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僕が興味のある仮面ライダー雑ネタを書いていきます

・映司の章
 さあいよいよ主人公の後日談が見れるよ、とか思っていたら、いきなり始まる見知らぬ少女視点の物語。
 正直面喰いはしたものの、まあこういう風に来るんじゃないかなぁとは、ちょっとだけ思っていた。ヒーローの後日談を描くにあたって、ゲストキャラクターの視点でその後のヒーローを見るっていうのはよくある話だし、それに映司が目指そうとしていたものを考えると、個人で立ち向かうには大きな問題であるというのを描くにあたって、こういう描き方はすごく『あり』だと思います。

 内容としては、内戦が続く砂漠のある国の、とある部族が舞台。
 まあはっきりと描けないのは社会問題であるからリアリティを出しすぎないためかな。単純に小説としての筆力が足りないのかもしれないけれど、これくらいの描写で十分だと自分は思う。これくらいであっても、アルフリードの夫が殺された瞬間の絶望感は半端ないものだったし。
 ここでうまいなぁと思ったのが、アルフリードが映司のことを敵視していることだと思う。もちろんラストではある程度認めてはいるんだけれど、終始決して友好的ではないところが、別視点にしたことの意味がある。そもそも戦争は価値観の違いや意見の食い違いで起こるものだし、その絶対的な溝として、やっぱりこの、日本人の青年と砂漠の国に住む住民とで描く必要はあったと思うし。
 もちろん読者としては一年間オーズの物語を見た後にこれを読むだろうから、「映司はそんな人じゃないよ!」って言えるわけだけど、そうやって人となりをわかってあげるために、4クール分の物語が必要だったわけで。映司が目指しているのはもっと途方もない、誰もが手をつないでどこまでも届く手を作る、ってことだから、この価値観の差は、もうちょっと掘り下げてもよかったんじゃないかとすら思ってしまう。

 まあそれはそれとして。オーズの物語が終わり、怪人の脅威がなくなった世界で、映司がいったい何に対してオーズの力を使うかというと、それは、兵器に対して。
 ここも800年前の王との対比になっていてきれいだなぁと思う。侵略し、己を満たすためにオーズの力を使う王と、人のために、人を傷つけないためにオーズの力を使う映司。戦争をするために必要な道具を片っ端から壊していくというその戦い方は、強大な力に振り回されずに制御する、一年間の戦いを超えた映司の姿がある。
 もちろん、これはファンタジーで、夢物語でしかない。現実の戦争はこんなものでどうにかなるわけがないし、そもそもオーズの力なんてものはない。けれど、これは戦いのやり方の一つでしかない。映司はオーズという力があったからそれを利用したけれど、それがなくったって、彼はどうにか部族のために、そして世界のために、何かをしただろう。それは少女を救えなかったあの時の願いと同じ、しかし、気持ちだけは、大きく成長している。自分一人が何かをしようと思うんじゃなくて、自分と、そして自分と手をつないだ人と一緒に目指す。大切なのは分かり合うことなのだと。一年間の戦いで映司が学んだそのことを、物語として見せてくれたんだと思う。

 そうした映司の欲望のためにオーズの力が使われるっていうことは、欲におぼれている者たちに対するちょうどいい抑止力になればいいなと思ったり。

 それにしても、プトティラ以外の全コンボちゃんと使ってくれるとは思わなかった。特にシャウタの使い方がなかなか面白い。最後にタジャドルを持ってくるところもわかってるなぁという感じ。



 欲を言えば、怪人とオーズの戦いを見たかったってのもあるんだけど、TVシリーズ、そしてMEGAMAX後の映司の後日談としては、これ以上はないだろうなっていう話を見せてもらいました。毛利さんに感謝!

アンクの章とバースの章の感想も書いてるので良かったらみてください!!

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小説 仮面ライダーオーズ (講談社キャラクター文庫)

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