昨日(5月12日)の新聞に「松坂氏宝塚古墳」出土の埴輪が国宝に指定された事実を報道してありました。同日迄上野の東博で展示していたそうです、展示最終日に報道下の二は腹が立ちます。見学したくても既に時間が在りません。せめて、1週間前に報道して欲しかったのでした。新たに国宝に指定された埴輪の中で代表的なモノが家型埴輪と「船型埴輪」でした、新聞には「船型埴輪」の写真が載っていました。

5月11日(土)夕刊讀賣で報道された宝塚古墳出土の埴輪が国宝に指定された記事

今年新たに「国宝」に指定された宝塚古墳出土の船型埴輪

同じく宝塚古墳出土の「家形埴輪」

宝塚1号墳の発掘調査では、古墳のマツリの場とされる「造り出し」の周囲からたくさんの埴輪がみつかりました。とりわけ、『船形埴輪」は第一級の文化財でした。発掘された場所が古墳の「造り出し」で其処が祭祀の場所だったのでしょう。

古代人にとっては船は交易の必需品であったと同時に黄泉の国に往来する乗り物だったのでしょう。この船形埴輪を詳しく観察すると、表面のくぼみに赤色の塗料(ベンガラ)が残っていることがわかりました。このことから、造られた当時の船形埴輪は赤色に塗られていたと考えられます。昔から、赤色には「神聖なものを護り、邪悪なものを退ける」力があると考えられていました。船形埴輪に塗られた赤色は、宝塚古墳に葬られた人物の魂が何者にも邪魔(じゃま)されず黄泉(よみ)の国【死後の世界】へ旅たつことができるようにとの願いが込められていたのでしょう。世界の墳墓には死者の魂を死後の世界に送り届ける舩を合葬しているものです。

ピラミッドのクフ王の墳墓から出土した船

松坂市の宝塚古墳は東に阪内川が流れています。土曜日に慶応大学日吉キャンパスで受講した笹尾衛国学院大学教授の講座では出雲大社は吉野川と「スサノウ川」の合流地点で築造されていて「祭りの場」であったと説明されました。同時に「高倉倉庫」が祭祀の中心施設であり、古代神殿の原型だと解説されました。神籬(ひもろぎ)とは神道において神社や神棚以外の場所で祭祀を行う場合、臨時に神を迎えるための依り代となるものです。現天皇皇后両陛下の即位式(令和の大嘗祭)は厳かな神籬(ひもろぎ)を作っていとなわれました

皇居に新に作られた神籬(ひもろぎ)で現天皇皇后両陛下の就任が行われました

令和の大嘗祭瑞垣(みずがき)で囲って真新しい社殿が出来ていました。全面を玉砂利を敷き詰詰めて正に河原を作って在りました。此れこそ神籬(ひもろぎ)でした。そして、社殿を観ると出雲大社の神殿と同じ姿で、原型は高床式倉庫です。出雲風土記の丘で観た神魂神社(かもす神社)の姿えした

松江の神魂神社(国宝)は最古の大社建築で、住居埴輪の姿です

宝塚古墳出土埴輪を観ると日本の古代祭祀の形が再現されていて嬉しいのです       【了】