時々送られて来る「[本]のメルマガ 2011.12.05.発行」の中に、地方の書店が減少している現状に関する記事が載っていました。


■「読者起点が出版業界を変えていく」/ aguni
「留萌ブックセンターモデルは地方都市の文化水準を救うか?」

(日本海に面した北海道留萌市では、市内に1軒しかなかった本屋さんが去年12月に閉店しましたが、その後、市民の熱意を背景に行政も動いて大型書店「三省堂」の誘致に乗り出し、今年7月のオープンにこぎつけました。書店を誘致するという運動がどのような効果を街にもたらしたのか、書店の役割は何かを論じています)


調べてみたら、新聞でも取り上げられていました。

■「読売新聞」2011年9月25日付
書店ゼロの留萌出店 三省堂順調 ―本好き増やせ 市民一丸
(市民が支える地域の書店のモデルとして報道しています)



一応、私も弱小出版社に勤める身ですので、このことに一言。


すでに若者の活字離れのことが言われだしてからは久しいですが、なんと言っても、なかなか本の流通構造が改善されない中でのネット書店の隆盛に加えて、地方の商店街に店を構える零細書店の客足の減や後継者難などによって、いまや全国の書店数は減る一方になっています。


何でも、2000年には全国で21,922店あった書店が、ここ10年余りで約3割減の15,519店(2010年)に激減しています。特に地方での減少率が大きく、和歌山県では257店から137店へと約半分に。そのほか、山口県、佐賀県でも4割近い減少率。


その一方で、イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーとの複合型店や郊外型の大型店などが増え、また地方都市への大型書店の進出や郊外店のチェーン店化なども進んでいます。


こうなると取次からの配本も売れ筋が中心となり、書店自体の品揃えも新刊本や売れ筋本がメインとなって、棚からは弱小出版社や個性的な本はどんどん追いやられていく傾向が進みます。一方で、新刊本が都市部の大手書店ばかりに傾斜配本されるため、地方の零細書店に入りづらい状況が生じており、新刊本や売れ筋本が入らない地方の零細書店では、ますます客離れは進む一方になります。


書店が地方の数少ない情報拠点として地域の文化を支えていた時代はすでに過去の話になっていますが、今でも学校教育などの分野では、書店は地域を支える貴重な存在であり、パソコン機器に不慣れな人たちにとっては、やはり新しい情報に触れる貴重な文化・娯楽拠点であり、心の支えにもなっている存在だといえるでしょう。


メルマガでは、こうした地方から書店がなくなっていく現状に対して、地元の行政が、このことを地域の暮らしの大きな問題として捉え、地域とともに歩む書店の誘致に乗り出したという北海道の留萌市における事例を取り上げています。


都市部では、多様な分野の書籍(専門書も)の充実やゆったり選書ができる空間作に力を入れるジュンク堂など、大手でもきらっと光る個性的な読者サービスを行っている書店もありますが、これからは、単に読者サービスにとどまらず、地域の文化を担い、まちづくりにも貢献する存在としても頑張って欲しいものです。


とは言え、この記事の筆者も言うように、本当は商店街にある小さな書店や書店組合あたりが、もっと積極的に市民や自治体と組んだ取り組みを行って欲しいところではあるのですが・・・。


どちらにせよ留萌市の取り組みが、全国各地で進む地方書店の廃業を救い、逆に地域の文化拠点として復活し、町づくりに貢献できる書店のモデルとなるのかどうか、今後が注目されるところです。、