毒親という言葉がある。

私にとって私の母親は毒親だったかも知れない。

 

私が小さい頃、「お前はバカだ」と言われて育った。

確かに成績も悪くバカだった。

 

学校の授業についていけなかった。テストの点も悪かった。

クラスの最下位に近い位置にいた。

 

中学に入って、たまたま近くの塾に通い始めて

そこで教えてくれた先生、本物の先生に巡り合った。

 

とても分かりやすく教えてくれた。

今まで私が教わってきた先生は、私が理解できないと怒った。

怒鳴った。罵られた。

でも、その先生は、怒るでもなく、淡々と私が理解するまで教えてくれた。

 

そして初めて、平均点より上を取ることができた。

嬉しかった。自信がついた。

もっと頑張ろうと思った。

 

高校受験も、目標だった学校に合格することができた。

嬉しかった。でも、母親は、褒めてくれなかった。

「バカ」とは言わなくなったけど、今度は「情けない」という言葉を使い始めた。

「情けない」「情けない」何かある度に言われた。

 

段々成長するにつれ、母親を避けるようになった。

避けて避けて、避け続けた。

会えば、きっと言い合いになる。もう傷つくのは嫌だった。

避けた。避けた。極力避けた。

 

ある日、母と良好な関係を築いている姉から電話があった。

「お母さん、救急車で運ばれた」「息してないって」

 

お母さん、亡くなりました。突然死だった。

避けて、避けて、避け続けていたら、母は亡くなってしまった。

 

私はどうすれば良かったのだろうか。

「情けない」って言われても、ニコニコして傍にいれば良かったのか。

 

分からない。何が正解だったのか。

私はどうすれば良かったのか。

分からないです。