吉良家菩提寺の華蔵寺を辞して私達は金蓮寺に向かいました。金蓮寺には頼朝が創建した阿弥陀堂(国宝)が在るのです。境内で拝観するのは自由ですが、堂内見学には予約が必要です。私は予約していなかったのでしたが到着時刻が4時だったので、管理人が帰り支度をしていました。お願いして初めて阿弥陀堂の内部を見学する事が出来ました。 国宝・金蓮寺弥陀堂 金蓮寺(こんれんじ)の弥陀堂は源頼朝が三河国守護の安達盛長に命じて建立させた三河七御堂の一つと伝えられています。一間四面堂の流れを汲む鎌倉時代の建築で、県下では最古の木造建築物であり、昭和30年に国宝に指定されました。 桧皮葺の屋根の深い軒と緩やかな曲線が見る位置によって異なる表情を見せる優美な姿の堂です。 内部には阿弥陀三尊像(県指定文化財)が安置されています。 江戸時代には瓦葺きだったものを昭和30年に当初の檜皮葺に戻されました。

金蓮寺阿弥陀堂は優雅な檜皮葺建物です。手前が南で東の庇が西に比べて深くなっています

深い庇が特徴の東側側面、海辺方向からの風雨が強い対策と説明していました。

並行垂木や船形肘木等古代の様式が目に付きます

江戸時代の金蓮寺阿弥陀堂の屋根瓦阿吽の鬼瓦(東が阿形で西が吽形です

今年の1月に東京博物館で建立900年 特別展「中尊寺金色堂」を見学しました。金色堂は瓦葺き(全体を金箔で装飾)して在りました。大量の火力が必要な瓦で屋根を葺くのは大変なので古代は檜皮葺きや杮葺きや茅葺きが一般的だったのでしょう。江戸時代には防火対策で瓦屋根が増えました。

東京博物館での建立900年 特別展「中尊寺金色堂」の展示、金色堂は瓦葺きでした

国東市の富貴寺阿弥陀堂(国宝)の屋根は瓦葺きです

いわき市の白水阿弥陀堂(国宝)は檜皮葺きです

仏殿の屋根は「瓦葺き」と「檜皮葺き」両方現存していますが、瓦葺きは大陸の様式である感触がします、一方檜皮葺きは優雅で緩やかな曲線を描いて和風美を感じます。古代平安時代の建造物には檜皮葺きが最適の様な感じがします。室生寺は金堂を初め殆ど建物が檜皮葺きか杮葺きです。

室生寺金堂の屋根は檜皮葺きです。

初めて見る金蓮寺阿弥陀堂の内陣には古風な須弥壇の上に阿弥陀三尊像が祀られていました。昭和30年の国宝指定に際して阿弥陀三尊を調査したのでしたが、造仏年代や奉納した人物を示唆する紙切れが発見できなかったので国の文化財指定は受けられず、現在も愛知県の文化財指定にとどまっているのだそうです。

金蓮寺阿弥陀堂の阿弥陀三尊像組み入れ格天井や鏡板は見事ですが着色が剥げ落ちて残念です。

金蓮寺阿弥陀堂の阿弥陀三尊像

処で白水阿弥陀堂や富貴寺阿弥陀堂の内陣は見事に彩色されて阿弥陀像を荘厳しています。

国東市の富貴寺阿弥陀堂の内陣は眩しい様に彩色されています。建物も仏像も国宝の威力でしょうか?

いわき市の白水阿弥陀堂の内陣も見事に荘厳されています。

仏像が国宝に指定されれば阿弥陀堂の内陣も仏像も眩しいばかりに荘厳されたのでしょうが、国宝指定の根拠不足だったのでしょう。NHKTVでも松江城の国宝指定の根拠が天守閣の棟板発見だったそうです。何時の日か金蓮寺阿弥陀堂の阿弥陀三尊の根拠が発見されれば金蓮寺阿弥陀堂の内陣が荘厳される事でしょう。        【了】