昔、小説家になりたかった男がいた。



   だが、男は小説家になれないまま、年老いてしまった。



   「もう、今からでは無理だな・・・・・・」



   かって、小説家を目指した青年の成れの果ての姿になった老人は淋しげに


   笑った。



   世界は無数の色に彩られていたが、それが老人にはなぜか、残酷なものに感じられた。




   そして、時間は逆流する。




   小説家になりたかった男が、まだ、「青年」だった時代に。