友達と歩いていた日が暮れかかっていたころ 新宿の歌舞伎町側へ渡ろうとする大きな交差点


信号待ちをしていて ふーっと街の雑踏が遠のいた

気が付くと なんだか向こう側に見える人込みが異様に多い

一番前に居る一人と目が合った


・・・・・あれ?


確かにそこに立って信号待ちをしている人のはず

でも よく見ると 体が透けていて 後ろに立つ人たちが見えるのだ

そして そんな人が数人が 私を見ている視線がある



・・・・・誰だろ?



信号がかわり人が動き出す


こちらは向こう側に 向こう側からこちら側に たくさんの人が交錯している

そして たくさんの透明というか・・・白く透き通った人達が 私の横をすり抜ける


そしてすれ違うたび 私に視線を投げかけていく



  「あんたは見えるんだね・・・」



どこからか声が聞こえたように気がして驚き 

思わず隣に居る友達の腕を握り締めた



  「ん?どした?」



その女友達の声と一緒に 歌舞伎町の街の雑踏とネオンが戻ってくる



  「今 いっぱい透明な人が見えて・・・」


  「はぁ?」


  「いや・・・ごめん・・・・・・」



友達の あまりにでかい声にも驚いてしまった・・・・



  「オマエさー 街中でも見るようなっちゃったん?」


  「・・・・・・・・みたい」


  「わかるけど 頼むから一緒の時にそういうのはカンベンして」


  「・・・・・・うん でもさー 居たんだもんさ」


  「・・・・・・・・・・・・・」


  「・・・・・・・・・・・・・」


  「・・・・・・・でさ 足ってあるの?」


  「・・・・・・・・あるけど」


  「幽霊って足が無いもんなんじゃないの?」


  「あー あれは 見た人間が恐くって 足元を見る余裕が無いから 無いものってなったみたいだよ」


  「ふーーーん なるほど・・・・・で あるんだ」


  「普通にあるし 歩いてるし・・・・」


  「う゛ー 気持ち悪い!」


  「気持ち悪いったって 見えるんだもん 仕方ないじゃん!!」




本当に普通に街の中を歩いていた ただちょっと半透明な感じなだけで

街の中に溶け込んでたのは確かで

それに気づいた私のほうが なんだか浮いた存在だった時間


  「なんで私に見えるんだろう?」



数日後 行きつけの飲み屋で常連の お祓いも出来るほどという人と 店が込んでいてって理由で相席になった



  「Sちゃん また拾ってきたね」



いきなり言われてしまった・・・



  「ほんっと拾って来るよね」



私の背中を叩きつつ じわーーっとナンかを唱えつつ



  「とりあえず 僕がもらっておくから」



どうも この人と店で会うタイミングの時は 私が拾っちゃってる事が多くて・・・

気持ちのせいだろと言われてしまえばそれまでだけど

この人と会うと まさしく肩の荷が下りたような 軽くなったのは確かで


なんたって自縛霊の居る場所に住み 浮遊霊を拾うという とんでもない体質なわけで

ある日 あんまり拾うのを心配して その人に言われたのが



  「なんで 自分に見えるのか 何かして欲しいの?」



と、問うてはいけないという事 この人は聞いてくれると思って ひっついてきちゃうということで



  「自分には何もしてあげられないという意思を はっきり伝えなければならない」



なるほどーーーの納得で それを知って以来 金縛りにあっても



  「ごめんねー あたしには存在はわかるけど 何にもしてあげられないの ちゃんとわかる人の所に行って・・・」



心の底から思うことにしたら 金縛りの頻度が減ってくれた。




その店のホステスさんに一人 やっぱり霊感の強い子がいて

私とその人が相席になったところに来た途端 店の蛍光灯が『パチンッ!』と音をたて

お互い顔を見合い なんだろ?と思いつつも なんてことない話をしていて

ふとしたキッカケで さっき変な音がしたよね?って話題になると



  『パチンッ!』



また 蛍光灯がはじける音が・・・・



  「聞こえた?」


  「うん・・・聞こえた・・・」



回りの客が反応した気配は無くて 私たちのテーブルだけが キョロキョロとあたりを見回す



  「あー あそこに居る・・・」



その人が 店の隅を指を指す その瞬間また



  『パチンッ!』


  「元々 こういう場所が好きな女性みたいだけど・・・Sちゃんにくっついていきそうだから 僕がもらって浄化するね」



どうやって浄化するんだろうと思いつつも 私が入れたカラオケの順番になり 話しはそこで途切れた。


≪霊感体質≫「序章(?)」

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≪霊感体質≫初めての体験

≪霊感体質≫こっくりさん 前編

≪霊感体質≫こっくりさん 後編

≪霊感体質≫高3の夏

≪霊感体質≫体質開花?!


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