イチロー 世界一へ決勝も3番
決勝戦を翌日に控えた公式会見。イチローは闘志を体の奥に抑え込むように静かな口調だった。
「日の丸を背負っていることでモチベーションが上がる。モチベーションが上がるから感情的になる。ここまできたらチャンピオンになってみんなに喜んでもらいたい」
打順は準決勝・韓国戦と同じ3番に座る。王監督は「打順に大きな変更はない。3、4番のところは変えない」と語った。韓国戦では3安打2盗塁をマークしたが、決勝でも出塁だけでなく、ポイントゲッターの役割が求められる。世界一のカギは間違いなく背番号51が握っている。
JAPANのユニホームを着た福岡合宿から約1カ月がたった。今は王監督を胴上げすることしか頭にない。イチローはある時「バッティングが簡単だと思ったことがありますか」と指揮官に尋ねたという。答えは「そんな時期は全くなかった」だった。技術向上への探求心は世界の本塁打王も変わりなかった。「僕はそのことで常に戦っている。王監督の言葉に勇気をもらった」。同じ価値観を共有し、きずなは深まった。ナインへの信頼にも揺らぎはない。「できればこのチームでメジャーリーグで戦いたいくらい。それぐらいのチームですよ」。やり残したことは何もない。
相手はメジャー選手が1人もいないキューバだ。大塚とともに大会に最後まで残ったメジャーリーガーは「そのことに誇りを感じている」と言った。アマ球界トップの最強軍団だろうが、簡単に世界一の座を与えるわけにはいかない。大会後はすぐにマリナーズに合流する。JAPANでの最後の戦い。昨年12月に世界一を誓った公約を果たす時が来た。
≪松中と福留が“キューバ対策”≫10年前の雪辱に燃える2人が、キューバの激しい野球に対して注意を呼びかけた。96年アトランタ五輪で銀メダルを獲得した松中と福留。決勝ではキューバの前に屈したが、プロ入り後の五輪経験も踏まえて“キューバ対策”を口にした。
「キューバは勝つためには何でもやってくるチーム。国対国。特にキューバとやるときは強い気持ちでやらないと、ケガをすることが多い」
自身は一度も勝てなかったが、身を持って体験してきただけに松中の言葉は重みがある。併殺崩しの二塁へのスライディングや本塁でのクロスプレー。厳しさと激しさは徹底しており、準決勝のヒーロー福留も「集中力は凄い。何でもありということを頭に入れておかないと」と続けた。
すでにミーティングで注意を喚起。世界一への戦いは“肉弾戦”の様相も呈してきたが、松中は4番のプライドから「日の丸をつけて戦う以上は勝つプレーをする」と一歩も引かなかった。
≪チーム全体での決起集会≫王監督主催でチーム全体での決起集会が開かれた。監督、コーチと選手だけでなくスタッフも含めて総勢60人余りが参加。王監督は「あしたは全員で頑張ろう」とあいさつし、サンディエゴのシーフード料理に舌鼓を打った。この集会はすべて王監督のポケットマネーで、全員で決勝での打倒キューバを誓い合った。
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20060321&a=20060321-00000001-spn-spo
【WBC】王ジャパン必勝継投
王JAPANが初代王者となって、世界の野球史に大きな足跡を刻む。国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」日本代表は今日20日(同21日)ペトコ・パアークで午後6時(同午前11時)からキューバと決勝戦を行う。決戦前のこの日、米ニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂博物館関係者が訪れ、王貞治監督(65)のシューズが同殿堂に展示されることが内定した。王監督は先発に松坂大輔投手(25)を指名し、2番手に渡辺俊介投手(29)、最後を大塚晶則投手(34)で締める必勝リレーを想定。アマチュア世界王者のキューバを倒し、初代WBC世界王者の座をつかむ。
決勝戦を翌日に控え、王監督は感慨深げに言った。
「今までは米国が野球で一番だと思われていた。それが今回の決勝では日本とキューバが出た。日本の野球を世界に示すことができたが、ほかの国にも刺激になったと思う。これもWBCのいいところだよ」。
もちろん決勝進出で満足する王監督ではない。世界一まであと1勝。必勝で臨む。相手はアマ王者キューバ。ベールに包まれたチームだけに情報量は少ないがイメージはできている。
「昔のリナレスやキンデランがいた時の野球じゃない。金属バットから木製になって、野球に対する考え方が変わったんじゃないかな」。
18日の準決勝を視察。かつてのスピード、パワー野球から脱却していることを痛感した。「アメリカ的というより、むしろ日本的。鏡を見て野球をやらなきゃな。お互いにドカンドカンとはいかない。細かく、うまくつなげた方が勝つ」と接戦を覚悟した。
王JAPANも韓国戦で打線は目覚めたが、やはりカギは投手が握る。先発には松坂を指名した。「調子はどんどん上がってますよ。これで終わりじゃないし、この後に本番(日本の公式戦)があるわけだから」。球数制限は95球に緩和されているが、球数の多いタイプの松坂だけに継投がテーマになる。「松坂で本格的にいって、その後に渡辺俊が幻惑させてくれるだろう」。単純に松坂の直球と渡辺俊のカーブを比較すれば、約60キロの緩急がある。加えて本格派と地面スレスレから投げる下手投げ。この両極端を最大限に生かす。「松坂、渡辺俊、大塚の3人で終わればね」。この3投手のリレーこそが、王JAPANの「世界一の方程式」というわけだ。
そんな王JAPANの「戦いの軌跡」が野球の聖地、クーパーズタウンに刻まれる。野球の世界最強国を決めるWBCの第1回大会。野球宗主国の米国も果たせなかった決勝進出を、日本は果たした。その第1回を象徴する野球用具として、決勝戦のグラウンドの土を踏みしめる王監督のシューズを、日本を代表して野球殿堂博物館に展示することが内定した。
すでに野球殿堂博物館には、ハンク・アーロン氏の本塁打記録を破った打者として、王監督の一本足打法の写真パネルが飾られている。日本人選手でも、イチローが04年にメジャー最多記録262安打を樹立した時の用具、ヤンキース松井のメジャー初本塁打バットなどが展示されている。ただ、今回は選手個人ではない。世界に日本野球を知らしめた王JAPANの活躍が、野球の本場、米国で評価された証しだ。
全体練習後、午後7時から決起集会の食事会が行われた。「最後だからね。文句のない最高の舞台。明日でとにかく終わりなんだから。気は楽ですよ」。世界一を前にしても背伸びはしない。ここまで勝ち上がってきた、王JAPANの戦いをするだけだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060321-00000071-nks-spo
まもなく始まる決勝戦
今からどきどき!
わくわく!
きっときっと勝ってくれる
頑張れ 日本!!