シミルボン・2017年1月5日初投稿

 

毎月25日に発売されていた手塚治虫ファンのための手塚作品だけの雑誌『手塚治虫マガジン』。
雑誌サイズで『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『どろろ』『シュマリ』などが読むことが出来ました。

連載順に読むことは出来ず、各エピソードごとに取り上げる形だったので、雑誌連載の再現までにはいかなかったのですが、カラーページもそのままで読むことが出来たり、当時単行本未収録の作品『暗い穴』が読めたり、手塚治虫先生のエッセイが読めたり、手塚治虫先生の映画評論が読めたり、漫画の余白の柱には、手塚作品の豆知識をスパイダーことオムカエデゴンスが説明をしてくれる『おまけDEゴンス』のコーナーがあり、巻頭ページでは手塚治虫先生の長男眞さんが、手塚治虫先生について語っていたり、石坂啓先生、藤子不二雄A先生が手塚治虫先生のことを語っていたり、この雑誌が発行されていた時代の手塚作品に関する、舞台、ゲーム、アニメ、DVD情報などが紹介されていて、どれもこれもが、手塚作品についての情報満載で単行本未収録や作品についてのこぼれ情報や幅広い手塚ファンのイラストや作品への思い出を語る手紙も紹介されていて、手塚キャラ人気投票があり、手塚ファンの熱い思いや思い出から手塚ファンの冷めない作品への思いを知ることが出来た雑誌でした。

2003年10月号で、手塚治虫先生の長男眞さんが手塚治虫先生のことを語っているのですが、この時には手塚眞さんがTVアニメ『ブラックジャック』を手がける時で、その『ブラックジャック』についても語っています。
『ブラックジャック』はそれまでの間に実写映画、実写ドラマ、OVAなどになっていて既に映像化はされていたのですが、私が見ることが出来た『ブラックジャック』の映像化は、私は漫画の『ブラックジャック』の素直な映像化が見たいのに、どうしてこう捻ってくるのだろうという不満があって、ここで手塚眞さんが言っていた

 

手塚 B・Jは、これまでいろいろな形で映像になってきましたが、今回はいちばん原作に近いものになります。ストーリーはもちろん、キャラクター設定もできる限り原作に忠実になるようにめざしています。ファンの方には、これぞB・Jの世界だというのを見ていただきたい。漫画が持つ遊び心を活かしながら、アニメとして楽しくて、そのあとに心に残る部分があるという。そんな作品です。

 

という言葉に、まだ手塚眞さんの監督しての実力を知らなかった私は、半信半疑だったのですが、実際に放送されたテレビアニメ『ブラックジャック』『ブラックジャック21』を見たときに
「これだ!これよ!このブラックジャックが見たかったの!」
と、歓喜乱舞していました。
「ああ、私が思っていた漫画の『ブラックジャック』がちゃんとアニメになっている!」
という喜びは本当にようやく、『ブラックジャック』が映像化されたという思いでいっぱいでした。
これで、私の中で手塚眞監督は、親が手塚治虫だからすごいのではなくて、手塚眞監督ご本人もまたすごいクリエーターなんだなって思うようになったのです。

『おまけDEゴンス』は作品の豆知識だけではなく、手塚治虫先生が影響を受けた作品の紹介、手塚治虫先生の作品の拘り、また手塚治虫先生自身が自身の作品について語った言葉も紹介されていてそれを読むのも楽しかったです。
また、2003年12月号では巻頭のカラーページで『リボンの騎士』の特集があって、この時は手塚治虫先生が好きな宝塚歌劇団の紹介も合わせてしているのですが、ここで手塚治虫先生が1947年に宝塚歌劇団の機関誌『歌劇』で描いていたイラスト、ルポが紹介されていて、それを見ることが出来たのも貴重で嬉しかったです。
タカラジェンヌの顔を野菜の形の似顔絵にしているのも、ユーモアがありましたし、手塚治虫先生の綺麗で品のある絵が宝塚への愛とあいまって見ているだけでうっとりしました。
 

ぼくは女性が描けないんです。女性を描くと宝塚になっちゃうんです。

 

という手塚治虫先生の言葉が紹介されていますが、宝塚歌劇団って女性なのに?って思ったのですが、多分、それは中性的になってしまうというか、舞台上の夢のような世界の女性でありながら男性、また娘役であってもどこか現実とは違う浮世離れした一つの理想の夢の世界のこの世とは違う女性の姿が宝塚であって、手塚治虫先生が女性を描くとそういう現実とは違う女性になってしまうことを、「ぼくは女性が描けない」って言葉になったのかなあって思ったりもします。
多分、手塚治虫先生は絵に関してコンプレックスを持っていましたから、少し謙遜というか、そういうのもあっての言葉だったのかなって思います。
あくまで私の推測の域を出ませんが。

本当に貴重な話、出来事、未収録や普通なら見られない手塚治虫先生の作品やイラスト、エッセイ、手塚治虫先生と関わった人達の手塚治虫先生の思い出などを読むことが出来た楽しい雑誌でした。
値段も330円でお求め安かったのも良かったです。
値段と内容を考えると手塚治虫先生のファンには、贅沢な雑誌でした。