〜とある地方の街弁事務所での会話〜

兄弁「やあ新人君、メタバースの記事作成は順調?」

新人「実は、ボスからふられた事件処理でなかなか時間が取れず、あまりリサーチができなくて・・・。まずはメタバースについて、簡単に説明する記事を作ってみました!あと、訴訟手続について、メタバースが活用できるのではないかと思い、活用方法について僕なりに考えたことについて記載してます。」

兄弁「訴訟手続とメタバースが、どう関わるのかな?」

新人「実は、私が修習生だった時の集合修習はオンラインだったので、オンライン形式で民事と刑事の模擬裁判をしたのですが、異議を出すタイミングが難しかったり、証拠を示したりができなくて苦労しました。メタバースであれば、リアルと同じような感覚で訴訟ができるので、そういった場面が解消されるのではないかなと思うのです。」

兄弁「なるほど。最近は、web会議での期日もすっかり定着したしね。次の段階が、メタバースを利用した訴訟というわけか。僕としては、弁論も尋問も、裁判所に行かなくて済むなら、大歓迎だね。」

新人「もちろん、リアルでの言動・操作とメタバースでの動きが、タイムラグがなく、完全にリンクする必要がありますが、そこは今後の技術に期待ということで・・・。」

兄弁「時間差があると、酔っちゃうし、結局メタバースを導入しても意味がないということだね。」

新人「あとは、裁判所が導入してくれればということですが、裁判所用のメタバースを作れるかどうかですね・・・」

兄弁「裁判所用のメタバース?」

新人「SNSといっても、twitterやinstagram、Facebook等のいろんな媒体があるように、メタバースにも、個別の空間がそれぞれあるのです。」

兄弁「そうなんだ。それなのに、メタバースがこんなに注目されているのはどうしてなの?」

新人「実は、NFTという技術等によって、異なるメタバース間を同一アバターで行き来したり、個別のメタバースでの持ち物等を自由に持っていけるという利点があってですね。そこが注目されているところの一つなのかなと思ってます。つまり、マリオがポケモンの世界にそのまま行けたり、モンスターボールをマリオの世界に持ち込めたりするということですね。」

兄弁「へえ〜。そうすると、異なるメタバースのデータ構築物の利用について、利用規約をどう規定するかといった法的問題がありそうだし、メタバースを運用する側からすると色々大変だろうね。じゃあ引き続き期待してるよ新人君。事件処理もがんばってね。」

新人「うっ・・・。」

 

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1 メタバースって?

 最近は、CMでドコモのメタバースが出ていたりするし、伊勢丹新宿本店のメタバース等があり、日本国内でもメタバースが浸透しつつある。とはいえ、「じゃあメタバースって何なの?」という疑問をお持ちの方は、結構いるんじゃないかと思う。

 メタバースに関する書籍がたくさん出版されているので、詳細についてはそちらを読んでいただく方が詳細かつ豊富な知識を得られるし、本ブログの趣旨とするところではないので筆者の能力不足もあるので、具体例を用いつつ、メタバースについてのイメージを掴んでいただければと思う。

 メタバースとは、いわゆる仮想空間で、自身のアバターを操作して、空間内を移動し、物を買ったり、他のアバターと交流したりする。イメージとしては、(参考例から世代がバレそうではあるが)映画でいえば「サマーウォーズ」、ゲームでいうと「あつまれ動物の森」「FortNite」である。「メタバース」といっても固有名詞ではなく、運営者ごとに、個別のメタバース空間が作成される。何か特定の仮想空間を、メタバースと呼んでいるわけではない。

 

2 メタバースの利便性

 そうなると、じゃあメタバースって何でこんなに話題になっているのかというと、リアルに限りなく近い仮想空間を利用することで、他者とコミュニケーションができることがまず挙げられる。

 コロナ渦により、社会生活をする中で、web会議やリモートワークが急速に発達・浸透し、コロナ終息後も無くてはならないところとなった。とはいえ、リアルでの発言とweb上での発言との間にタイムラグがあったり、リアル感がない故の相手の感情を読み取りづらいといった問題があった。これを一気に解決するのがメタバースである。

 つまり、メタバースであれば、リアルに近い感覚を得られるため、リアルでしか感じ取れない非言語的動作(表情や仕草など)の読み取りと、webによる遠隔地問題の解消といったメリットの「いいとこ取り」ができる(そのためには、技術の発展を要するので、今後の発展に期待している。)。そして、メタバースには定義がないので、自由度が非常に高く、仮想空間で完結する必要がない。つまり、仮想空間とリアルが混ざっていてもいいわけで、ARでもいい。リアル空間に、自身または他者のアバターが表示・認識可能な状態であれば良いのだ。映画「kingsman」や「STAR WARS」での会議シーンのように(伝わるか?)、特殊なメガネ(ARグラス)をかければ、会議室の空の座席に、まるで人が出席しているような形で、打ち合わせができるのである(すごいめっちゃ便利や。ぜひ実現してほしい。出資したい。)。

 私としては、裁判にこそ、メタバースを活用すればいいと思う。web期日(書面による準備手続)だけでなく、弁論期日や尋問といった訴訟手続にこそ、積極的にメタバースを取り入れるべきである。遠隔地からの期日出席・進行も容易になるし(移動時間を考えなくて良い!しかし出張は消え、ご当地飯は食えない!)、傍聴席足りない問題等も解消されるだろう。

 

3 結びと次回予告

 一弁護士の立場からすると、裁判にこそメタバースを活用すべきだと考えている。絶対便利だと思うのだが、果たして取り入れられるのはいつになるのやら・・・(その時に私が生きているのかも微妙である)。

 さて、第1弾から、いきなり更新が遅れており、隔週連載になりかねない状況であるが、次回は、メタバースと法との関わりについて、まずは所有権にフォーカスした記事を出したいと思う。その中で、NFTにも適宜触れていきたい。・・・いや、風呂敷を広げすぎか?

〜とある地方の街弁事務所での会話〜

兄弁「そういえば新人君、君はメタバースに興味があると言っていたね」

新人「はい!スマホのように社会一般に普及していくのはまだまだ先になりそうですが、大手企業が先行投資していますし、いずれは身近な存在になるんじゃないかと考えています。最近は、新聞やニュースで、メタバースが話題に挙げられているのをよく見かけるようになりましたしね」

兄弁「どんな法律がメタバースに関わってくることと想定できるかな?」

新人「そうですね。メタバース空間での取引に対する規律や、空間内の電子データの所有権の帰属では、まず民法が考えられます。また、メタバース空間内の著作物については、知的財産権の適用があるでしょうし、利用者に対しては消費者契約法・特商法による保護もあるかもしれませんね。さらに、メタバース空間内での詐欺やアバターを破壊したり盗んだりする行為に対しては、刑法の適用も考えられます。

兄弁「なるほど。あとは、準拠法がどこの国になるのかという問題もありそうだね。サーバーが日本にあるというのは考えにくいけど、ゆくゆくは、準拠法が日本法のメタバースができるかもしれないね。他にも、事業者目線に立つと、資金決済法も関わってくるだろうなぁ」

新人「あ、確かにそうですね。」

兄弁「では新人君、メタバースと法律について、何か記事を出してみたらどうかな?」

新人「もうすでに大手の事務所では、メタバース支店を出したり、webで記事を出している事務所もあるので、今更という気もしますが・・・」

兄弁「まあまあそんなこと言わずに。せっかく興味を持っているなら、チャレンジすることは大事だよ。頑張ってみて」

新人「わかりました!」

 

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 本ブログでは、1週間に1回の週刊連載で、メタバースと法に関する記事をアップしていく。会話パートと、説明パートでなるべくわかりやすく、読みやすい記事をアップできればと思う(なお、タイトルは、新人弁護士Kの心の声を反映したものとなっている)。

 とはいえ、いきなりメタバースの概要に関する説明もないまま、法律との関わりを書いても、よくわからない記事になるので、まずは来週掲載予定の第1回の記事では、メタバースに関する簡単な説明をしていきたいと思う。特に、いきなり技術的な難しい話をされても、読者からすると、科学技術・横文字アレルギーが発症しかねないので(Kも技術的な話をされると発症を通り越して頭から煙が出てしまうタイプなので)、なるべくわかりやすい記事を目指すつもりである。

 ではまた来週〜