ものすごく久しぶりに記事を書きます。
というか、ブログを開くのがものすごく久しぶりでした。すみません🙇

コロナ以降、劇場に通うことがままならなくなってしまった現実に上手く向き合えず、日々の諸々に追われ精一杯で、精神的にも肉体的にも余裕がありませんでした。

昨年のワクチン接種後あたりから、規制がかかっていない時期や職場の許可が出やすいタイミングに少しずつ観劇ができるようになり、コロナ禍でも素敵な作品に出会えました。
その1つ1つで感じたことがあり、今の私があるのは観劇できたおかげだと思っていますが、記事にするには至れず。
気持ちを音声言語にして語るのはあまり得意でない私にとって、文字化するのはそれほど苦ではなかったのですが、それは安定した日常というベースあってのもの。文字化する、言語化するに至る過程で必要なエネルギーが、不安定な日常ですっかり使い果たされてしまっていたと気づきました。

そんなわけで、久しぶりの観劇記事は
イッツフォーリーズ公演
ミュージカル『遠ざかるネバーランド』



作品は初見でしたが、2018年(だったと思う)のミュージカルフェスのトークイベントで紹介されていて、お話と楽曲を聞いて、いつか観たいと思っていました。

今回はキャスト、演出を変えての再演。

非常に楽しみにしていました。

北とぴあで1度、俳優座劇場で2度、拝見しました。


以下、感想です。

久々ということもあり、語りたいことがたくさんあるので長文必至です。すみません。


ダークファンタジーとは聞いていましたが、想像していたものを超えていて、ダークというよりヘビーな感じ。

日本語的には「重厚な」と言い表せばよいでしょうか。決してネガティブな意味だけではない、物語に重みと厚みがあり、濃厚な味わいのある作品だと感じました。


とはいえ、そうすんなりと受け止められたわけではなく、初回は観終えてしばらく放心状態で、何をどう受け止めたらいいのか混乱し、1回距離を置こうかなと思ったほど。

それでも思い出さずにはいられず、湧き上がる感情を放ってはおけず、、

振り返って自分なりに咀嚼してみると、いろんな気づきがあり、気づいた時には、もう一度観なくてはと劇場に向かっていました。


物語を咀嚼する過程で、どうしても自分自身の振り返りが必要になり、私はそれが苦しかった。

家庭状況の影響もあるかもしれませんが、子ども時代はとにかく物語の世界、ファンタジーが拠り所でした。想像の世界に身を置くことで安心できたし、そうしてリアルを遠ざけていないと少し辛かったのだと思います。

物語に夢を見すぎて、どっぷり浸ってしまうと抜け出せなくなり、高校生ぐらいからは逆に小説、いわゆる物語本を読むのをやめ、代わりに新書や心理学、哲学の本ばかり読むようになりました。問いを問う様に何かを得ようとしていたのだと思います。

ですが、どちらも逃避でしかなく…

家族との葛藤は今もあるし、大事なこと、抱えている問題の本質からは今も逃げ続けている私がいます。

もういい歳ですが、未だにファンタジーに浸りきってしまいたい自分もいるし、冷静にそれはないと切り捨てている自分もいて。

時々その狭間でふと苦しんではみるものの、結局は、仕事や生活という現実からは逃れられず、向き合っては、こんなものかと受け入れ、のらりくらりと今日まできてしまった。

なので、作品に触れて物語を理解しようとすると、不確定な自分という現実を思い知らされ、苦しくなる。


物語に登場する全ての人がファンタジーでありリアルであり、見ず知らずの誰かであり、私。

それぞれが抱くその思いも痛みも苦しみも、経験や記憶のどこかにあるような。

故に、痛くて、苦しくて、辛くて。

でも同時に観るほどに救われてもいました。

観て、感じて、振り返ることで、

自分の中でなかったことにしていた彼、彼女たちを認めて、抱きしめてあげることができたし、今の不確定な自分を受け入れて、それも私と思えました。


何が正解ということはきっとなくて、観る人それぞれが感じる何かが、現実世界での力になる、そんな作品だと感じました。


そして、それは演者の皆様の表現あってのもの。

少し複雑な構造の物語ゆえ、その世界に引き込む吸引力のあるお芝居の力が不可欠な気がしたのですが、それはもうグイグイと掴んで離してくれない力がありました。


以下、キャストの皆様の感想を少し。


工藤さんピーター

初見の時、登場からなんか胡散臭さを感じて、2幕は嫌悪感すら抱くほどでした(勿論全ていい意味で)。なのに2回目以降は、登場した時のキラキラ感さえ切なくて、何するのも見てるだけで苦しくて、最終的に心情を共にする存在になっていました。

1幕終わりのあのシーンは、私は勝手に大好きなWicked1幕ラストのエルファヴァを思い出して重ねてたり。

ファンタジーの中でしか生きられない彼の彼なりの正義。自分を現実に戻すものを殺すしかない、そのためには悪に徹し、悪でいることもやむなしというあの存在感。最初に感じた胡散臭さの理由も含めてと納得し、ラストシーンのピーターに号泣してました。

それにしてもなんて鮮やかな身のこなし。そして歌声、お芝居、、最高に素敵でした。


川原さんフック。

ピーターとは対象的な位置で、このネバーランドにおけるリアルを1人背負う存在。

彼の強さや虚勢には悲しみや苦しみ、そして覚悟があって、その場にいるだけで空気がヒリヒリする。登場されただけで場を支配するような存在感に圧倒されながら、観重ねるごとに、それが彼の脆さに感じられて苦しくてたまらなかったです。

ちょっと威圧感のある役で拝見することが多いのですが、いつもその裏に優しさが滲み出ていて、結果好きにならざるを得なくなるという。今回も例に漏れずそうでした。

夢のシーン、ピーターと対峙するラストのシーンは特にたまらなかった。

川原さん、ほんとかっこいいですよね(今更)



神田さん少年

物語の鍵を握る存在。

ファンタジーに迷い込んだ(込まされた)彼は唯一、この物語の部外者であり、キーパーソン。

実在しているけど存在はイマジナリー、、なのかな。その辺は観る人の解釈に委ねられているのだと思いますが、いずれにしても、唯一第三者視点の彼の存在や言動が物語を大きく揺さぶり、観る人を動かしているのだと感じました。

ほっといてくれないし、容赦なくグイグイくるし、眩しいぐらいに真っ直ぐだし。

ファンタジーに縋っていたい私と、リアルにいてどうせ私なんてと卑屈になる私は、彼の言葉をすんなり素直に受け止められなかったりもしました。私にはないもの全てを正面からぶつけてくる少年をどこかで拒みたくなる私の頑なさが、そういう見方にさせていたのだと思います。

そういう存在に弱いというか、そういうのがたまらなく好きなのに、いざとなると逃げてしまう、ほんと私って、、、

徐々に彼の存在が救いに変わり、最終的には自分の中にもある少年に気づくことができたのは、痛みを抱えながらまっすぐぶつかり続ける神田少年だったからだと思います。

少年の左手がすごく好きでした。

表現がすごく繊細で、いろんなことを気づかせてくれるお芝居の力。ラストのソロでのあの圧倒的な歌声も含めて、ずるいなぁ(褒め、好き)


徳岡さんウェンディ

彼女がこの物語の主役であり、これは彼女がつくる彼女の物語。

ファンタジーの世界に生きていながら、どこか現実を引きずっているような脆さがとてもリアルで、頑なにそこを守ろうとすればするほど、観ている者を苦しくさせました。

さすがに、強く「とびたい」という衝動に駆られるような時期は乗り越えている私は、彼女の存在は冷静に受け止めていましたが、思春期の子どもたちが観たら、色々なものを彼女に重ね合わせて、何かを得るだろうと思いました。

清々しいほどにまっすぐな佇まいと透明感のある声、とても素敵でした。


迷子たち、海賊たち、妖精、、

一人一人に共感するところがあり、観るほどに言葉や動きのひとつひとつに深い意味を感じ、たまらなくなっていました。

この物語にいるのは、他でもない私自身なのかもしれない、そう気づけたのは皆さんの存在があったから。

言葉も歌も表現が丁寧でまっすぐで、すごく素敵でした。


以前にもいつくかフォーリーズさんの舞台を拝見していて、その時にも思ったし書いたのですが、舞台の上の空気感がすごくあったかくて、優しくて。

このダークなネバーランドで起きていることはどれも重苦しいものなのに、突き放したりせず、時折ちゃんと笑わせてくれる。

構えずともスっと受け入れてくれるあの感じがとても居心地良く。それは、皆さんの包容力と舞台愛ゆえだろうと勝手に思っています。

(『ナミヤ雑貨店の奇蹟』再演しませんか?色々難しいのだろうと承知しつつ書いてみる)



この物語にいるのは私自身だと書きましたが、もうひとつ見えたものがあります。

それは、第三者的な視点。

職業的に日々中高生と関わり、彼ら抱える複雑さと向き合うことも多いので、この物語にある出来事はとてもリアルで、日常的な問題でもあります。

子どもから大人になる過程、自己を肯定的に受け止めるには、多くの経験、他者との出会いや関わり、そこから得られる気づき、そして振り返りとナラティブな語りが必要です。

社会情勢も相まって、今は経験や出会いも限定的になりがちだし、彼らに寄り添える者も余裕をなくしていたり、少なくなったりしています。

演劇だからできる寄り添い、物語だからできる投げかけには大きな意味があると思うのです。

届く時、いろんな奇跡が起こる気がするのです。

どの世代にも響くけど、多感な年頃の子供たちに届いたらいいなと強く思います。

物語は少し複雑で、もしかしたら届けたいものの本質に近づくには少し時間がかかることもあるかもしれないけれど、それがわかった時、自分事になった時に得られるもの、救われる人がたくさんいる気がしています。

思い出して、噛み締めて、あれはなんだったんだろう、もう1回観てみたいな、そう思った時に上演されていてほしい。

たくさんの方に届いてほしい、そう切に願いたくなる作品。


舞台が好きで、観劇することができて、何より誰より私自身が救われました。

これまでを踏まえた今の私をちゃんと受け止めることができたから、これからに向けて進んでいけます。

素敵で特別な作品に出会えたこと、心から感謝の気持ちでいっぱいです。


この時世に舞台をつくる、上演することは想像を超えるご苦労があったと思います。

身を削り、心を寄せて作品を届けてくださった、キャスト、スタッフの皆様、本当にありがとうございました!!



自分でもちょっと引くぐらいの長文…

すみません🙇

読んでくださった方、ありがとうございます。