毎日、東急田園都市線―半蔵門線を使って青山一丁目で降り、赤坂の事務所に通っている。事務所までは歩いて10分ほどだが、人通りを避けて、赤坂御所の脇の歩道を通るのが日課だ。

赤坂御所沿いには高い石垣が続き、幅2mほどのゆるやかな土手が石垣の上に広がり、竹垣で赤坂御所の敷地とを隔てている。ちょうど土手のあたりが目線の位置に当たり、南に面した 土手には、春になるとホトケノザやハルジョオン、ハハコグサ、カラスノエンドウに、カタバミなどがにぎやかに生え、石垣の間からはスミレが可憐な姿を見せていたりする。


今の時期は、さすがに花を付ける草は少ないが、メヒシバやチドメグサ、ヒメジョオンなどが土手を覆っている。

この土手や石垣の草の成長やその移り変わりを眺めるのが毎日の通勤の楽しみになっている。

最近、いつものようにこの歩道を歩いていると、先方に60代くらいのおばさんを見かけた。手には長細い草をいっぱいに握り締めている。時折、立ち止まっては、ひざまずいて石垣の間から生える草を引き抜いている。


何を引き抜いているのかと思ったら、この草だ。私も気にはなっていたのだが、まさかそれを収穫する人がいたとは驚いた!


そう、この草はおそらく「あさつき」なのだ。良く似ているとは思っていたのだが、今回このおばさんの行為で確信した。


かいたん☆かいたんのブログ

私も試しに引き抜いてみた。ぷ~んとネギに似た香りがした。端を試しに噛んで見ると、確かに独特の臭みがある。

実はこの日の帰り道、この草を引き抜いて家に持ち帰り、試しにソバの薬味に 使ってみた。ちょっと道路脇という点が気にかかったが、味は上々。薬味としてはまずますの次第点。贅沢を言えば、もう少し臭みと辛味が欲しいところ か・・・


10月は台風で赤坂御所の中から吹き飛ばされてきたマテバシイのドングリが転がっていた。仕事からの帰り道、たまたま四谷から赤坂に向けて下りてくる迎賓館の脇の歩道で見つけた。そのマテバシイのドングリは、拾い集めてドングリドブロクの材料にしたが、このように赤坂御所は都会の中の食べ物の宝庫だと言える。


もう暫くすれば、赤坂御所沿いの歩道から246号をはさんで反対側にわたる歩道橋の上や階段あたりには、アケビの皮が散乱する季節を迎える。ほとんど毎年のことだ。


どうも食いしん坊の高貴な?カラスが、赤坂御所に植わっているらしい「アケビ」をこっそり頂戴して、歩道橋の欄干の上で食べているようなのだ。


都会に生きる生き物たちにとっても赤坂御所の存在は貴重なのだな。