いよいよ最終段階。高齢期の栄養の取り方について考えていきます。
(1)からだの変化
壮年期から高齢期にかけてさまざまな生理機能が減退し、老化現象が現れてきます。老化の速度は生活のあり方で個人差があります。
したがって、少しでも老化現象進行の防止を図り、健康を維持していくためにも適正な生活を心がけなければなりません。
高齢期は中年期よりも基礎代謝が低下し、運動量も減ってくるため、食べたいだけ食べる食習慣をしていると肥満を招きます。
またやせすぎも感染症にかかりやすくなります。
肥満度が中程度の人の死亡率がもっとも低いため。自己の標準体重よりもやや高めを維持するように食事の調整と運動をすることが肝要です。
味を感じる味細胞の変化によって高齢期は味覚の変化を感じます。
加齢とともに塩味、甘味の感度が鈍くなるため、調理の際の味付けの好みが濃い味を好む傾向にあります。
また噛む力も衰えるためやわらかく調理をします。材料を小さく切ったり、隠し包丁を入れるなど工夫が必要です。液体がむせる場合はとろみをつけると飲み込みやすくなります。
◎栄養摂取の注意点
●良質のたんぱく質を含む消化吸収の良い食品(魚や大豆製品など)を3食平均して食べる。
たんぱく質不足が老化現象を早めることになり、脳卒中も起こりやすくなります。
●動物性脂肪を控える。
●お茶、牛乳、果汁など水分を十分に補給すること。
体液が減ってくるため、水分減少に問題が起こると脱水症状にる事が多い。
●栄養をバランスよく。
皮膚や肌をつくり、抵抗力をつけるビタミンA、感染症予防のビタミンC、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、体細胞の脂肪酸化防止のビタミンEなどや、骨をつくるカルシウム、赤血球の再生を促す鉄分、血清コレステロールや血糖の上昇を抑える作用がある食物繊維など十分に摂取します。
次回は、高齢期の栄養の問題点と対策をまとめていきます。