パリより

先週パリに戻ってきました。2週間後にはもう日本です。


日も延びてきて、これからがフランスはとても良い季節です。
帰ってきて数日、こちらは何も変わった様子はなく、人も街も今までどおり。

ただ、変わったのは私の気持ちです。
約二ヶ月ぶりなのに心ここに在らず、といった感じ。
もちろん帰国準備のために忙しいのはあるけれど、平和で何も変わらない風景を見て、
被災地との落差にちょっと感傷的になったかな...

...と、思ったら...


私には近所に行きつけのカフェがあります。
近所には日本人がいないので友達もいず、言葉もわからない私はそこでいつもカフェオレを頼み、
1人で自分なりにフランス語を勉強してました。
もちろんそのカフェで唯一のアジア人の客。
そこの店員や常連さん達も最初は誰も声をかけてはくれなかったけど、
それを気にしてたら悲しくなるので、勉強の為と気にしないようにしていつも行ってました。
そうして半年あたりを過ぎたあたりから、
徐々に顔を覚えてくれて簡単な会話くらいはしてくれるようになりました。

とは言っても個人主義のこの国ではあくまでも自分が主体、
その程度のつきあいでは外国人だからとわざわざ気を遣って話しかけてくれるわけではありません。

ほぼ毎日顔を出していたのに一時帰国をして一ヶ月ぶりにカフェに行っても、
ひさしぶりー!なんて言ってくれるわけでもありませんでした。

ところが今回顔を出したら、店員の皆が皆、久しぶりだよね!どうしてた!?と...

私が日本人であることを知っていた彼らは、あの日以来の連日のニュースを見て、
そしてぷっつりと来なくなった私を気にして心配してくれていたのでした。

実は...とつたないフランス語で説明すると、
「やっぱりそうでしたか、あまりに来ないので心配していたのですよ」と、
目を潤ませながら皆さんの健康と、早く元気を取り戻せる事を祈ってますと
言ってくれた若いスタッフ、慎重な面持ちで励ましてくれたマスターやベテランスタッフ。

そして今日、主人と行った時には隣で私たちの会話を聞いていたお客さんが、君達は日本人か?
と声をかけてきたので、そうですと言うと
「日本人は素晴らしい!君達は必ずまた生活を取り戻すよ!頑張って!」と言ってくれました。

正直言って、私はフランス人の、良く言えばラテン的前向きさ、
悪く言えばいい加減に見えるその気質に多くを期待していませんでした。
しかし、彼らは私達日本人が重んじる世間体よりも人間らしさを重んじるゆえに
個人主義でいい加減に見えていただけなんじゃないかと思い、自分の狭さを反省しました。

しかし反省と共に、彼らの言葉を素直に嬉しく思いました。アップ

そうなると何故かそういう気持ちって通じるのかな、言葉がつたなくても気にしなくなりました。
殻を作ってたのは私の方だったんだね。
周りが冷たいと感じながら必死に生きていたパリ生活だったけど、私にとって財産だったんだ、
とここにきてようやく気づきました...
いや、これは私にとってだけじゃない。やっぱし人間っていーのよ!


こう言う気持ちで海外生活を締めくくれるのは本当に良かった。チョキ

私と主人は釜石に戻るけれど、釜石にはフランスに姉妹都市があります。
田舎に居たって世界に発信できる事はある。
できたらフランスとの架け橋にもなって、フランスは「おフランス」じゃ無い!
みんな同じ人間なんだよ、だから世の中をたくさん見ようね!って
次代の子供達にも若い世代にも伝えて、釜石を違う側面からも発展させ、
そして周りの街々も巻き込んでみんな一緒に発展していきたい!

益々発奮してきたぞ~!!メラメラ