糖尿病性腎症とは、糖尿病によって腎臓の細い血管(糸球体)が長期間ダメージを受け、徐々に腎機能が低下していく合併症です。
日本では、慢性腎不全による透析導入原因の上位を占める重要な疾患です。
原因となる病気として1型糖尿病又は2型糖尿病があげられますが、特に日本では2型糖尿病に伴う腎症が多いです。

 

◆発症のメカニズム
高血糖状態が長く続くと、糸球体の血管内圧が上昇し血管壁が厚く・硬くなり、ろ過機能が障害されます。
そうすると尿にタンパク(アルブミン)が漏れ出し、最終的には腎臓が十分に血液をろ過できなくなります。

 

◆病期(進行段階)
・糖尿病性腎症は通常、以下のように進行します:
第1期(腎症前期)は尿アルブミン正常で腎機能も正常な状態です。
第2期(早期腎症期)は微量アルブミン尿が出るようになります。
第3期(顕性腎症期)は明らかなタンパク尿や腎機能低下が見られます。
第4期(腎不全期)はeGFR低下し透析準備段階に入ります。
第5期(透析期)は透析が必要となります。
※早期は自覚症状がほとんどありません。

 

◆症状
・進行するまでほぼ無症状ですが、悪化するとむくみ(特に足)や倦怠感、、食欲低下、尿量の変化、息切れなどが現れます。

 

◆検査
=主な検査は下記の項目を実施します。
・尿アルブミン(微量アルブミン検査)
・尿タンパク
・血清クレアチニン
・eGFR(推算糸球体濾過量)
・血圧測定
・HbA1c
※ 糖尿病の人は年1回以上の尿検査が推奨されます。

 

◆治療
① 血糖コントロール(最重要)
・HbA1c目標:一般的に7%未満(個別調整)
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
◇近年よく使用される薬としてSGLT2阻害薬(腎保護効果が証明)やGLP-1受容体作動薬、インスリンねどがあげられます。

 

② 血圧管理
◇目標血圧:130/80 mmHg未満(一般的目安)
・よく使われる薬として、ACE阻害薬やARB(腎保護作用あり)などがあります。

③ 食事療法
・塩分制限(6g/日未満)
・タンパク質制限(病期に応じて)
・適正カロリー管理

 

◆合併症との関係
・糖尿病性腎症がある人は、心筋梗塞や脳梗塞、心不全などの心血管疾患リスクが非常に高くなります。

 

◆透析について
・腎機能が著しく低下すると、血液透析や腹膜透析、腎移植が必要になります。
※日本では透析患者の原因疾患として糖尿病性腎症が最多クラスです。

 

◆予防のポイントとしては、
・ 早期発見(尿検査)
・ 血糖を安定させる
・ 血圧管理
・ 禁煙
・ 体重管理
=早期(微量アルブミン尿の段階)で治療すれば進行を止められる可能性が高いことが重要です。

 

◆まとめ
・糖尿病性腎症は、初期は無症状で進行すると透析に至る可能性が高くなます。
しかし早期介入で予防・進行抑制が可能となります。
特に2型糖尿病をお持ちの方は、定期的な尿検査と血糖・血圧管理が非常に重要です。