この世はもう死んだ…
人口の9割は実況者で店頭からマイクは消え
ヘッドセットなどは闇ルートで高値で売買されている
実況をしない奴には罰
政府も実況者に肩入れするようになってからこの世の歯車は狂い出した

俺は死にたくない生き延びたいが為に実況を始めた、元は歌い手としてそこそこ有名だった

歌い手として飯を食べていこう!
歌い手として皆に俺の思いを届けようそう思っていた時期も俺にはあった

今は歌い手時代のぽこたと言う名前を捨てほそぼそ実況活動をしている

再生数などは過疎だが特に気にならない実況自体に興味がある訳でもないしね

元々俺は歌い手時代よく実況者にネタにされたりバカにされたりしていた

うんこちゃんにはよくネタされていたが負け犬の遠吠えだと思い鼻で笑っていたよ

それが今はどうだ、うんこちゃんがこの国の首相になり世界各国にまで影響を及ぼす存在になっちまった

歌い手を捕まえた奴には国から報償金まで出され歌い手は徐々に消えていった…

このトーキョーも変わってしまった
どこに行っても次の新作の話やランキングに入れた事の自慢話ばかりだ
俺はよくこの公園のベンチに腰掛け昔の事を思い出し物思いにふけってる

歌い手時代
俺は歌で何でも出来そうな気がしていた

……

「変わっちまったな俺も」

何て独り言をつぶやいてると一人の浮浪者が喋りかけてきた

歌を捨て切れなかった男蛇足だ

こいつは家も家族もすべて失い今はこの公園の隅でほそぼそと暮らしている

いつもの様に昔話に花を咲かせていると蛇足が真剣な面持ちで話だした

「明日の日曜ニコニコ動画原宿でテロを起こす、同胞も参加する予定だお前も参加しないか?」

正直俺はめんどう事は嫌いだ、ただ歌い手としての自分も捨てきれない
俺はすぐに返事が出来なかった

「まぁ明日気が向いたら17時にこの公園の来てくれ」

……分かった

そう答えて俺は家路に着いた

家に着くとスカイプを立ち上げ明日ニコニコ動画原宿にてテロを行う事をチャット友達に相談した

チャット友達は歌い手をたくさん集めればニコニコ動画原宿くらいなら占拠出来るのでは?そこから本拠地に出来れば逸し報いれるはずだよ
と言った
蛇足も人をたくさん集めたくて俺を誘ったのか
仕方ない明日は俺も参加して少しはこの腐敗した実況時代に風穴開けてやろう!
そう思い次の日あの公園に行った

するとざっと100人程の歌い手が集まっていた、闇商人のリモーネ、人気実況者になった96猫、マイク製造職人ピコ
このメンバーならやれる!不安が一気に消え去った

発案者蛇足がしわ枯れた声で喋りだす

「本日は集まっていただいて有り難う、実況関連で安定した生活を送ってる者なども危険をかえりみず参加してくれたのはホントに嬉しく思う」

ホントに嬉しかったんだろう蛇足の目から涙が零れ落ちた

「皆今日はニコニコ動画原宿で実況者のイベントが行われている、実況者を人質に取りカメラに向かって歌おう」

周りが一瞬騒ついた
歌を公で歌える事の期待とその後どうなるか分からない恐怖に色々思う事があるだろう

「人質の実況者は傷つけてはならない、今日の放送は全国に流れるアンチを増やすのは出来るだけ避けたい!人質を傷つけず歌を歌い全国の同胞の眠れる獅子を呼び覚ます、そして我々歌い手も実況者の様に普通に暮らせる世の中に作り変えるんだ!」

おぉぉぉ!!!

喚声が上がった
歌い手たちの士気も一気に上昇した

「それではさっそく5人1グループに分かれてニコニコ動画原宿に向かう」

俺は蛇足と同じグループに入る事になった
移動中蛇足は終始無言だった
強気な事を言ったのは皆の不安感を取り払う為だったんだろう
こいつ自身は不安感で今にも押し潰されそうになっている

蛇足の気持ちやこれからどうなるのかなどと考えてるうちにもうすぐニコニコ動画原宿だ

……

何かがおかしい…

実況者のイベントとなればこの周辺は人込みで前に進むのも困難なはずだ

なのに…

ガラガラだ

どういう事だ?

蛇足もその事に気付いた様だがもう後には引けないんだろう今までより足早にニコニコ動画原宿に向かい始めた

もう目の前にニコニコ動画原宿が見える



人がいない…

明らかにおかしい

実況者も視聴者も一人もいる気配がない

するとニコニコ動画原宿2階から男が数人降りてきて俺たちの目の前に立った

俺は恐怖で立っている事すら困難になった

「やぁ」

首相うんこちゃんである
その脇には歌い手をイジメる事に快楽見いだすみずちまで従えている

俺たちは終わった…

「有り難うぽこた」

うんこちゃんは突然私に会釈をしながらお礼をした

「君のおかげで歌い手というブラック因子がここに来る事が把握出来た」

何の事か自分にはさっぱり分からなかった
隣を見ると蛇足が今にも血管が切れそうな様子でこちらを見ている

「ぽこた、まだ気付いてないの?おぶちっていうチャットフレンドいるでしょ?あれは私うんこちゃんだからw」

……!

「有り難う君のおかげで歌い手を一斉に始末出来るよ、ただ変な話私もそこまで極悪人じゃない君たちにチャンス与えよう」

何を言われるのか…
足の震えが止まらない

「君たち歌っていいよ」

どういう事だ!?

うんこちゃんがそんな事を言うはずがない

「2曲からどちらか選ばせてあげよう、やんよやんよかてれすけれん」

!!!

そんなもの歌ってしまえば公にうんこちゃんへ忠誠を誓ってしまうものじゃないか!

「さぁ選んで、5分だけ延長してあげるからじっくり考えて、ひん」




続く?





ベン・トーに影響されてくだらない設定の文を書いてみた