私が海遊館に魅せられたのはいつのことか…
小さい頃、今でこそ名が知れた病ではあるが、パニック障害の母が
発作を起こしつつ連れてきてくれたのがここ海遊館だった。
パニック障害とは人にとって様々ではあるが、多くは閉鎖された空間《電車、車、エレベーター、倉庫、暗所等々…》に入ることで突然死の恐怖が発生するーパニック発作を起こすー精神疾患の一つである。わかりやすくいえば、高層ビルから誰かに落とされそうになっているような恐怖が突如発生する病である。母の場合電車だった。
報道カメラマンであった父はほとんど家におらず、母はパニック障害で、幼い頃私は遠出をしたことがなかった。別に気にしているわけではなかったものの、やはり周りの子達たちがどこどこにいった等の話をしていると羨まかったのだろう。
それが母に伝わってか、それとも母自身の負い目かはわからないが、
母は私をここへ連れてきてくれた。
逆三角の下辺型の赤い屋根に青い大きな真四角があり真ん中には海の水面のように煌めくイルカが二体…初めて見る巨大な遊施設はさながら竜宮城のようで、私は小さな人魚のお姫様だった。
母が死の恐怖と戦いながらここまで連れてきてくれたことを、少しは理解していた私は、肝心な海遊館の中よりも、外観の方が印象に残っている。
大人になった今、私は海遊館の年間パスポート保持者で足しげく通っている。
子供の時を思い出すために行っているか、それともまだ子供なのかはわからないが
私にとって海遊館はいつまでも冒険と哀愁で満ちた竜宮城なのだ。