昨日(８月29日)は上野に出かけ午前中は「神護寺展」を観て午後は国立科学博物館で実施されている「昆虫マニアック展」を観ました。

此れが国立科学博物館で実施されている「昆虫マニアック展」のポスターです

国立科学博物館では毎年夏休み期間中は子供達とその親をターゲットにして昆虫展をじっししています。前半は小学生を対象にした「昆虫と蜘蛛の違い』「蝶々と蛾の違い」「益虫と害虫の区別は人間の勝手で何方も生命多様性の観点で見れば違わない」等を解説していましたが、出口近くの展示に「虫と日本文化」を概括した展示がありました。江戸時代の博物学の冊子や図鑑や絵本や虫かごを展示してありました。

巨大な「ウスバキチョウ」は特撮映画の「モスラ」を想わせました、薄羽カゲロウは蝶と蛾の中間です

トンボの交尾(科学的には雄が雌の生殖い器官(副性器)に精子をため込むので「交配」と呼び雄(上)は雌(下)の首を捕まえて自らの生殖器は雌の副性器に挿入してタンデム飛行する雌雄は一体になってハートを形成するので人気になっています。

古代から日本人は昆虫を身近な生命と愛してきました。枕草紙では「風の音(オト)と虫の音(ね)を使い分けています。音(オト)は物理的な大きな音ですが虫の音は比較的小さな音で命の営みによって生じるのです。清少納言の『枕草子』の『虫は』という章では「虫は鈴虫。ひぐらし。蝶。松虫。きりぎりす。はたおり。」と好ましい虫として、鳴く虫が挙げられています。何といっても堤中納言物語には「虫愛ずる姫君」が在ります

堤中納言物語の「虫愛ずる姫君」

「虫愛ずる姫君」「花を手折る人（花桜折る中将）の求愛失敗談です。年ごろなのに夢中になるのは虫ばかりの姫、「あたしは虫が好き（虫めづる姫君）」。一人の男をめぐる二人の女の明暗をあぶり出す「黒い眉墨（はいずみ）」……。無類の面白さと意外性に富む11編が、躍動するみずみずしい物語です。平安朝後期女性は画一的な女性ではなく個性を主張し始めたのでしょう。貴公子の求愛を受動的求めるのではなくて「こんな個性的な女性を愛して下さい！」主張したのでしょう。　秋風に　ほころびぬらし藤袴つづりさせてふ　きりぎりす鳴く　　　(古今和歌集　在原棟梁)

キリギリスの音に愛情を託すものも居れば現代人は浮気心を虫の音に比喩します。

源氏物語では六条御息所が生霊になって光源氏が心を寄せた姫を殺して消えます。松村松園は六条御息所を女郎蜘蛛として描きました。

上村松園作の「六条御息所」国立博物館蔵重文は生霊を女郎蜘蛛に託して描いて見せました

中世になる家紋を揚げは牒にして、信玄の家臣板倉信方 は兜にトンボを飾って見せました。

信玄の家臣板倉信方はトンボの兜をかぶって浜松城攻めで功績を上げました。

私達昭和の団塊世代はトンボ鉛筆で勉強しました。

団塊世代が愛したトンボ鉛筆

になっています

今夏私が飼育した蚕は既に繭を作って中で蛹になっています

昆虫マニアックは２千年の日本文化史の盤石文化です。今夏私は蚕を飼育し孫達と一緒に完全変態の不思議を観察しました。同時に変態は危険な時で失敗すれば死んでしまう事も確認しました。今では繭が５つ出来て乾いたら冷蔵庫に入れて羽化を確実にするだけです、次に孫に会えるのは彼岸の中日の予定です。蚕の成虫をどんな目で見るのか楽しみです。【了】

虫の日本文化