高橋大輔(フィギュアスケート) 完全復活へ大きな動き
2009年11月17日 * 筆者 武内絵美
日本のエースが氷上に帰ってきました。大けが、手術を乗り越えて、バンクーバーでは華麗で力強い演技を見せてくれるはずです。
◇
〈アサヒ・コム拡大版〉
武内 右ひざ前十字靱帯(じんたい)断絶のけがから1年たちました。この1年間は、どういう1年でしたか。
高橋 良いことも、悪いこともいっぱい来たな、と思ってます。
武内 4年前、トリノ五輪の後に、その後の4年間を想像すると、「けがをするかもしれない」と言っていたのを覚えてますか。
高橋 ええ。それが現実になるとは思ってもみませんでしたが。
武内 トリノから今までを、どうとらえてますか。
高橋 すごく上も見たし、すごく下も見た。無駄な経験はなかったと思う。五輪まであと3カ月の中でも無駄なことはないと思うので、その中でできることをやり切りたい。
武内 手術を決断した要因は。
高橋 このまま行っても100%はできないだろうと言われたので。手術すればリハビリ次第ではけがをする前の状態に戻るし、完全に復帰できると言われて決断しました。
武内 今まで、大きな手術はありました?
高橋 ないです。初めて。
武内 やはり、怖かった。
高橋 いえ、あまり怖さはなかった。治ると言われていたんで。手術するまでは前向きでしたが、2日後からリハビリを始めたんですが、そのときは、どうなるんだろうと思いました。
武内 その手術をしたスケート選手で、今まで完全復帰した人がいないというのは知っていた?
高橋 第一線で戦っている人の中では聞いたことないですね。でも、ラグビーとか、ぶつかり合う競技で復帰している選手はたくさんいるので、あまり気にならなかった。
武内 手術したひざを見て、どう思いましたか。
高橋 足は細くなっているし、ひざは曲がらないし伸びないし、動かすのも痛いし。これで普通にできるのかな、と思いました。思った以上に大変なんだな、と。
武内 リハビリは。
高橋 1カ月入院して、1日8、9時間。いや、もうきつかった。スケートの練習でもそこまで長く拘束されなかったし、やることが本当に地味だったので。同じことを何回も何回も。やり切った、という快感もないし、気持ち的にきつかった。
武内 かなり痛かったと。
高橋 体がかたかったので、痛かった。筋肉の中の奥の方をほぐして軟らかくして、そこでもう一回ちゃんとした方向に動くようにして、そこからまたトレーニングして。
武内 投げ出したことも。
高橋 1回、ボイコットしたこともありました。スッと切れたみたいな感じになって。セーブがきかないタイプなので、どんどんやっていって知らないうちにちょっと疲れたんだと思います。「今日はリハビリに行こう」と気持ちになりながら、やっぱり行く気力が出なかった。
武内 周りは心配したでしょう。
高橋 コーチもリハビリの先生も病院のスタッフも「急にどうしたんだ」ってなって。1~2週間くらい、まったく電話にも出ず、やりたいことをやってました。
武内 何をしてたんですか。
高橋 家に引きこもってテレビを見たり、ふらっと新幹線に乗ってどこかに行ったり。何も用意してなくて、着る服もないんですけ、とりあえず行こう、という感じで。
武内 何を見に。
高橋 何も見てないですね。ただ行っただけ。何をしてたかもあまり覚えてないくらいで。
武内 その間、何を考えてました?
高橋 自己嫌悪だけですね。自分のわがままで周りに迷惑かけて、情けない、と。完全に無駄な日々でした。意味のない生活というか、何も新しい気持ちの変化があったわけでもなく、ただ単に逃げた2週間。あれがなければもっと早く氷に上がれていたかもしれないし。
武内 リハビリに戻ろうと思ったきっかけは。
高橋 もうこれ以上行かなかったら、戻れないなと思って。先生に「すいませんでした。もう一回よろしくお願いします」と謝ったら、普通に対応してくれて助かりました。
●氷に体吸い付く
武内 氷の上に戻ったときはどんな気持ちでしたか。
高橋 寝る前は、楽しみと不安でいっぱいでした。また転ばないだろうか、靱帯(じんたい)を切らないだろうかとか考えて。最初は怖かったけど、滑ったら自分が思っている以上にすごく感触がよく滑ることができた。氷に乗った瞬間に、リハビリでやってきたことで体が変わったな、というのが分かった。お、行けるんじゃないか、という希望が見えました。
武内 どんな感触が。
高橋 氷をとらえる感じですね。足元から体全体が、本当に氷に吸い付くように感じられた。けがをする前は、そういう感覚が、あまりなくなっていたので、幅が広がって、できることが増えた感じです。
武内 スケートに対する思いは変わりました?
高橋 スケートが普通にできるという喜びは感じました。人前で滑って自分を見せられるということは、すごく幸せだと思う。歓声をもらうというのは、みんなができることじゃない。そういうことを、試合に出られなくなって感じた。だから、やれることがはっきり見えるようになった。一つ一つをこなしていく目標というのが、すごく明確に見えるようになった気がします。
武内 リハビリを経て、スケートで変わった点は。
高橋 スケーティングはすごく変わりました。ステップもスピンもすべて一回り大きな動きができるようになりました。練習では、けがをする前より質が良いスピンができるようになった。ステップも一回り大きくできるようになった。その分、エッジが深く入りすぎるなどして、コントロールが難しくなった。コントロールを意識しないと早い動きができなくなったような、別の面も出てきましたが。
武内 リハビリの過程での肉体改造の成果。
高橋 ひざや足首など下半身の可動域が広くなった。自分の中では今までと全然違う動き。下が使えるようになってきたら、上半身も柔らかくしています。
武内 NHK杯ではステップでの転倒などがありましたが、体の変化が影響してるんですか。
高橋 今回は、アピールしようと思うテンションと体が、プログラムの中で思った以上に疲れていたのかも。ちょっとバランスを崩したところもありました。動く範囲が広くなって前よりは体力を使うので、そこら辺は見極めていきたい。動きが大きくなったので、ちょっとバランスを崩すとすぐには戻らない。行き過ぎちゃって戻すのに力がないと戻りきらないというのがあって転んだのかな、と思います。
●より「踊り心」を
武内 自分の体に自分自身が慣れてない。
高橋 練習ではだいぶ出来るようになってますが、試合では、緊張などで参ってしまうと、うまくコントロールできてない。これは練習あるのみです。バランスを崩しても対応できるようにプログラムを何度もこなしていくというのは、練習でもやっている。ただ、リハビリで可動域を広げられたんですが、スケートで作り上げた体なので、スケートをすると戻ろうとする。リハビリ直後に比べたら、だいぶ狭くなってきたので、可動域の広がりをなくさないようにしつつ、コントロールしつつ、ですね。可動域を緩めすぎると締まらないとか、試合に合わせていくのが大変です。
武内 まだまだ伸びていくという感覚は。
高橋 まだまだ良くなっていくと思いますし、良くしていかなきゃいけないと思う。数字で表すのは難しいけど、理想とするところからは、まだ50くらい。
武内 NHK杯を経て、20日からのスケートカナダに向けての課題は。
高橋 動きをコントロールしていく中で「踊り心」が飛んじゃっていた。「昔はもうちょっとダンスしていた」と言われて、確かにそうかもしれない、点を取ろうとしているな、と。曲を聴いて、それを感じて踊れるようにしたい。踊っている中で、うまくコントロールしていくというところを気を付けながらやっていきたい。ジャンプは練習で4回転を決めることが自信につながる。普段の練習でコンスタントに決めて、自信を持ってやることが大切かな、と。でも、カナダが最後じゃないので、焦らずにやっていきたい。
武内 NHK杯前の3戦をどう見ていましたか。
高橋 もう4回転は普通だったし、プルシェンコさんは何年も試合に出ていないのに、ジャンプは失敗する気配を感じさせなかった。正直、ちょっとへこんでしまうぐらい、この人は違うな、と。怪物か、と思ってしまった。本当に試合なのか、というくらいリラックスしていて、アピールもできている。それが王者と凡人の違いかな、と思ったし、自分もああいう自信を持ってやっていきたい。今シーズン、グランプリ・シリーズを見ても、1番だった人が7番にいるなど、誰が勝つか分からない。ジャンプだけじゃなく、レベルの高いものを持っている選手がたくさんいるので、本当に厳しい試合になると思う。でも、厳しければ厳しいほどやりがいがあるので、楽しみです。
武内 9月から栄養士をつけたとか。
高橋 まあ、何でも食べていいよ、と言う感じです。自分でもお弁当をつくりながら楽しんでます。
武内 お弁当?
高橋 お昼をつくってます。前の日の夜に用意して。詰めるのが結構楽しくて、今日は良くできた、とか。ブロッコリーやパプリカとか、トマトなんかを入れます。あとはひじきや肉、ご飯。カラフルな方がおいしく見える。
武内 自慢の料理は。
高橋 アメリカでつくったキーマカレーなんか、意外とおいしいですよ。ショウガをたくさん入れて。
武内 試合の前に食べる料理はありますか。
高橋 とりあえず、カプサイシンを食べますね。良かった試合って、毎晩、韓国料理を食べに行ってた。キムチチゲとか。パワー出るし、やせるし。韓国料理が合うのか、同じ量を食べても、韓国料理の方がやせるんです。
武内 やはり、体重は気になりますか。
高橋 そうですね。4回転は62キロあると跳べません。59キロがベストなんですが、61キロならギリギリ跳べます。
武内 ところで、夢はありますか。
高橋 目標はバンクーバー五輪で金メダルを取ることです。4年前からそれを目標にやってきた。そんなに長い目標は持ったことがありません。
武内 トリノ五輪はどんな舞台でした?
高橋 前回は緊張しか覚えてなくて、本当に自分がなかった。緊張もしたし、欲も出ていた。落ち着いてなかった。
武内 1年後の自分は想像できますか。
高橋 分かりません。五輪次第なので。まだスケートをしているかもしれないし、していないかもしれないし。
美しさ「魅せる」コツに驚き
〈後記〉日常生活では包丁も握り、氷の上ではその美しさに目を奪われてしまう手を見せてもらうと「僕、指が短いんですよ」と笑っていました。確かに、長くはない指でしたが、氷上ではどうしてあんなに長く見えるのか。指はピンと伸ばすより、そろえずにフワリと伸ばした方が長く見えるそうです。実演してもらうと、肩からひじ、そして指先までが波打つような動きをして、驚くほど長くしなやかに見えました。フィギュアの強さと美しさを「魅(み)せる」コツに驚きました。(テレビ朝日アナウンサー)
■インタビューは、20日の「報道ステーション」でも放送予定です。
*
たかはし・だいすけ 86年、岡山県倉敷市生まれ。06年トリノ五輪8位。08年の四大陸選手権でフィギュア男子歴代最高の264・41点を記録。関大大学院在籍。165センチ、59キロ。
http://www.asahi.com/sports/column/TKY200911170351.html
逞しくなったよなぁ。ほんっと。
来週のスケートカナダが楽しみだ
報道ステーションはめったに見ないけど
これは見逃せないな♪
国際スケート連盟(ISU)
(財)日本スケート連盟
スポーツナビ ウィンター フィギュア
@niftySportsフィギュアスケート特集
関連過去記事
スポーツ@フィギュアの話 - http://ameblo.jp/kakomonogatari/theme-10001901254.html
2009年11月17日 * 筆者 武内絵美

◇
〈アサヒ・コム拡大版〉
武内 右ひざ前十字靱帯(じんたい)断絶のけがから1年たちました。この1年間は、どういう1年でしたか。
高橋 良いことも、悪いこともいっぱい来たな、と思ってます。
武内 4年前、トリノ五輪の後に、その後の4年間を想像すると、「けがをするかもしれない」と言っていたのを覚えてますか。
高橋 ええ。それが現実になるとは思ってもみませんでしたが。
武内 トリノから今までを、どうとらえてますか。
高橋 すごく上も見たし、すごく下も見た。無駄な経験はなかったと思う。五輪まであと3カ月の中でも無駄なことはないと思うので、その中でできることをやり切りたい。
武内 手術を決断した要因は。
高橋 このまま行っても100%はできないだろうと言われたので。手術すればリハビリ次第ではけがをする前の状態に戻るし、完全に復帰できると言われて決断しました。
武内 今まで、大きな手術はありました?
高橋 ないです。初めて。
武内 やはり、怖かった。
高橋 いえ、あまり怖さはなかった。治ると言われていたんで。手術するまでは前向きでしたが、2日後からリハビリを始めたんですが、そのときは、どうなるんだろうと思いました。
武内 その手術をしたスケート選手で、今まで完全復帰した人がいないというのは知っていた?
高橋 第一線で戦っている人の中では聞いたことないですね。でも、ラグビーとか、ぶつかり合う競技で復帰している選手はたくさんいるので、あまり気にならなかった。
武内 手術したひざを見て、どう思いましたか。
高橋 足は細くなっているし、ひざは曲がらないし伸びないし、動かすのも痛いし。これで普通にできるのかな、と思いました。思った以上に大変なんだな、と。
武内 リハビリは。
高橋 1カ月入院して、1日8、9時間。いや、もうきつかった。スケートの練習でもそこまで長く拘束されなかったし、やることが本当に地味だったので。同じことを何回も何回も。やり切った、という快感もないし、気持ち的にきつかった。
武内 かなり痛かったと。
高橋 体がかたかったので、痛かった。筋肉の中の奥の方をほぐして軟らかくして、そこでもう一回ちゃんとした方向に動くようにして、そこからまたトレーニングして。
武内 投げ出したことも。
高橋 1回、ボイコットしたこともありました。スッと切れたみたいな感じになって。セーブがきかないタイプなので、どんどんやっていって知らないうちにちょっと疲れたんだと思います。「今日はリハビリに行こう」と気持ちになりながら、やっぱり行く気力が出なかった。
武内 周りは心配したでしょう。
高橋 コーチもリハビリの先生も病院のスタッフも「急にどうしたんだ」ってなって。1~2週間くらい、まったく電話にも出ず、やりたいことをやってました。
武内 何をしてたんですか。
高橋 家に引きこもってテレビを見たり、ふらっと新幹線に乗ってどこかに行ったり。何も用意してなくて、着る服もないんですけ、とりあえず行こう、という感じで。
武内 何を見に。
高橋 何も見てないですね。ただ行っただけ。何をしてたかもあまり覚えてないくらいで。
武内 その間、何を考えてました?
高橋 自己嫌悪だけですね。自分のわがままで周りに迷惑かけて、情けない、と。完全に無駄な日々でした。意味のない生活というか、何も新しい気持ちの変化があったわけでもなく、ただ単に逃げた2週間。あれがなければもっと早く氷に上がれていたかもしれないし。
武内 リハビリに戻ろうと思ったきっかけは。
高橋 もうこれ以上行かなかったら、戻れないなと思って。先生に「すいませんでした。もう一回よろしくお願いします」と謝ったら、普通に対応してくれて助かりました。
●氷に体吸い付く
武内 氷の上に戻ったときはどんな気持ちでしたか。
高橋 寝る前は、楽しみと不安でいっぱいでした。また転ばないだろうか、靱帯(じんたい)を切らないだろうかとか考えて。最初は怖かったけど、滑ったら自分が思っている以上にすごく感触がよく滑ることができた。氷に乗った瞬間に、リハビリでやってきたことで体が変わったな、というのが分かった。お、行けるんじゃないか、という希望が見えました。
武内 どんな感触が。
高橋 氷をとらえる感じですね。足元から体全体が、本当に氷に吸い付くように感じられた。けがをする前は、そういう感覚が、あまりなくなっていたので、幅が広がって、できることが増えた感じです。
武内 スケートに対する思いは変わりました?
高橋 スケートが普通にできるという喜びは感じました。人前で滑って自分を見せられるということは、すごく幸せだと思う。歓声をもらうというのは、みんなができることじゃない。そういうことを、試合に出られなくなって感じた。だから、やれることがはっきり見えるようになった。一つ一つをこなしていく目標というのが、すごく明確に見えるようになった気がします。
武内 リハビリを経て、スケートで変わった点は。
高橋 スケーティングはすごく変わりました。ステップもスピンもすべて一回り大きな動きができるようになりました。練習では、けがをする前より質が良いスピンができるようになった。ステップも一回り大きくできるようになった。その分、エッジが深く入りすぎるなどして、コントロールが難しくなった。コントロールを意識しないと早い動きができなくなったような、別の面も出てきましたが。
武内 リハビリの過程での肉体改造の成果。
高橋 ひざや足首など下半身の可動域が広くなった。自分の中では今までと全然違う動き。下が使えるようになってきたら、上半身も柔らかくしています。
武内 NHK杯ではステップでの転倒などがありましたが、体の変化が影響してるんですか。
高橋 今回は、アピールしようと思うテンションと体が、プログラムの中で思った以上に疲れていたのかも。ちょっとバランスを崩したところもありました。動く範囲が広くなって前よりは体力を使うので、そこら辺は見極めていきたい。動きが大きくなったので、ちょっとバランスを崩すとすぐには戻らない。行き過ぎちゃって戻すのに力がないと戻りきらないというのがあって転んだのかな、と思います。
●より「踊り心」を
武内 自分の体に自分自身が慣れてない。
高橋 練習ではだいぶ出来るようになってますが、試合では、緊張などで参ってしまうと、うまくコントロールできてない。これは練習あるのみです。バランスを崩しても対応できるようにプログラムを何度もこなしていくというのは、練習でもやっている。ただ、リハビリで可動域を広げられたんですが、スケートで作り上げた体なので、スケートをすると戻ろうとする。リハビリ直後に比べたら、だいぶ狭くなってきたので、可動域の広がりをなくさないようにしつつ、コントロールしつつ、ですね。可動域を緩めすぎると締まらないとか、試合に合わせていくのが大変です。
武内 まだまだ伸びていくという感覚は。
高橋 まだまだ良くなっていくと思いますし、良くしていかなきゃいけないと思う。数字で表すのは難しいけど、理想とするところからは、まだ50くらい。
武内 NHK杯を経て、20日からのスケートカナダに向けての課題は。
高橋 動きをコントロールしていく中で「踊り心」が飛んじゃっていた。「昔はもうちょっとダンスしていた」と言われて、確かにそうかもしれない、点を取ろうとしているな、と。曲を聴いて、それを感じて踊れるようにしたい。踊っている中で、うまくコントロールしていくというところを気を付けながらやっていきたい。ジャンプは練習で4回転を決めることが自信につながる。普段の練習でコンスタントに決めて、自信を持ってやることが大切かな、と。でも、カナダが最後じゃないので、焦らずにやっていきたい。
武内 NHK杯前の3戦をどう見ていましたか。
高橋 もう4回転は普通だったし、プルシェンコさんは何年も試合に出ていないのに、ジャンプは失敗する気配を感じさせなかった。正直、ちょっとへこんでしまうぐらい、この人は違うな、と。怪物か、と思ってしまった。本当に試合なのか、というくらいリラックスしていて、アピールもできている。それが王者と凡人の違いかな、と思ったし、自分もああいう自信を持ってやっていきたい。今シーズン、グランプリ・シリーズを見ても、1番だった人が7番にいるなど、誰が勝つか分からない。ジャンプだけじゃなく、レベルの高いものを持っている選手がたくさんいるので、本当に厳しい試合になると思う。でも、厳しければ厳しいほどやりがいがあるので、楽しみです。
武内 9月から栄養士をつけたとか。
高橋 まあ、何でも食べていいよ、と言う感じです。自分でもお弁当をつくりながら楽しんでます。
武内 お弁当?
高橋 お昼をつくってます。前の日の夜に用意して。詰めるのが結構楽しくて、今日は良くできた、とか。ブロッコリーやパプリカとか、トマトなんかを入れます。あとはひじきや肉、ご飯。カラフルな方がおいしく見える。
武内 自慢の料理は。
高橋 アメリカでつくったキーマカレーなんか、意外とおいしいですよ。ショウガをたくさん入れて。
武内 試合の前に食べる料理はありますか。
高橋 とりあえず、カプサイシンを食べますね。良かった試合って、毎晩、韓国料理を食べに行ってた。キムチチゲとか。パワー出るし、やせるし。韓国料理が合うのか、同じ量を食べても、韓国料理の方がやせるんです。
武内 やはり、体重は気になりますか。
高橋 そうですね。4回転は62キロあると跳べません。59キロがベストなんですが、61キロならギリギリ跳べます。
武内 ところで、夢はありますか。
高橋 目標はバンクーバー五輪で金メダルを取ることです。4年前からそれを目標にやってきた。そんなに長い目標は持ったことがありません。
武内 トリノ五輪はどんな舞台でした?
高橋 前回は緊張しか覚えてなくて、本当に自分がなかった。緊張もしたし、欲も出ていた。落ち着いてなかった。
武内 1年後の自分は想像できますか。
高橋 分かりません。五輪次第なので。まだスケートをしているかもしれないし、していないかもしれないし。
美しさ「魅せる」コツに驚き
〈後記〉日常生活では包丁も握り、氷の上ではその美しさに目を奪われてしまう手を見せてもらうと「僕、指が短いんですよ」と笑っていました。確かに、長くはない指でしたが、氷上ではどうしてあんなに長く見えるのか。指はピンと伸ばすより、そろえずにフワリと伸ばした方が長く見えるそうです。実演してもらうと、肩からひじ、そして指先までが波打つような動きをして、驚くほど長くしなやかに見えました。フィギュアの強さと美しさを「魅(み)せる」コツに驚きました。(テレビ朝日アナウンサー)
■インタビューは、20日の「報道ステーション」でも放送予定です。
*
たかはし・だいすけ 86年、岡山県倉敷市生まれ。06年トリノ五輪8位。08年の四大陸選手権でフィギュア男子歴代最高の264・41点を記録。関大大学院在籍。165センチ、59キロ。
http://www.asahi.com/sports/column/TKY200911170351.html
逞しくなったよなぁ。ほんっと。
来週のスケートカナダが楽しみだ

報道ステーションはめったに見ないけど
これは見逃せないな♪
国際スケート連盟(ISU)
(財)日本スケート連盟
スポーツナビ ウィンター フィギュア
@niftySportsフィギュアスケート特集
関連過去記事
スポーツ@フィギュアの話 - http://ameblo.jp/kakomonogatari/theme-10001901254.html
ワールド・フィギュアスケート 39![]() ¥1,890 Amazon.co.jp | ワールド・フィギュアスケート 40![]() ¥1,890 Amazon.co.jp | 日本男子フィギュアスケートファ ¥1,890 Amazon.co.jp | フィギュアスケートDays Plus男子シングル読本 200 (2009) ¥1,890 Amazon.co.jp |
![]() ![]() |