今年も夏至が過ぎて半夏生が咲く季節になりました。６月２５日は妻が「半夏生を観に鎌倉中央公園に行きましょう！」と云うので大船駅経由でバスに乗って出かけました。植物の「半夏生」と雑節の「半夏」があって「薬草が生える季節」の意味です。七十二候の一つで夏至から数えて１１日目で例年７月２日頃になります。農家にとっては大事な節目の日で、この日までに「畑仕事を終える」「水稲の田植えを終える」目安で、この日から5日間は休みとする地方もあります。この日は天から毒気が降ると言われ「半夏水」（はんげみず）、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされたりした。なお、七夕にも農作業を休むとする伝承が多くの地域に伝わります。植物の半夏生は丁度この頃に白い花を付けたので(カタシログサ）は半夏生と呼ばれていました。大徳寺真珠庵に残る「百鬼夜行絵巻」には沢山の妖怪の中に傘をさして半夏水を避ける妖怪も確認できます。

　大徳寺真珠庵に在る「百鬼夜行絵巻」天蓋を吊るした妖怪は半夏水を避けているモノと思います。

妖怪が出る季節ですから生水や生野菜を食べる事を慎んで農作業を休み滋養分のある食べ物を取ったのでしょう。福井県の焼きサバや三重県の蛸は半夏生の食べ物として好んで食されました。

福井県の若狭地方では焼きサバを半夏生の食べ物として好まれています

半夏生には蛸を食べる習慣は三重や明石等蛸の産地には盛んです

半夏生には鯖や蛸を好んで食べる慣習が存続しているのは青魚や蛸が「タウリン」を多く含んでいるので疲れを取り高血圧等に有効な事に気づいていたからでしょう。半夏生の季節には各地の神社で「名越の祓い」が行われます。「名越の祓い」と書きますが正しくは「夏越の祓」でしょう。先週末には青森市の「善知鳥神社」を詣で今年最初の「夏越の祓」をしました。全国的に最も有名なのは奈良県桜井市の大神神社の「夏越の祓」でしょう。大神神社の拝殿前には三つの茅の輪が用意されています。鎌倉の鶴ケ岡八幡宮では大きな茅の輪が一つで左回りで二回右回りで１回回れば正月以来半年の間に体に付着した穢れが祓われるとおもいます。大神神社では茅の輪が３つもあるので鶴岡八幡宮スタイルで茅の輪を潜ると９回回りますので目が回ってしまいそうです。

此れが大神神社の茅の輪です。鳥居同様に三つあります。正面の茅の輪には杉左右の茅の輪には檜と榊が飾られています。

前書きはこの程度にして鎌倉中央公園の半夏生を紹介しましょう。鎌倉中央公園はその名の通リで鎌倉市の略中央に在ります。鎌倉駅からは駅西口を出て梶原山の西側の尾根に位置しています・北鎌倉駅からは南側「山の内」の丘を越えて魯山人の窯跡を越えてその先の棚田址に位置しています。西側からは湘南モノレール町田駅で下車して東側尾根を越えた先です。鎌倉の尾根に囲まれた谷戸の棚田を活かした都市公園です。棚田に適した植物としては「半夏生」や「釣舩草」や「溝蕎麦」が咲きます。半夏生は一番に逞しく公園管理者が栽培した蓮や花菖蒲を圧倒して増殖していました。

鎌倉中央公園のツリフネソウ(晩夏に咲き出す)

鎌倉中央公園の溝蕎麦(盛夏に咲き出す)

鎌倉中央公園の棚田址に自生している半夏生

半夏生は夏至を過ぎて１１日です。カタシログサの葉っぱが白化します。

白い葉の中央に花が咲き夜の蝶(蛾」を誘って受粉します。

半夏生を観るには簀子状の橋をわたります。垣はシンプルな「四ツ目垣根」です。

６月２５日は６月最後の日曜日でした。コロナ禍の間出来なかったボランティア活動も再開され。親爺は放置されて来た棚田に入って田植えをして悪餓鬼はトカゲを捕まえたり蜻蛉を追いかけていました。お母さんは御握りを作っていました。膨大な数に驚いて聞けば「子供用お握りが２０人分」だそうです。此れから大人用に大きなお握りを結ぶのでしょう。

４年振りに棚田に田植えされました。

お母さんは２０人もの子供に愛情込めてお握りを握って居ました

半夏生も乗り越えて、コロナも克服して楽しい日常が戻って来ました、もうじき湘南の海辺では「浜降り祭」が行われます。私達の孫娘は山車に乗って太鼓を叩くそうです。今週末に「芋掘りをしよう！」誘った処「太鼓のお稽古で行けない」との返事でした。浜降り祭の山車に乗って太鼓を叩くお転婆な孫娘の雄姿を観る事を愉しみにしましょう。　　　　　　　　【了】

「半夏生」が咲く季節