西尾市の「浄名寺」で円空の慈母観音を拝観して私達は常滑焼の「物産館」にむかいました。常滑焼には深い思い出があります・私の生家(盛徳寺)の勝手には大きな水瓶があって、何時も満々と水が張られていましたし、梅干しの壺も常滑焼でした。

常滑の物産館で求めた梅干しの容器は常滑焼でした

生家盛徳寺の水甕も常滑焼でした。今は盛徳寺の天水桶に使用されています

常滑焼は、愛知県常滑市を中心とし、その周辺を含む知多半島内で焼かれる陶器で。日本六古窯の一つです。日本六古窯とは２０１７年指定されたもので瀬戸焼、越前焼、丹波立杭焼き、備前焼き、信楽焼を含めて日本遺産に指定されています。人気の清水焼も伊賀焼も萩焼きも有田焼も唐津焼も六古窯ではありません。もう１０年も昔ですが奈良の大和郡山城で廃水用の土管が発見されました。その土管が常滑焼だったのです江戸時代初期から数えて３００年近くも常滑焼の土管が上下水道に使用されて来たのです。日本人のライフラインを支えたのが常滑焼だったのです。

奈良の大和郡山の城下町で発見された常滑焼の上下水道

常滑焼物産館の脇から「窯元巡り」が始まります。常滑焼の歴史や粘土等一応の知識を仕入れてから現在の窯元を巡るには最適です。知多半島を巡ってその土質を触って(多くが凝灰岩が風化して出来ている)来ました。知多半島の粘土として最適なのが此処に在ったので、半島に散らばっていた陶工をこの丘に集めて「常滑焼の里」にしたのでしょう。その一つが「伊那製陶」で現在の「イナックス」なのでしょう。「常滑焼の里」は小高い丘陵で遊歩道は軽自動も通れません、人間は蟹の横ばい姿勢で谷に堕ちないように注意しながら歩きます。人気の道が「土管坂」で江戸時代盛んにつくられた土管を土留めにした坂道ですしています

常滑焼の遊歩道水甕や土管を土留めにして遊歩道のスペースを確保しています

常滑の観光ポスターも土管坂で撮影されていました

私達は前日までに知多高野山「岩屋寺」を参詣して五百羅漢を参拝しました。岩屋寺の岩石は「凝灰岩」でした。知多半島全体が古い凝灰岩でできていて、風化によって歳月が良質な陶土に変えているのでしょう。その最高に良質な陶土が常滑に在ったので尾張徳川家は常滑に陶工を集住させたのでしょう。沖縄のヤムチンの里を那覇市(首里城城下)に集めたのと同じで集積の経済効果を追求したのでしょう。地形は上り窯の築造に最適でした。明治になると上り窯の煙突を煉瓦を積んで整備しました。現在は電気やガスを熱源にしたので煙突は不要になりました。

常滑焼の里の煉瓦積煙突、多分登り窯の上部にあったのでしょう。

３本供現在は使用s誰て居なくてモニュメントの様です左に１本は雑木が自生していました

　　　　　　　　　　　　　　　役割を終えた赤レンガ積の煙突は雑木が生えていました

赤レンガ積の煙突は神様になっていました

赤レンガ積の煙突の神棚は常滑焼の「水甕」と「「睡蓮鉢」と「土管」でできていました

赤レンガ積の煙突の脇の枇杷は良く稔っていましたが、手が届くところは食べ尽くされていました

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【了】

「常滑焼」の窯元を歩く