今年もまた、栃木県上三川町の上野長一さんの色々米がどさっと職場に届きました。最近職場で注文をとった分です。


かいたん☆かいたん 八ヶ岳縄文人への道


私ところではふだん実家(山梨県北杜市)の米(コシヒカリ)を3分搗きで送ってもらっているので、ほとんどお米を買うようなことはありませんが、この色々米だけは毎年注文し、毎回到着を楽しみにしています。今回は自宅用に5kg袋を1袋、贈答用に2kg袋を3袋頼みました。色々米は贈った人からもとても喜ばれるので、お歳暮にはもってこいです。

自宅では、炊くときには1~2割くらいの割合で混ぜて炊いています。

上野さんから職場に届いた手紙にはこうありました。


かいたん☆かいたん 八ヶ岳縄文人への道


「今年の稲作りも先日納まり、感謝いっぱいです。地震、放射能、台風とTPP、心重いことが続き、不安と心配ばかりですが、放射能の検査結果では「検出せず」となりまして、皆々様にお願い出来る運びとなりました」「今年は動きがお米全体を通じて今までになくにぶく、やはり原発の影響が考えられます。そのような中において、とりまとめ、ご注文頂き、うれしいです。合掌」

やはり栃木は福島に近いからか、上野さんみたいに熱心な固定客が付いているような農家でも、今年は原発の放射能を気にする消費者や業者からの注文が減っていて、厳しいのですね。


色々米には、黒米、赤米、緑米、香り米など色々な品種のお米が混ざっているんですが、これは収穫後に混ぜたのではなりません。前年に種用に育てた籾を約50種あまりも混ぜて播種し、1枚の田圃で育てるのです。その種籾は、うるち米系約13種類、もち米系約6種類、黒赤米系4種類、香り米系2種類、その他いろいろだそうです。それぞれ個性が強い品種ですが、種籾を混ぜて育てることで、お互いの欠点が補われ、お互いに支え合いながら、農薬を使わなくても、丈夫に育ち、病害虫にも強いとのことです。近年は異常気候が続き、生育が大きく気候により左右されることも多くなってきていますが、混植した田んぼは異常気象にも強いとのことです。


かいたん☆かいたん 八ヶ岳縄文人への道

いろいろな穂が鮮やかな色々米の田んぼ


色々米は、上の写真の田んぼと同じく、彩りも豊かで、その上ミネラルも豊富です。私のところでは実家のコシヒカリに混ぜて炊きますが、色々米は玄米なので(古代米も精米すると色が落ちて白米になります。糠に色素があるからです)、味もさることながら、粘りのあるコシヒカリの米粒の中に、香りを持った独特の粘りと粒々感が混ざり、食感にメリハリがあります。


一時期は「ササ・コシ」信仰といわれるような画一的な品種に席巻される時代もありましたが、最近は地域ブランドを推進する動きが盛んになる中で、徐々に個性的な地方品種が出てきました。とは言え、昭和40年代前半くらいまでは普通にあった、一軒の家で多様な品種をそれぞれの田んぼで栽培していた頃に比べると、一部の農家を除くと品種の多様性は貧弱です。私の実家のある地域でも、以前は地域の奨励品種を中心に、どの家でもモチ米も含めて4種類ほどは栽培していましたが、今はほとんどの家がコシヒカリ1本です。


植物遺伝学を研究する総合地球環境学研究所の佐藤洋一郎氏も、田んぼの中の多様性を維持、発展させることの意味を訴え、実際100年ほど前までは1枚の田んぼにはいろいろな品種を植えており、それは稲作が始まった頃からの伝統であると言っています。ここでもう一度、日本の田んぼも品種の多様性を見直してみる時期にきているかと思います。上野さんの取り組みはそんな問題提起も発しているように感じます。