疑使倭人伝(魏志倭人伝)
「邪馬台国への使者。ご苦労っだたな」魏の使者として邪馬台国へ行った男に招かれた友人が言った。「ここだけの話だけど」使者は小声で話し出した。「実はな、釜山辺りに邪馬台国へ行ったことのある漁師がいて『あんな所二度と行くもんじゃねえ。日本海は流れが速くて船は北に流されちまうし、ようやく浜に上がったら背の高い草だらけ。ちょっと探検してみようと思ったのが運の尽き。直ぐに迷って、草を掃いながら一日に5キロも進めねえ。何日も歩いてようやく大きな集落に着いて、美人の女王に歓待はされたが、出る物といったら、薄っすい酒と、塩か酢に漬けた塩っ辛い魚か猪肉。木の実は堅いし。草のような野菜・・・あんな物ばかり食っていたら高血圧になっちまう。ただ米だけは美味かったな! だけど、まあァ、オラは二度と行かねえな』と言う話を聞いたから釜山で半年ばかり休んでた」「ばかな。そんなこと大王に知られたらお前だけの斬首だけじゃすまないぞ。一族郎党皆処刑されるぞ」「大丈夫。従者たちには『ここが倭国だ』と言っておいたし」「『親魏倭王』の金印や贈り物はどうした」「銭に変えた」「もし俺が王にしゃべったらどうする」「大丈夫。今飲んでいる酒。その銭で買った物だ。お前も共犯だ」