奈良女児殺害:小林薫被告に死刑判決 求刑通り
04年11月に奈良市で小学1年の有山楓ちゃん(当時7歳)が誘拐、殺害された事件で、殺人とわいせつ目的誘拐など八つの罪に問われた元毎日新聞販売所従業員、小林薫被告(37)に対し、奈良地裁は26日、求刑通り死刑を言い渡した。奥田哲也裁判長は「生命をもって罪を償わせるほかない」と理由を述べた。死刑適用基準となっている永山則夫元死刑囚の最高裁判決(83年)以降、犠牲者が1人で、金品目的でなく、被告に殺人の前歴がないケースでの死刑選択は極めて異例。小林被告の弁護人は控訴する方針。
判決によると、小林被告は04年11月17日午後1時50分ごろ、1人で下校中の女児を奈良市内で車に乗せ、同3時20分ごろ、奈良県三郷町の自宅に連れ込み、風呂場でわいせつ行為をしたところ抵抗され、3分間浴槽に沈め、さらに動かなくなった後も全身を2分間沈めて水死させた。その後、遺体の一部を傷つけたうえ、同10時ごろ同県平群町の造成地の側溝内に放置するなどした。
判決は、性欲を満たすため女児を誘拐した自己中心的な動機を厳しく非難。5分間も浴槽に沈めた行為や遺体の写真を添付したメールを母親に送信した残虐性や幼い命を奪った結果の重大性を指摘し、「極刑以上の刑を与えてほしい」などと法廷で述べた両親の激しい処罰感情を重視した。
殺意については「(女児を風呂に入れた際に『おっちゃん、エッチ』と騒がれた)言動を契機に発生したとしながらも、(しっかりした)女児の言動から発覚を免れるために殺害を考えたもので、激情犯的なものとは違う」と殺害の計画性を認めた。また殺害方法から「確定的かつ強固な殺意を抱いていた」とした。
さらに、情状鑑定結果について「家庭環境やいじめが人格形成に決定的な影響を与え得たとは考えられない」と断じた。
公判で小林被告は「死刑にしてほしい」との発言を繰り返した。これについて判決は「投げやりで、真摯(しんし)に反省しているとはいえない」と指摘。さらに「もはや30代後半の壮年の域に入り、更生は極めて困難」とした。
また、被害者が1人であることを考慮しても、幼少の女児で性的被害に遭っていること、犯行の計画性や残虐性、被害者感情などの点で、「数だけをもって死刑を回避することはできない」と結論付けた。【高瀬浩平】
▽西浦久子・奈良地検次席検事の話 検察官の主張が全面的に理解され、納得のゆく判決である。
▽小林被告の高野嘉雄弁護人の話 極めて遺憾な判決。まず結論ありきで、事件の背景、被告人の人格形成について極めて表面的な判断しかしていない。情状鑑定についても生かされておらず、理解が浅いと言わざるを得ない。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060926k0000e040052000c.html
奈良女児殺害:死刑判決に小林被告、表情変えず
「被告人の命を持って、罪をつぐなう他はない」。奈良地裁で26日開かれた奈良市の有山楓(かえで)ちゃん(当時7歳)誘拐殺害事件の判決公判。奥田哲也裁判長が後回しにした主文を読み上げ、「死刑に処す」と述べると、判決文朗読に静かに聴き入っていた法廷内にどよめきが起きた。その瞬間、父茂樹さん(32)は目を真っ赤にして小林薫被告(37)をにらみつけ、楓ちゃんの遺影を抱いた母江利さん(30)はじっとしたまま。一方、「早く死刑になりたい」と繰り返していた小林被告は表情を変えなかった。04年11月の事件発生から1年10カ月余り。司法は極刑を選択した。
開廷から約1時間半がたった。奥田裁判長が「前に出なさい」と促すと、小林被告は被告人席からむすっとした表情で立ち上がり証言台に。奥田裁判長は「被害者の数だけをもって死刑を回避すべきことが明らかであるとは言えない」と述べ、死刑判決を言い渡した。
茂樹さんはハンカチを握りしめ、組んだ両手を顔に当てて目をつぶった。退廷する小林被告をにらむ目は真っ赤だった。江利さんは女性警察官から声をかけられると、小さくうなずいた。
奥田裁判長の判決朗読は午前10時過ぎに始まった。小林被告は初めて口ひげを伸ばして法廷に現れ、グレーの半袖姿。奥田裁判長が「求刑にかんがみ、主文は最後に朗読します」と述べ、「長くなるので座って下さい」と言うと、証言台から被告人席に戻り、右手で右足の太ももを数回、軽くたたき、目を閉じて静かに判決を聞いた。
自らが情状鑑定人に述べた、楓ちゃんに睡眠薬を飲ませようとしたら既に死んでいたという、殺害を否定する話について、「検視結果にもなく、虚偽と断ぜざるを得ない」と指摘されると、大きく体を揺らし、「なんだよ」というように不満そうに口を開く場面もあった。
判決文朗読の間、江利さんはピンクの布に包んだ遺影を抱えるようにうつむいたまま。判決が動機などに触れ、「冷酷で非人間的な行為だ」と述べるとハンカチを目にあて、時折、すすり泣くように鼻を押さえた。茂樹さんはひざに手を当てて、裁判長の方をまっすぐに見据えた。楓ちゃんが幼い命を奪われた事件の詳細が法廷で再現されると目を閉じ、唇をかみしめた。
6月26日の最終弁論で意見を聞かれ「何もありません」と述べた小林被告は、今月に入り「死刑にして欲しい」という内容の手紙を裁判所に送っていた。しかし、事前に弁護人から「死刑の場合は控訴する」と弁護方針を伝えられると、黙って聞いていたという。
一方、楓ちゃんが通った奈良市立富雄北小(同市富雄北1)では、この日も地元住民や保護者に付き添われながら児童が登校。田中弥彦(ひろひこ)校長によると、楓ちゃんの机と椅子は今年4月、校長室に移され、机の上には白いユリや黄色い花などが絶えない。廊下には、両親の寄付で制作された、子どもたちの遊ぶ様子が描かれた絵が飾られているという。
田中校長は「いかなる判決が出ても両親の心が癒やされることはないだろう。本校職員、保護者、地元の人にとって事件は終わることはない。改めて冥福を祈りたい」と話した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060926k0000e040075000c.html
死刑にガッツポーズ 小林被告にんまり 奈良女児誘拐殺人
口ひげをたくわえた男は、これまでの公判と同じように、無表情でふてぶてしい態度に終始した。奈良小1女児誘拐殺人事件で奈良地裁は26日、小林薫被告(37)に死刑判決を言い渡した。「主文は後回しにします」。厳刑をうかがわせた奥田哲也裁判長の冒頭の言葉には、ガッツポーズをするように右手の拳を小さく数回振り、にんまりと笑みまで浮かべた。一方、被害者の有山楓ちゃん=当時(7)=の両親は、楓ちゃんの遺影を持って傍聴。かけがえのない娘の命を奪った被告をにらみつけ、泣き崩れた。
◇
「主文、被告人を死刑に処する」。開廷から約1時間半後、死刑判決が言い渡された。その瞬間、小林被告は手を組んで、けだるそうに首を左右に2回揺すった。奥田裁判長に「判決は分かりましたか」と尋ねられると、1回だけ小さくうなずいた。
「自分の犯した罪の重大性をもっと真剣に受け止めるようにしてください」。判決が言い渡された後の裁判長の説諭も、じっと立ったまま聞くだけだった。
小林被告はこの日、午前10時前、グレーのポロシャツにスウェット姿で、ゆっくりと入廷。無精ひげのような口ひげの生えた顔をうつむき加減にし、憮然(ぶぜん)とした態度で被告席に着席した。
奥田裁判長から、主文の後回しを告げられた瞬間は、まるでガッツポーズをとるように右手の拳を小さく数回振った。さらに勝ち誇ったように、にんまりと笑みまで浮かべた。
これまで再三にわたり、死刑を望む発言を繰り返してきた小林被告。入廷時のなげやりな態度とは一転したそぶりだった。改めて自らを誇示するようなその態度には、小林被告の「異様さ」が凝縮されていた。
奥田裁判長が判決を読み上げる間も、みけんにしわをよせたまま口を固く閉じ、無表情のまま。全国各地で子供を狙う犯罪が相次ぎ、判決に注目が集まるのをよそに、これまで通り無気力な様子で大きく足を広げ、深く被告席に腰掛けていた。
半面、いらつくのか、首筋のあたりをかくなど、落ち着きのないしぐさもみせた。
これまでの公判でも、小林被告の口からは明確な謝罪の言葉は聞かれなかった。6月の最後の公判では、最終意見陳述の際、奥田裁判長に「何もありません」。だが、結審後には、奥田裁判長あてに、死刑を望んでいることを強調する手紙を2回も出していた。
弁護人などによると、手紙では「更生する自信がない」などとする一方、仮に無期懲役の判決が出た場合は、恨みのある2人に対し、服役後の仮出所時に復讐(ふくしゅう)することをほのめかし、「必ず実行する」と書かれていたという。
ふてぶてしい態度を取り続け、最後まで「死刑」にこだわり続けた小林被告。事件を真摯(しんし)に受け止める態度は、ついに一度も見せなかった。
◇
■両親、遺影を抱き涙
「楓とともに判決を聞きたい」。傍聴席には、楓ちゃんの父、茂樹さん(32)と母、江利さん(30)の姿があった。「決して許さない」と訴え続けてきた茂樹さんは、死刑判決が言い渡された瞬間、深々と息をはき、江利さんは両手に抱えた楓ちゃんの遺影をぎゅっとにぎりしめた。
茂樹さんは黒のスーツ姿、江利さんは黒のワンピースにグレーのジャケット姿。江利さんは楓ちゃんの遺影をピンクのハンカチに包んで、11回に及んだ公判で初めて法廷に持ち込み、判決の瞬間を待った。
小林被告が入廷すると、茂樹さんはやや緊張した面持ちで正面をみつめ、江利さんもうつむいていた顔をあげ、小林被告をにらみつけた。
両親は奥田裁判長が読み上げる判決理由を、目を閉じたり、両手を前にくむなどして静かに聞いていた。読み上げが楓ちゃんの殺害状況に及ぶと、茂樹さんは祈るような姿勢をとり、江利さんも悲しみをこらえきれず、ハンカチで目頭を押さえてすすり泣いた。両親はこれまで欠かさず公判を傍聴し、小林被告の態度に「反省の様子が見えない」とし、愛娘(まなむすめ)を奪われた悔しさをあらわにしてきた。
小林被告の「死刑」を聞き終えた後、付き添いの職員が、泣き崩れた江利さんの手をさすり続けたが、江利さんは長い間、立ち上がることができなかった。
◇
■「結論ありき」 弁護側が批判
判決公判終了後、小林被告の弁護団は弁護士会館で記者会見。判決を「まず(死刑という)結論ありきで、極めて遺憾」と批判した。
会見で、主任弁護人の高野嘉雄弁護士は「事件の背景や被告の人格形成について、極めて表面的な判断だった。何のために情状鑑定をやったのか」と主張。さらに、「事件について社会に考えてもらうのが裁判所の役割。小林(被告)を抹殺するだけでは、第二、第三の小林が出てくる」と述べた。
◇
■小林被告の供述
法廷で投げやりな態度を見せてきた小林被告。これまでの供述を拾った。
「(殺害して)自分のものにしたという満足感を持った。悪いことをしたと思うが、心からわびる気持ちはない。第二の宮崎勤(死刑囚)か、宅間守(元死刑囚)として世間に名が残ればいい。小林薫の名を知らしめて満足している」(平成17年4月の初公判で朗読された逮捕後の供述)
「(いじめられた小学校時代は)この世に存在していない無のような感じ。みじめったらしい過去だからあまり思い出したくない」(同年5月9日第2回公判)
「(過去のわいせつ事件で服役中は)一種の社会勉強と思った。うわべだけの反省だった」(同月23日第3回公判)
「(「次は妹だ」とメール送信した理由は)報道が下火になり、面白くないと思った」(同年6月13日第4回公判)
「(女児に対し)おわびの言葉しかない。就寝前に毎日手を合わせている」「(事件が報道され満足した気持ちは)変わらない」(同年7月4日第5回公判)
「早く茶番を終わらせ、死刑を言い渡してほしい。生きていても面白くない」(18年3月27日第6回公判)
「逮捕され楽になった」(5月25日第8回公判)
「(裁判長から意見陳述を促され)いえ、何もありません」(6月26日の結審で)
◇
■事件をめぐる主な経過
平成16年
11・17 事件発生
12・30 わいせつ目的誘拐容疑で小林薫被告を逮捕
17年
1・19 わいせつ目的誘拐罪で起訴、殺人などの容疑で再逮捕
2・9 殺人、強制わいせつ致死など5罪で追起訴
3・4 別の強制わいせつなど2罪で追起訴
4・18 初公判。被告が起訴事実を全面的に認める
7・4 第5回公判で地裁が被告の情状鑑定実施決定
18年
2・14 鑑定人が鑑定書を奈良地裁に提出。「反社会性人格障害」と診断
3・27 公判再開。被告が「死刑を望む」と供述
6・5 検察側が死刑を求刑
26 弁護側が最終弁論を行い、結審
9・26 小林被告に死刑判決
http://www.sankei.co.jp/news/060926/sha019.htm
当然だと思う。
殺害した人数で死刑か無期かなんて その差をつけるのがおかしい
人数ではない 人の命を奪い未来を奪った事にかわりはないわけで
地裁とはいえ この判決をくだした裁判官はスゴイとも言えるのかもしれない
裁判は前例・慣例みたいなものがあり ラインが引かれていたものを超えての判決
時代は変っている 一人だったら無期で 数年すれば世間に出られるという感覚をなくしてかなきゃ
今回のとは違うけど 未成年だから無問題♪
精神障害あるから無問題♪
そりゃオカシイって!
犯罪者に人権は無いとは言わないけど それよりも被害者と被害者の人権の方が優先
犯罪者がひたすら守られるなんていうのは違う
死刑に対してイロイロ考えもあろうけど 反省もせずニヤつく犯人に対して
情状酌量などという事は 被害者に対して間違っていると思うのだ。
![]() |