BSNHKを観ていたら「愛氏の神像」と題して陸奥の山の神像や観音像を紹介していました。早速に録画して何度も繰り返して観ています。八幡平市兄川のお稲荷様の境内に山の神の祠が建っていて其処に祀られている山の神像は植林業を営む樵が危険な仕事故に安全を神に祈った山の神と説明していました。青森県下北の佐伊町でえは漁業の豊漁を祈って６観音像を祀っていましたが廃仏毀釈によって、村の「発信寺」に預けた仏像だそうです。内容は昨年龍谷大学の竜谷ミュージアムで実施された「愛しの仏像展」を骨格にして実際に仏像や神像を自宅で祀っていた人々を巡って礼拝した神仏の背景を探求したものでした。

昨秋龍谷大学の博物館で開催された「陸奥愛しい仏たち」のポスター

首都圏には国学院大学(青山)の国学院大学博物館には神像が多く展示されています。同博物館は名誉教授だった樋口清之氏がコレクションした考古学発掘品を展示したモノで、日本の神像のルーツは縄文土偶である事を確信させる展示になっています。

青山にある国学院大学博物館樋口清之名誉教授(右端銅像)の業績を一堂に展示しています

国学院大学博物館に展示してある遮光器土偶

国学院大学博物館に展示してある僧形神像(平安初期)

国学院大学博物館に展示してある樋口清之名誉教授が造形された神像

ところで八幡平市兄川の稲荷神社の境内社の山の神神社内に祀られていた山の神像は次の写真でした。

幡平市兄川の山の神像頭には螺髪があるし手は合掌しているので形は仏像です

でも像の表情は素朴で寿司衣服は神主のそれです。手は杉の枝を落とす鉈の形をしています、だから「山の神」で間違いないでしょう。一般に山の神というと狩猟業(マタギ)を生業にす狩猟の安全と豊猟を祈願するものです。マタギの山の神としては秋田県の阿仁地区に多く確認出来ます下が阿仁の山の神像です。

秋田県の阿仁地区の山の神像チェーンソーで作った様な素朴な山の神像は狩猟の安全と豊猟を祈願したのでしょう

山の神像と云っても生業を林業にしている人と生業を狩猟としているマタギでは全く違います。

手に斧を持って入歯林業の民が祀った山の神で鉄砲を担いでいれば熊討ちや猪を狩猟するマタギが祀る山の神です

斧を持った山の神は林業の民が祀ったのでしょう(八幡平市博物館)

此方は狩猟業を生業にしたマタギが祀った山の神像です

ところで御伽草子に出て来る「おむすびころりん」ですお話は正直者で質素な生活を送る老夫婦です。男は老いた妻に弁当にお結びを握って貰い山に入ります。一仕事終えて休息してお結びを食べようとして木の切り株に腰を下ろします。生憎お結びがコロリンと転がってしまい。穴に落ちてしまいます。穴の中には鼠の家族が住んでいました。鼠は天から御馳走が転がって来たので大喜びで、お結びを追って来た爺さんを歓迎します。爺さんは鼠の家族と遊んで別れようとします。鼠の家族はお土産を用意します、爺さんは大小二つのお土産の中から小さい方を選んで帰ります。お土産は宝物でした。隣の強欲な爺婆は真似して山に入って行きます

御伽草子の「お結びコロリン」は林業を生業にする正直老夫婦の幸運物語です

処で「お結び+石仏」で想い出しました軽井沢の姫街道馬取りの３３観音です。場所は中山道信濃追分宿と碓氷峠の中間にあります。馬取りの名は伝馬の中継所の意味でしょう。小高い丘の上に薬師堂があって旅人が休憩するには格好な社です。境内には３３観音の石仏が並んでいます。楽しいのは石仏のお顔が揃ってお結び顔なのです。お握りは三角ですがお結びは角が無い俵型です

南軽井沢の馬取りの３３観音。背の高いのは馬頭観音で背の低いのが３３観音石仏です

馬取り３３観音石仏のお顔はお結び顔です

八幡平市はリクルートが開発した安比高原も近い紅葉の名所です。前述樵が祀った山の神像は八幡平市博物館に展示してあるそうですこの秋に行くか来年の夏西西馬音内盆踊りと併せて行くか思慮考案中です。　　　　　　　【了】

陸奥の「山の神」の像