ちょっと前まで旅なんかまるっきり興味のなかったキタヤマでありますが、最近は、旅チャンネルの「秘境駅」にハマっています。
地デジへ移行するついでにCS放送に加入してしまったことがきっかけです。
「秘境駅」と言いますのは、簡単に言えば、秘境の地にある駅のことです。
あ、でも、ただの田舎駅のことではありません。
「秘境駅」に明確な定義はないようなのですが、ここ半年近く毎夜毎夜、番組を鑑賞しているキタヤマに定義させていただきますと、
「こんなところで降されてしまったら呆然と立ち尽くすしかないほどの山奥で、周囲に人家はなく、一日の乗降客はほぼ皆無、停車する列車の本数も1日数本程度で、当然、利用価値が希薄と思われるのに、どういうわけか駅として存在し続けている、その存在自体が不思議な駅のこと」になります。
番組を見ていても「いやぁ、降ろされたくねーな、こんなとこで。どうすんだよ、降ろされちまったら。何もねぇし。次の列車、当分来ねぇし。」と思わず感想をもらしてしまうほどの駅が多いです。
たとえば、北海道の大平原にぽつんとある駅では、降りてみると「熊注意」の看板が。
ところが、大平原だけに、隠れられるような場所がほとんどないんです。
なので、降りたら最後、熊がいつ現れるか、ずっと気になって気になって仕方がないと思われます。
「いやぁ、これが秘境駅というものかぁ。」なんて感慨に浸っている場合ではありません。
思わず、
「出会ったら素手で戦うしかないな。でも、素手で熊に勝ったヤツって、この世に存在するのかな?そういえば、以前、ともえ投げで熊を谷底に落としたヤツがいたな。むかし、新聞に載ってたわ。ん?いや待て、待て。大平原には谷底はない。平原で熊に勝ったヤツはいるのか?そういや、熊殺しのウィリー・ウィリアムスは、確か平地で熊と戦っていたはずだ。あ、いや、でもあれ、映画の中の話だったような・・。」
と頭の中で想像したりしました。
※ウィリー・ウィリアムスは、梶原一騎が極真空手を題材に製作した映画『地上最強のカラテPART2』で巨大なグリズリーとの闘いを披露
した。ちなみに、このブログのタイトル「地上最強日陰経理部」の「地上最強」は、この映画のタイトルの一部をパクったものである。
と、言葉で説明するよりも百聞は一見にしかず、ということで、ここで秘境駅のひとつをご紹介したいと思います。
下の写真は、大井川鐵道井川線の奥大井湖上駅です。
湖の真ん中あたりに半島状の小山があってその上に駅があります。
駅および鉄橋の湖底からの高さは70Mあるそうです。かなり衝撃的な場所にある駅です。
この駅が番組で紹介されたときは、しとしと雨が降っている日でしたから、そのせいもあってか、「こんなところで絶対降ろされたくない感」がひとしおでした。
どう見ても、周囲に民家があるようには思えませんが、毎日それなりの本数の列車が停車しているみたいです。
いったいどんな方が利用しているのでしょうか。興味がわきます。
「秘境駅」の成り立ちは、昔は集落があったけど、何らかの事情で消滅してしまい、利用者がぜんぜんいなくなってしまった、でも、奇跡的に駅だけは存続している、というケースが多いと思われます。(あいまいですみません。そんなに研究しているわけではないので。)
たとえば。かつて炭鉱の町として栄えていたけれど、石炭から石油の時代に移って、人々がみな去って行き、集落が消滅してしまったとかですね。
ところで、この「秘境駅」の番組ですが、ただの秘境駅の紹介番組だと思って見ていたのですが、ちょっと違ってました。
番組の最後で「秘境駅訪問家」の肩書きを持つ牛山隆信という男が、紹介した秘境駅の評価をし始めるところです。なぜか牛山さんの自宅と思われる部屋で、それもカーテンを背景にして評価します。
最初に見たときは、どうでもいい評価を大まじめに行うものですから、失礼ながら大笑いしてしまいました。
「えー、まず○○駅の秘境度ですが、周囲に人家がないということで5ポイント、雰囲気は、傾斜が急な断崖にあるということで5ポイント・・・・トータルしますと17点で、総合評価は7位ということになっています。」
てな具合です。
毎回、牛山さんが秘境駅について①秘境度②雰囲気③列車到達難易度④車到達難易度の4項目で検討し、それぞれ5段階で評価を行っています。
ちなみに4項目の説明は下記のとおりです。(牛山さんのサイトから)
①秘境度とは… 周囲が断崖絶壁、深い山林、荒涼とした原野にあり、人家が無い(少ない)場合に高いポイントを得ます。
②雰囲気は… 駅舎や待合室、周囲の建造物などに古い歴史を感じさせる場合に高いポイントを得ます。
③列車到達難易度は… 列車本数が少なく、普通列車でも停車が少ない場合に高いポイントを得ます。
④車到達難易度は… 駅までの道が無い場合が最も高く、次いで歩道のみ、未舗装の林道など、クルマやオートバイでの訪問が困難な場合に高いポイントを得ます。
総合評価として、上記の4つの項目における合計点によって、ポイントの高いものが「秘境駅」のランキングの上位に進む仕組みになってます。
まったく構わないのですが、評価方法を決めたのも、評価するのも牛山さんですから、完全に牛山さん次第でランキングが決まって行きます。紹介する秘境駅の順番も規則性はなく、ランダムに紹介されます。
そんなわけで牛山さんのやりたい放題感は否めないのですが、この「秘境駅訪問家」は、ただ秘境駅を訪問するだけではなく、駅泊※する筋金入りの訪問家で、番組を通じて「秘境駅」への愛がひしひしと感じられ、いつしか「牛山さんがそう言うんだからいいの。この評価で。」と納得感すら覚えてしまいます。
※駅(待合所とか)に泊まること
なお、番組冒頭のナレーションで「もしかするとあなたが訪れるその日が最後の姿になるかも知れません。」と言ってるだけあって本当に廃線になってしまうこともあります。
高千穂線(たかちほせん)は、かつて宮崎県延岡市の延岡駅から宮崎県西臼杵郡高千穂町の高千穂駅を結んでいた高千穂鉄道の鉄道路線でした。しかし、2005年9月の台風14号による被害で運行休止となり、2008年12月28日に全線が廃止されました。
なんだか訪れてみたいですね、秘境駅。あ、でも、降りたくはないな。
(ご参考)
↓牛山さんのサイト。自らをうっしーと呼んでいる。
http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/