映画　「墓泥棒と失われた女神」　２０２４（令和６）年７月１９日公開　★★★☆☆

（イタリア語・英語　：　字幕翻訳　髙橋　彩）

８０年代のイタリア、トスカーナ地方。

列車のなかで居眠りをしていたイギリス人アーサーは、車掌に起こされます。

「切符を拝見します」

アーサーはポケットから旅行許可証を提示します。

（彼は刑務所を出所して自宅に戻るところのようです）

駅に着くと、ピッロが水色の車で迎えにきていました。

「スパルタコのおかげで出所できたんだから挨拶に行け」とか

「仲間たちにも顔を見せろ」といわれるも、

アーサーは彼の車に乗るのは気がすすまないようすです。

アーサーは車を降りてバラックのような自宅？でタバコを吸い

ある家を訪れます。

そこはアーサーの恋人のベニアミーナの家。

母のフローラ夫人が迎えてくれますが、彼女は足が不自由になり

声楽の生徒のイタリアという女性に介護してもらっていたのでした。

恋人のベニアミーナは何年も前に行方不明になっていて、

アーサーは寝ても覚めても彼女のことばかり思っていますが

未だ手掛かりなし。

町は「公現祭」で賑わっており、仲間たちも仮装をして盛り上がっていますが

彼らの目的は、アーサーを墓泥棒の仲間に引き入れること。

このあたりは紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡がまだ残っており

実はアーサーは人並はずれたダウジングの力を持っていて

副葬品の「お宝」を探し出すことができるのです。

この日も人骨とともにいくつかの装飾品を見つけると

金目のものを集めて、とある動物病院へ。

そこは盗品を買い取ってくれるスパルタコの窓口になっていて

持ち込んだ埋葬品を鑑定して、札束で支払われるシステム。

現金は７人で山分けして、これが彼らの収入源。

神から授かったダウジングの力をもつアーサーはどうしても必要なわけです。

　　　　　　　　　　（あらすじ　とりあえずここまで）

右側の２枚のポストカードは初日来場者特典でいただきました。

タロットカードを模したビジュアルとか、

ひと癖ありそうな７人の泥棒の風貌とか、面白そうな予感がしたので初日鑑賞。

ロルヴァケルという監督の名前を失念していたのですが

彼女は「幸福なラザロ」の監督でした。

（DVDで見て、ついていけなかったので、ブログは書いてないです）

『夏をゆく人々』映画「夏をゆく人々」　平成２７年８月２２日公開　★★★★☆イタリア・トスカーナ地方の人里離れた地に暮らす一家。気難しい父ヴォルフガングを中心に養蜂を営み、頼り…

ameblo.jp

「夏をゆく人々」は劇場でみたので、一応感想書きましたけど

トスカーナ地方の埃っぽい小汚い家族の話で、ビジュアルはけっこうきつかったです。

本作も舞台は同じだし、アーサーもけっこう小汚かったな～

イケメン英国俳優のジョシュ・オコナーなのに、

電車のなかで靴下売りに「足が強烈に臭い」といわれて

なぐりあってましたけど、お金もとらずに靴下くれたから、

よっぽど臭かったんでしょうね（笑）

冒頭からこういうストーリーにからまないエピソードがたくさん出てくるけど

ほとんど伏線にもなってないので、だんだん集中力が失せてきてしまいました。

夢か現実かの境界みたいな描き方が多く、

（アーサーの夢か、それとも過去の記憶なのかわかりませんが）

恋人のベニアミーナがニットの服を着ていて、

すそから赤い毛糸がどんどんほどけていくんですが

先っぽが土のなかに埋まって抜くことができない・・・・

というシーンが何度かでてきます。

これだけはラストに向けての伏線となっていました。

ストーリー的なことをつなぐだけだと、すぐに終わっちゃうかも。

とりあえず最後まで書いておきます（忘備録として）

ネタバレ

↓

↓

↓

↓

アーサーはフローラ夫人の家にいるイタリアといい感じになりますが

彼女にプレゼントした良い音色のベルが墓から盗んだものだと知ってショックを受けます。

「死んだ人から盗むなんてダメ」

「（副葬品は）人の目を喜ばせるんじゃなくて、魂のためのものよ」

「天罰が下るわ！」

アーサーたちはまったく荒らされていないスゴイ遺跡を発見。

広い石室には見事な女神像や装飾品がたくさん残っていました。

「これは俺たちへの贈り物だ」

「おれたちに見つかるのをずっとここで待っていてくれたんだ」

すると、穴の外からパトカーの音が聞こえてきます。

イタリアが通報したのかと、焦る仲間たち。

パトカーと警官の数は増えていき、とりあえず退散することにします。

仲間のひとりは女神像を叩いて、頭部だけをもちかえりました。

穴の外へ逃げ出すと、なぜか警官はだれも追ってきません。

彼らはどうやら（警官ではなく）スパルタコの傘下の盗賊団で、

アーサーたちの掘った穴から侵入して

大きな重機で、なにから何まで盗み取っていったのです。

首のない女神像もきれいに梱包されて密輸され、船上のオークションにかけられていました。

アーサーたちはその現場に潜入、スパルタコ（ｱﾙﾊﾞ･ﾛﾙﾊﾞｹﾙ）を呼び出し、

女神像の頭部をみせて買い取り額の交渉をするのですが、

アーサーは女神の頭部を湖に投げ落としてしまいます。

アーサーはバラックの自宅に帰りますが、そこはもう解体がはじまっていました。

イタリアの娘をみつけてついていくと、

彼女たちは無人の駅を改装して住み着いていました。

「あなたもここで暮らしたら？」といわれますが、

アーサーはそこを後にします。

外国人の若い男が純金の塊をみつけたという話を聞いて

またダウジングをして大昔の地下通路らしきものを見つけますが

アーサーが穴に入ったところで入り口が陥没してしまいます。

それでもどんどん奥に進んでいくアーサー。

しばらく進むと上から外の光が漏れる場所があり

そこから赤い毛糸がおりてきていました。（あらすじ　ここまで）

最後の方は、夢か現か、現世か死後の世界か

ふわふわ彷徨うような感じなんですけど

それ以前に閉所恐怖症の私にはあの狭い地下道がダメで

そんな余裕はなく・・・

イタリアたち女性が貧しいながらも共同生活をし

かわいい子どもたちもたくさんいて、

ここは数少ない幸せを感じる瞬間でしたが、

子どもたちの頭がシラミだらけで全員薬剤を塗られてたり

そんなエピソードいる？と思ってしまいました。

ファンタジックなきれいなシーンに

嫌がらせのように汚いエピソード入れてくるのは、作風なのかもね（笑）

（これは私の想像なので間違ってるかもしれませんが）

そもそもアーサーはこの地に考古学の学生か助手かなにかでイギリスからやってきて

ベニアミーナと知り合うも、彼女は行方不明に（多分死んでる）。

彼女の命と引き換えにダウジングの力を与えられ、墓泥棒の片棒をかつぐようになり

警察にアーサーひとりがつかまって出所、仲間と再会・・・

という流れのような気がしますが、

ダウジングの力を授かったのなら、そのまま考古学をやっていればいいのにね。

「墓泥棒」というのは、そもそも一番ゲスい犯罪です。

7人が見事なチームプレイで気づかれないように盗み出し、

警官とのかけひきとか、なんかもうちょっとゲーム感覚で楽しめるのならともかく、

彼らは小銭かせぎのために死者を冒とくし、安住の地を荒らしてるだけ。

最後まで不快さが勝ってしまって、楽しめるところまでいきませんでした。

歌もダンスも仮装もクオリティ低くて

（まあそれは本人たちが楽しければいいんですが）

肝心の女神像がかなり安っぽかったのは、これでよかったのかな？

ポスターは楽し気なんですけどね。