更新するのは意外と地味ですね

翌日、如月は国道沿いから店のガレージの入口に有る腕木式信号と言う昔の鉄道の標識は緑の「Open」と赤の「Close」が書かれている。今まで陽光が後ろから照らしていた赤を緑の方に指す。すなわち「Open」である。時刻は午前九時。改装前の平日の時間だ。今日は休日で普段は八時オープンだが初日なのでお目こぼしを頂きたい。

 ドアには「閉店までOpen」とふざけた看板を掛けた。誰が来るかなぁと開店後、店でそわそわしていた彼が聞こえたのは、リッターバイクらしき音。入ってきたのはBNW1200RTの赤。バイクがさざっとドア横に停まり、随所にあるスタンド立用のコンクリブロックにスタンドを立てた。来客の主は彼がよく知っている人物だった。

「斉藤さん。第一号です。」

斉藤と呼ばれた白髪が目立つ男はヘルメットを脱いでにこりと微笑み「おめでとう」と言った

「驚いたなあ。店開けて五分も立たないんだもん」

 如月は、写真家の斉藤を歓迎して店に招いた。斉藤はなにやら大きな包みをバイクから卸し、持って入ってきた。

「これ新装開店祝い」

「パチンコ店じゃないんですよ」

 と言いつつ如月は嬉しそうだ。早速ラッピングをはがす。そこには四つ切りサイズの新しい『SHIDEN』の写真が木製の額縁に収まって入っていた。それは六角形の光の一が左手上から差し込んでいる神々しい写真になっていた。

「斉藤さん、これって………。」

「悪いけど君が旅行中に寄せてもらって撮影した。わざとゴーストを入れて新装に見えるようにしてみたんだ。どうかな」

「ありがとうございます。飾らせていただきます」

 カタリと額縁を持ち上げて、とりあえずカウンターの隅に飾る。こうやってプロに撮影してもらうと別物の様に見えるなぁと感心してしまう。

「前の古民家風の店も良かったがこうやって山に溶け込むような店の方がマスターに似合うね。前のメニューでいいんだよね。今日のストレートコーヒーで」

「ああ、すいません。見とれちゃって。今日のストレートは奮発して《ハワイコナ》です」

「大奮発だね」