「…で、ガールズトークとは何なのだ?」
わたしは目の前に座っているクララに問う。
「単刀直入に聞きます。風介が好きですか」
「…は?わたしが…涼野を…?」
クララがいつもの冷静な表情を崩さずに、聞いて来た。
こんなこと、クララも聞くんだな…。
「好きではない」
「そう?本当なの?」
「ああ。で、クララは?」
クララは平然と答えた。
「ええ、好きよ」
その冷静さにビックリしてしまったほどだ。
あのクララが…まさか、こんなことを…。
「カッコイイと思わない?」
「は、はぁ」
「何よ、可笑しいかしら」
「…意外だったからな」
「そう?まあ、そうね。私もこんなこと言うなんて恥ずかしいわ」
「…本当か?」
「ええ」
表情を崩さずに言っているのに、分かるわけないだろう。
意外と恥ずかしがってたんだ…。
「鈴が風介のこと、好きじゃなくてよかったわ」
「…何故だ?」
「だって…そうだったら、最強のライバルだもの。いなくてよかったわ」
その言葉を聞き、少し胸が痛んだ。
この気持ち…好き、ということか?
「…もしかしたら、好きなのかもしれない」
「何よ、それ。違うって言ってたじゃない」
「すまん。今…そうかもって思って……」
「まあ、そうだろうとは思ってたけど。ライバルが居た方が燃えるし、いいわ」
「は?」
クララの口から燃えるという言葉が……。
そうか。
わたしとクララはライバルか…。
「…わたし、負ける事は嫌いだからな」
「ふふ、私もよ?」
火花が散った。
丁度その時……。
「おーっす!!」
と、バカチューリップ…否、南雲の声が聞こえた。
「ちょっと晴矢…今、いいとこだったのに…」
「…姉さんアイス」
続けて、基山と涼野の声。
わたしは少し、体温が上がってしまった。
「ちょ…何なんだ!?」
「まあ、何時もの事よ。昼になると、休日は昼ご飯を求めて3人が来るの」
「そうなのか…って、自分達で作れないのか!?」
「あら、鈴は作れるのね」
「ふんっそのくらいならできる!!」
「なら、今日の昼食当番は鈴でいいかしら」
クララはニヤリと笑いながらこっちを見てくる。
く…っ!!
とても、作れないとは言えない。
「僕も烏埜さんの手料理食べたいなぁ~」
ひょこっとドアから基山が顔を出す。
「ふんっ別に、作ってやらんことも無い。…お前のためではないからな!!」
「はいはい♪今日は烏埜さんの手料理だよ~!!」
「きっ基山!!!」
「ふふふ♪」
そんな様子をクララは楽しそうに見ている。
まったく…。
でも、これが楽しかったりする。
昔に戻れたみたいで、懐かしい気持ちになる。
でも、昔とは違う事……。
それは、皆の気持ちではないだろうか…。
わたしはひと言、仕方ないなと呟くと、晴香ときくのを呼び昼食作りに向かった。
終了。