こんにちは、だんだん涼しい日が多くなってきてすっかり秋ですね。

 

さて、今回紹介するのは小室直樹さんの「日本人のための憲法原論」という本です。

 

 

ようやく読むことができました!実はこの本は今から1年ほど前に偶然出会った(?)方から紹介していただいた本で、ずっと読みたい、読まなければと思い続けていました。しかし、その分厚さ(491ページあります)に慄き、なかなか手を出せずにいました。今回ようやく覚悟が決まって(笑)、手に取った次第です。

ちなみにこの本を紹介してくださったのは、とある合宿教室に一緒に参加していた東北大学の大学院生の方で、小林秀雄さんを研究しているという方でした。なかなか話が合って、本のことなどいろいろ話すのがとても楽しかったのをよく覚えています。今頃どうしていらっっしゃるのでしょうか…

 

それはさておき、本の話に入っていきます。

 

まず述べておくと、この本は憲法について論じている本ですが、決して憲法9条がどうだとか、改憲だ護憲だとかいう話をしているのではありません。そもそも憲法とはどういうものか、民主主義とは何か、どのようにして作られていったのか。そういった憲法などの歴史的側面に力を入れて解説がされています。これはちょっと意外な感じもしますが、現代の憲法の問題を理解するためには、そもそも憲法が何たるかを理解することが必要だということなんですね。言われてみれば、そんな気がしてきます。

 

ただし、日本の憲法に関する問題もしっかり述べられています。それは、「日本においては憲法は死んでいる」。うひょー、9条がどうだとか、そういう話をはるかに超えた問題でした…。

 

このような問題提起が冒頭でなされた上で、ではなぜそうなってしまったかを憲法の歴史などから紐解いていき、最後に日本の問題に戻ってくるという流れになっています。

 

本書全体に細かく触れることは不可能なので、ここでは、自分が読んで理解したことをごく簡単にまとめてみます。

 

まず、「日本国憲法は死んでいる」とはどういうことか。それは日本においては、議会がもはや機能していないこと、司法が正常に行われていないことなどに起因しています。ではなぜそうなったのか。それは日本人が憲法や民主主義の本質を理解できていないから。また、民主主義が行われるための土壌が整っていないから。そもそも、憲法とは国家権力を縛るためのものです。そこには、西洋でかつて王が絶対的な権力を振るっており、王によって民衆の生活が脅かされることを防ぐために、議会を作って王に対抗しようとしてきた歴史がありました。また、(だいぶ端折りますが)これには人民の平等、労働の重要性、契約の概念などが関わってきますが、これらは全てキリスト教に基づくものでした。

しかし、日本人にはキリスト教的考え方は備わっていないし、民主主義を努力して勝ち取ったというような経験もありません。だから、日本人には憲法や民主主義の本質が理解できていない。簡単にいうとそんな感じでしょうか。

 

正直、自分の中でも100点満点の2点くらいしか与えられない説明です…。まあ、そうなってしまうくらいに、憲法には長い長い、そして紆余曲折を経てきた歴史があるということですかね。

 

歴史は複雑ですが、本自体はとても読みやすいです。とってもためになる本だと思うので是非是非読んでみてください。

自分も、何回か読んで完全に理解したいと思いますし、その価値のある本なんじゃないかと思います。

それでは今日はこの辺で。さよなら〜