書く話題があるにはあるけど出しづらいのでこれから書くのは3月16日に群馬県桐生市で好きな画家の山口晃さんの講演があったので必死こいて遠出して一言一句聞き漏らすまいと全力で聴いてすべての話題をなるべく詳細にまとめたレポです。
山口晃さんという方は今年の大河ドラマのOPの絵部分を担当されてまして、なんといってもその特色は平安時代に確立されたやまと絵と現代的・近未来的要素をミックスした独特の画風で「現代の大和絵師」と呼ばれている激エモ画家さんです。
私はもうほんとに山口さんの作品が大好きでトークイベントも行きたいなあなんていつも思ってるんですけど毎回即完売で…というところに地方かつ山口さんの地元の桐生で講演があると聞いて渡りに船。即申し込みをしていそいそと行ってきたわけです。
なお、こちらは鮭子としてのツイ垢でなく個人的なツイ垢であげたものなので口調に関してはご容赦ください。
まだ途中の感があるけどもう4500文字以上あって大変なのでこのくらいで…
・「日本橋」の話
日本橋の上って高速が走っててクッソ不評じゃん?でも山口晃は容認派なんだって
っていうのも
・日本橋というのは日本の道路の起点であるので「高速道路の起点」でもあると考えるのも自然なのではと思うから
・風景として切り取ったときに高速道路をなくしてしまうと景観が間延びしちゃうから
・下にかかってるのがほんとの日本橋なのに高速の陸橋自体に「日本橋」っていうくそデカプレートがついちゃっててもうあの高速自体も日本橋という「記号」の一部なんじゃないかと思うから(「googleで『日本橋』って検索かけてもらうとあの高速道路混みで写されているものがほとんどなのであれももう日本橋の一部と化しちゃってますね」って言ってた)
・「だからもういっそ高速の陸橋の上にもう一個木造の日本橋をかけてしまえばいいのでは」と思ってそういう絵を描いた
・実際に木造の日本橋を現在の日本橋の近くに新たにかける計画もあるようだがそれはもう「日本橋」ではなくイミテーションではないか
・観光地にある雰囲気で建てた「古そうな建物」が苦手で観光地でっせというところには行きたくない
古そうには見せているがイミテーションでしかない(も、も、ものすごく同意~~~~!!!!あの歴史感を演出されただけの商いをする目的しかない空間が持つ隠しきれない白々しさに恥ずかしくなってくるから観光地が苦手…)
・日本では電柱の地中化が進められているけれど電柱があると風景にリズムが生まれる(自分の絵とか円山応挙の絵を引き合いに出して鑑賞者の視線の動きを「視線がポン!ポン!ポン!ス~~~~~ときてまた戻って…」ってリズミカルに言ってて楽しそうだった)
・(風景のリズムという話に関連して)よく絵画の構図で黄金比の渦巻きを利用したものがいいとされているがあの渦巻きがあてはめられている構図は無理やりにあてはめているだけなんじゃないかと思う(ものすごくわかる)
・ネットでも話題になった電柱の地中化推進ポスター(北斎の赤富士の絵に電柱が何本も建っててどうですか?ってやつ)を例に出して電柱ある方を「ほら!こっちの方がいい…」とご満悦
・一見すると汚い工場群のスライドで説明「煙突やカラフルなトタンの小屋が非常にいいリズムで存在してます…ああ、あの場所に小屋があるのもいいですねえ」と嬉しそうだった
・街歩き旅の介(道後温泉とコラボしたアートイベント)で作品として電柱地中化地区に自分の作品にもよく出す装飾つきの電柱を建てたらクソほど怒られたけど「私はいいと思ったんですがねえ…」と悲しそうだった
・道後温泉本館横の風景はなかなかいいけど「邪魔な建物があってあれはなんですかと聞いたら観光事務所だそうで…。もうあれだけが!あれだけが邪魔!消したい…!」と珍しく過激な論調
・とある旅館の屋上にに目立つ看板があったがそこの主人が景観を気にする人でその看板を白く塗りつぶしてしまった
が、塗りつぶす前後の景観を比べると塗りつぶし後は目立っていた看板がただの白になってしまい間の抜けた印象になった
景観を気にするのもいいことだが何でも目立つものは消してしまえというのはどうなのか
・クソほど押してて主題の桐生に関しては駆け足だった
・桐生にはいい歴史的建造物が多くあったけど多くが取り壊されて残念
・以前街中にとてもいい洋館がありそれを取り壊しが決まったときに何度も足を運んでやめてもらうように説得したが、家主から「こんな状態で住み続けろというのですか」とひどい雨漏りでボロボロになった状態を見せられさすがに引き下がったが残念だった
・図面等も残っていて現代の技術でその歴史的建造物たちをまた建てることは可能だけれど現代の建物を知ってしまった、当時を知らない我々(現代人)が立てても絶対に再現できない
・会場から少し離れたところに天満宮があり、本殿の装飾が見事で大変いいところだがボロボロな上に隣を流れる水路にある水車も水が止まっているため回っておらず残念
市長と話をしたときにどうにかならないかと話をしたが、「ウ~ン…」とかなり歯切れが悪かったので何か事情がありそうだしちょっともうこの話は出さないでおこうと思ったとのこと
・服装なんてどうでもいいけどオレンジ色のシャツの上に黒?紺?のカーディガン羽織って、下は黒に近いジーンズに茶色のつるっとした革靴でした
・あまりに物腰柔らかすぎてゲイ疑惑(作品見てる人は知ってるけど毎回饅頭みたいな顔に描かれちゃう奥さんがいるで!)をかける美術ファンもかつていたくらいお品がいい…下品な話をしても品がいい人に思われるって得だで
・講演始める前に司会の人がいだてんOPの絵描いてることに触れたとこから開始早々瀧の話になってた(大麻の葉っぱ描いてたのも笑ったし瀧はコカインだから描くならコカの葉っぱだけどな!)
・「いだてんOPの絵はOP撮影時にまだ出来上がってなかったんですよ」と話してたけど場内のほとんどの人が(毎回自分の個展にすら間に合わないんだしそうだろうな)と思ってたはず
・序盤に「何を話すか決めずに来たんですがたぶんこの内容なら1時間で収まると思います(キリッ)」って言ってたのに時間が押し始めては「うん、これならあと15分以内に収まると思います」→「あれもうこんな時間ですか?でもこれなら(以下略)」ってのを3、4度繰り返して最終的に45分延長でなんとか終わりにしてた
・題が「桐生の審美的な位相に関する考察」とか言っときながらほぼ「景観なんでもトーク」と「視線誘導」の話だったんだけど「建物の塗装が及ぼす景観への影響」みたいな話で楳図かずおの家の話になってホワイトボードにあの紅白ボーダーの家描いて「ほら!赤と白で塗ってあるから補色の緑が生えるんですねえ…」って木を書き足したらマーカーのキャップがどれがどの色のかわかんなくなってパニックになってたの正直かわいかった(それしか言えんのか)
・あと後方席の客のためにスクリーンの半分がホワイトボード写してるカメラで(もう半分はスライド)、本人はもちろんそっちのカメラなんか見ないで客とかスライド見て話してたんだけどあるときカメラ側のスクリーンに顔認識の四角が出てるのに気づいて追尾してくる四角に大はしゃぎしてネタ中のふかわりょうみたいな動きしてて笑ったしめっちゃかわいかった
・この講演会場で子供のころに学校行事で英語劇やったって話で序盤に脱線ぶちかましてたんだけど、英語の発音がけっこういい(英会話十年やってた民並感) まあ海外の仕事もあるから話せるんだろうけど、でもそれにしても(まあネイティブとかリスニングCDレベルでは全然ないけど)発音がよかったなあ
・「ポン!ポン!ポン!ス~~~~~」っていう構図のリズムをとるのを何度もやってて、ほんとに楽しそうでかわいかった(この時ばかりは普段垣間見える知的さは全くなくて子供みたいにキャッキャしてた)
・以前京都のミシュラン店の主人が「日本料理とは(この発言はちょっと曖昧)」と聞かれて「私が作るものが日本料理です」ときっぱり言い放ったのを見て「い、言ってみたい~!!!『私が描くものこそが絵です』って言ってみたいですね~!」ってキャッキャしてた
・普段はどんだけ賞賛されても絶対に謙遜する人なんだけど、自分の絵を見て「ウワこのリズム感…こんないい絵誰が描いたんでしょう…?あっ、私か///」って珍しく自画自賛して「地元くらいはこういうことも言わせてください」って言っててかわいかった
・時間がかなり押してたのを確認したときに「ウ~ン 時間足りないの介」って小声で言っててかわいかった
・「イミテーション」ってワードを書いた隣に立ちションする人を描いて、「子供のころは『おしっこ、うんこ』を自己規制して言わないようにしていたんですが、そうするとこうして大人になってもこういうことをやめられないでいます。子供さんには言わせてあげてくださいね。いつかは自然と卒業します。卒業できないとこうなります」と自虐
・この講演の前に市の職員さんが景観の基礎知識と心構え(まあ一般的景観論よ)と取り組みを駆け足ながらも詳しくプレゼンしたんだけどそれに反すること(電柱の話等々)を言いまくって「もうこの講演には呼んで頂けないかと思います」とか「ここで私の姿をお見せするのは最初で最後になるかと思います」と何度も自虐
でも講演後に司会の職員さんの「ええ~でもまた来ていただければと思うんですが…」という言葉に会場は拍手…来年に期待
・前髪がクルッと丸まってるとこがあって上品知的紳士山口晃のクルッとした前髪に萌えていたのは会場内でも私だけだと思う
日本橋の上にかかる高速道路や街中の電柱のように「邪魔である・不快である」とされているものもそれは「元あったものが生み出す景観を壊している」という刷り込みの可能性があると提示した。それに則り視界をただの「街並み」ではなく「景観」として切り取ってみればその異質とされるものが視界という構図の中にリズムを生み出しているのではないかという論理から、ここで例示したものを一概に悪と定義づけるのではなくそれらとの共存(塗装やある程度装飾、あるいはそのままの状態)や容認をするという姿勢もアリなのではということを山口晃はこの講演で示したと思う。
しかし私個人の意見では一視点から切り取った場合にはその姿勢でいいのかもしれないが、都市という人間があらゆる視点から眺める立体造形物の集合体でその論理を適用すると見る場所や遠近法の関係でやはり景観という構図にどうしても破綻が生まれてしまうのではないだろうか。一部の視点から見た景観が上手くいっても破綻して見えてしまう場所の景観はどうなるのか。そういった場合に関しての見解も聞きたかった。(あ、でもこれはどう考えてもいらねえツッコミだし講演は超楽しかったよ~!)
やっぱりみんなあの楽しいアイデアとか絵の上手さ緻密さに気を惹かれるし私もそうなんだけど、そっちは本人が身に着けてきた技量や頭から浮かんでくるアイデアという「気にしてる、大事にしてること」じゃなくて自ずから湧き出るものなのであって、本人として大事にしてるのは視線誘導の方なんじゃねえのかなあと聞いてて思った
正直街歩き旅の介のポスターの夏目漱石コスの写真、和装も洋装もめっちゃ好き…
いつかおじさん向けファッション雑誌で着飾ってみてほしい、普段のダサめの服ですらかっこよく見えるんだから絶対最高になるで
