになってきています。
このピロリ菌の除菌はどのような流れになっているのでしょうか。
まず、除菌療法の対象になっているか確かめます。その上でピロリ菌に感染しているかどうかの検査を行い、菌がいる場合には、除菌を行うことになります。
除菌には3種類の薬が使われます。抗菌薬2種類と胃酸の分泌を抑える薬1種類を1日2回、7日続けて飲みます。そして4週間以上経過後に再度菌がいないか検査をします。
ここで菌がいなければ「除菌成功」ということになります。
除菌が成功すると、その後の胃がんリスクも下がりますが、まったくゼロになるということではありません。
子供のころに感染して長い年月が経つ間にがんの病変ができている可能性があるからです。
そのため除菌をしたあとも、定期的に内視鏡検査を受信することが薦められています。