大豆イソフラボンは、女性ホルモンを増やすと言われています。
本当にそうなのでしょうか?
大豆イソフラボンは大豆に含まれるポリフェノール(フラボノイド)の一種ですが、本物の女性ホルモンと異なり、ステロイド骨格(※)とよばれる特定の構造をもちません。
※「ステロイド」というと薬品を思い浮かべがちですが、人体内でもステロイドの一種が生成されています。
そのため、本物の女性ホルモンとまったく同じである、とは言えません。
ですが、分子構造がヒトの女性ホルモン(エストロゲン)に類似しているため、
『生体内でエストロゲン受容体と結合し、生体作用を発揮する』
という旨が食品安全委員会によって名言されていました。(2006年5月)
もう少し詳しく見てみましょう。
これは女性ホルモンに限らないことですが、ホルモンはどこででも作用するわけではありません。
受容体(レセプター)と呼ばれる特定の場所でしか、作用しません。
エストロゲン受容体(=エストロゲンレセプター)にはER-α、ER-βの2種類があり、
ER-αは女性の生殖器系(子宮、膣、卵巣)に豊富に存在し、乳腺、視床下部、内皮細胞、血管平滑筋にも存在しています。
ER-βは、前立腺、卵巣に豊富に存在し、肺、脳、血管、骨にも存在しています。
ここに、うまくホルモンが結合してくれればいいわけですね。
さて、大豆イソフラボンはその成分を体内で吸収するために、唾液や小腸粘膜の酵素、あるいは腸内細菌より加水分解され、「ゲニステイン」「ダイゼイン」などの「イソフラボンアグリコン」と呼ばれる物質が生成されます。
これらの物質は、レセプターとうまく結合してくれるのでしょうか?
ER-αへの結合率を調べた試験結果がいくつかあります。
それによると、
試験Aでは、ゲニステインでエストラジオールの4%、ダイゼインでは0.1%
試験Bでは、ゲニステインで0.7%、ダイゼインでは0.2%
が結合したそうです。
ER-βへの結合率については、
試験Aでは、ゲニステインでエストラジオールの87%、ダイゼインでは0.5%、
試験Bでは、ゲニステインで13%、ダイゼインでは1%
が結合したそうです。
「なーんだ、低いな~」
と思われますか?
実は、そうでもない気がします。
エストラジオールというのは、女性ホルモン・エストロゲンに分類される3種類のホルモン(エストリオール、エストロン、エストラジオール)の中でももっとも強力な女性ホルモンで、その強さ(生理活性)はエストリオールの10倍(1000%)です。
そうすると、たとえば、ER-αに対する試験Aのゲニステインの結合率(上記:4%)は、Aの試験結果でいうと「エストリオールの40%」と考えられなくもありません。
ER-βに対する試験Aのゲニステインの結合率(上記:87%)なんて、「エストリオールの870%」ということになってしまいます!!
・・・どうです? すごくないですか??
ちなみにこのゲニステインやダイゼインは、お味噌や納豆など、大豆発酵食品の中に多く含まれるそうですよ。
大豆発酵食品を積極的にとらなきゃ! ですね