○ …あ、どうもこんばんは、今日もこんな時間に 来てくれたんですね。
あなたもなんというか…物好きというか…
マニアっていうんでしたっけ、こういう時、
改めて、今日も来てくれてありがとうございま す。今日は何をしましょうか。
なーんか、今日は決めたくない気分なんですよ ね…。めんどくさかったっていうか…はは、
えー、だって、何かすることを決めたら、
それしかやることできないし、なんか、
もったいないじゃないですか、そういうの。
そうかなぁ…
じゃあ、決めてくださいよ。何をするか。
結局決まらないやつ…。
一周回ってなんも決めなくてよくないですか?
この時間をのんびり謳歌していくのが幸せ
というか、何も縛られないというか。
あ、いっちゃうんですか、
いっちゃうの?
えー、 待ってよ。
いいじゃーん、お互いなんもやること決めてな いじゃーん。別にいたっていいじゃんー。
だってさー、君がいないとただただ一人でぶつ ぶつ喋ってるだけみたいになるし、君がいるか
らかろうじて対話ができるんじゃん。
まぁ、勝手にしゃべってるだけなんだけどさ。
思った、僕さ、君の名前聞いたことないな。
一回も君、ここに来るとき名前を名乗らないよ
ね。
なんかちょっと寂しくない?名前知らないまま
ずーっとお喋りしてるの。
え、何、名前決めてほしいって、
え、急すぎじゃない!?
んー。
名前か。
なんか、名前決めるの、ちょっと億劫だな。
いや、なーんか、ね。
名前、決めなくて良いんじゃないかな。
いやいや、ごめん、僕がこんなこと言ったら
元も子もないけどさ、
決めたら決めたで、それを全うしなきゃいけな
いんじゃないかな。って思うんだよね。
靴、とか、布団、とか、料理、とかさ、
そいつらも名前は元々なくて、
名前をつけられた瞬間に、
その名前に縛られて、真っ当に生きていかなく
ちゃいけないんじゃないかって。
今のこの名前のない状態って、
いろんな可能性があるんじゃないかな。
この名前をつけられる前の僕たちが、
一番僕たちとして生きられてるんじゃない
のかな。
でも…君は
なんか
みんなに覚えていてほしいなって、
ふと思った。
でも、その名前の責任に潰されないでほしいん だ。無責任に生きてほしいんだ。終わらせない
ようにしたいんだ。
だから僕は、君になにか素晴らしい称号
として覚えてもらうとしたら。
これはどうだろうか。
未題。
次は、私から会いに行くよ。