当時、私たちが務めていた会社は設備会社で
Fは工事部で、俗に言う【現場監督】だった
最近は働き方改革が進んできて
少しはマシになってるのかもしれないけど
やっぱり建築業界は労働環境が悪くて
私は内勤のCADオペレーターだったから普通だったけど
当時の彼は外勤で、まさにブラックな現場で働いていた
まだまだ若手だから先輩や職人さん達よりも
早く早朝から出社しなきゃいけないし
夜も職人さん達が帰った後にやる仕事とか
次の日の準備とか図面を作図したりとか
まあいろいろやることが沢山で深夜まで帰れなくて
かなり精神的にやられてたと思う
しかもたまたまこの現場で働いてた時に上についてた先輩が
とにかくきつい人だったみたいでモラハラまがいのことを
散々言われてたらしい(Fからの情報しか知らないので真偽は謎)
そんな感じでFとはあまり連絡が取れなかったし
会えることも少なくて、会う頻度が月に1回なんてときもあった
寂しかったし不安もあったけど
同じ会社だからこそFの仕事に対する理解も出来てたと思うし
私まで彼の負担になってしまわないように
無理に連絡を取ろうとしたり
我儘を言わないように気を付けて
Fの話は沢山聞いて認めてあげて
支えになれるように最善を尽くしたつもりだった
いつだかFが
「季節を感じられないことがつらい」と言っていた
まだ空が暗い時間に出社して帰りも深夜だから
桜とか紅葉とか景色で季節を感じることも出来ないし
ゆっくりテレビも見れないから
季節ごとに変わるCMも観れなくなって
そういうことで自分の中から四季が
無くなってしまったことがつらいと言ってて
私には全く感じたことの無い次元の感情だったから
びっくりしたし、少なからず人は四季を感じることで
生きてることを自然に実感してるんだなって思うと
そんな状況にまで追い詰められているFを
なんとかして笑顔にしてあげたかった
その言葉を聞いてから私は
なるべくFと会うときは少しでも季節を楽しめるような
提案をするようになった
今度の休日はお花見をしに行こう とか
月見バーガー食べない? とか、、、
まあそれも結構断られることが多かったから
私の気持ちは伝わってなかったかもだし
ありがた迷惑だったのかもしれないけど
あれから今も私はストレスを抱えてる人がそばにいたら
ちょっとでも季節を楽しめるように声を掛けるようにしてる
とは言え、私にも全く不満が無かったわけではない
もちろん私だって人間だから
毎日いろんなことが起きて嫌なこともあって
ストレスもあるし、話を聞いてほしいときもある
Fのそのブラックな現場が終わって
別の現場になって元気なFに戻ってきても
Fはすっと常に仕事や上司先輩後輩の文句ばかりで
たまに別の話をしたかと思えば
昔の自分の武勇伝だったり
過去の女性の話だったり
とにかく、自分 自分 自分 の話ばかりだった
私の話は全然聞いてくれなくて
会えばいつも最終的にホテルに連れていかれたり
一度、Fの実家に連れて行ってもらったときも
ご家族にちゃんと挨拶しなきゃ、、と緊張してたのに
FはFのお母さんに私を
「CADの子~。図面 手伝ってもらいに来た」と言った
一緒にいる時間が長くなるにつれて
私の存在は彼にとって一体何なのか
良く分からなくなっていった
【クレイジーな彼⑤】に続く
