岩倉実相院でお庭を観て私達は大原三千院に向かいました。京都駅観光案内所で大原は未だ桜が咲いて居ると案内されていたのでした。三千院は京都の北東鬼門の方角の山中にある密教寺院で青蓮院、妙法院、と共に天台宗山門派の門跡寺院です。

三千院は8世紀、最澄の時代に比叡山に建立された円融房に起源を持ち、後に比叡山東麓の坂本に移され、たび重なる移転の後、１８７１年(明治４年)に現在地に移ったものです。「三千院」あるいは「三千院門跡」という寺名は大原に移転して以降使われるようになったもので、それ以前は「円融院「梶井宮」「梶井門跡」などと呼ばれました。一方、境内にある往生極楽院（旧称・極楽院）は、平安時代末期の12世紀から大原の地にあった阿弥陀堂であり、1871年（明治4年）に梶井門跡の本坊がこの地に移転してきてからその境内に取り込まれたもので、三千院と往生極楽院は元来は別々の寺院です。城郭を思わせる男性的な石垣にかこまれています。階の高い石段には枝垂れ桜が迎えてくれました。

三千院は元々大津の坂本にあった仏教修験の寺院でした。城郭を想わす堅固な石垣が特徴です。

でも境内に一歩踏み入れると花と苔の見事な女性的な優美な空間が待っています。

三千院入口(庫裏入口)の脇から本堂玄関を望むと桜の根元を石楠花が囲んでいました。

本堂玄関前の石楠花

本堂玄関頭頭窓越しに観た石楠花

三千院と云えば「紅葉の季節」や桜の季節に何度も登りました。緑苔に散り紅葉等が人気です。でも今年は春が早すぎた所為で石楠花の三千院を体験する事ができまあした。石楠花が盛りだという事は「馬酔木」や「山吹」も盛りで紫木蓮も未だ残っていました。山岳寺院の石楠花と云えば室生寺が印象に強いのですが、三千院の石楠花は趣こそ室生寺と違いますが、優しさやもの憂げの風情が「恋に破れた女性/永六輔作詞の歌」に似て良かったのでした。昔は本堂前の縁側に腰かけて往生極楽院に続く境内を観賞するだけでしたが境内を周遊して植物や石仏を観て回るコースを設えてありました。往生極楽院から上の壇に不動堂や観音堂を建築し更に谷川を三途の川に模して地蔵和讃の世界を現出していました。

本堂の縁側から庭を観る石楠花が眼にとびこみました。

本堂の縁側には毛氈が敷かれて普茶のサービスを受けられます。

往生極楽院(阿弥陀堂)の前庭にも石楠花が咲いて居ました。

国宝の往生極楽院は石楠花に囲まれていました。

往生極楽院の阿弥陀三尊像は来迎の形をした尊くも優美な阿弥陀三尊像です。

今回の旅行は大学時代から何度も一緒に旅した仲間です。ソロソロ一緒に旅を楽しめるのも残り少なくなってきました。そんな自覚で三千院の阿弥陀三尊と小野市に在る浄土寺に阿弥陀三尊を拝観して「感謝を告げ」、「来世をお願いする」旅です。丁度三千院の僧がお経を諷誦していました。天台のお経は声明と呼ばれる音楽の様なお経です。僧の背後に座って暫くお経に聞き入っていましたが、脇に蝋燭が置かれて護摩木の様に願文を書き奉納出来るように案内していました。「夫婦共々健康長寿」と願文を記し夫婦の名を書きました。往生極楽院から境内を周遊すて不動堂を経て観音堂更に谷川を渡って三途の川の地蔵さんの前に出ました。

不動堂の東は葉渓流で三途の川になっていました。石を五輪に積んで落花を供えてお地蔵様が微笑んでいました。

「夫婦共々健康長寿」の祈願料は３００円です。願いは大きく願料は小さくて気が引けてしまいます。加えて石楠花の花が美しく、夢の様な三千院でした。　　　　　　　　　　　　　【了】

大原三千院の「石楠花」