バイトを始めてから半年以上経過してもなかなかバイクの免許(中免)を取らないK君。

まぁ、せっかく貯まった金だからな。もしかしたら、家の事情かもしれないし。

なんて考えていた。

 

高校1年が終わる3月頃、S君が中免を取って、400ccのバイクを購入した。S君が元々乗っていた50ccのオフロードタイプのバイクはK君に貸す流れになった。K君は原付の免許は持っている。その後一年以上、K君とS君の3人でツーリングに行ったりしていた。

 

時は流れ高校3年の夏。相変わらずK君は中免を取っていない。

S君とK君の3人で過ごす時間が当たり前になっていた。しかし、春先くらいから、K君が約束に来なかったり、遅れてきたり、いつもと違う感じになることが多くなってきた。バイトの配達も溜まり気味で、K君の分をS君が配達したりすることも増えてきたという話をS君から聞いたりしていた。K君の高校は進学校だから、単位とか勉強とか大変だ、とK君は言っていた。

 

そしてある日の夕方、K君から電話がきた。やたらテンションが高く、興奮気味だった。

K君 「〇〇、今日焼肉いくぞー!おれがおごるから!」

僕 「え?いいけどどうしたの?」

K君 「スロットで5万くらい買ってるからや、もしヒマなら△△に来てみろって!」

僕 「スロットなんてやってたの?まぁいいや、とりあえず行くよ」

K君 「おう、じゃあ待ってるから。もしかしたら7万くらい勝つかもしれないから!」

 

金額は正確に覚えていないが、たしかこんなやり取りだったと思う。僕はK君がいるパチンコ屋に行った。僕の父親もパチンコをする人だ。昔は、子供でもパチンコ屋に入るのが普通?だったので、パチンコというものに珍しや驚きは無かった。

店はタバコの匂いと騒音がすごかった。若干の懐かしさを感じながら、K君を探した。

K君はパチスロ北斗の拳を打っていた。僕は北斗の拳がスロットになってるんだ、なんてのんきに店内を散歩し始めた。八代将軍吉宗?主役は銭形?カエルがスロット?色々あるもんだなぁなんて考えながら、K君の所に戻った。

ケンシロウとラオウが戦っている。K君はまだ終わらないからもう少し待ってて、今6万くらい買ってるから!とやたらテンションが高かった。

 

K君を待つことに飽きてきた頃、パチンコ海物語という台に着席した僕がいた。人生初のパチンコである。10分足らずで5000円が消えた。唖然とした。

こんなものバカらしい。その時は素直にそう思った。

K君は結局6万くらいの勝ちで終わったらしい。僕らはパチンコ屋を出て、焼肉屋に行った。

 

今日のK君はご満悦だ。

「今日はこの台が来るってなんか分かったんだよね。台が話しかけてきたって感じ!」

ニコニコしながら得意気に話していた。僕は、いつからスロットとか始めたの?と聞いた。

どうやら春くらいから友達に誘われて通い始めたようだった。その時点で、学校の勉強とかで大変だというのがウソだったということが分かったが、焼肉をおごってもらうので黙っていた。

K君がウソをついて約束に来なったかり、破ったりしていたことに、わだかまりを残しながらも、僕の中にはもう一つ、それ以上にモヤモヤした感情が残っていた。

 

「さっきパチンコで負けた5000円、取り戻したい」

 

焼肉の帰りによったコンビニで、K君はパチンコの雑誌を読んでいた。なるほど、パチンコの雑誌には色々な情報が書いてあるわけだ。これを読めば色々分かる訳だ。

 

僕はK君のとなりで、パチンコの雑誌を立ち読みしていた。

 

続きはまた今度にします。