こんにちは！

介護用品スタッフ1号です

今回は介護ベッド編第５回

「背上げ時のズレと圧迫」

についてお話しします

【背上げ機能を使いこなすには】

介護ベッドといえば

「背中が上がって起き上がりしやすい」

そのようなイメージがあると思います

起き上がり動作を電動機能で補助してくれることで

起き上がりできない人が起きられるようになり

介護負担の軽減にもつながります

非常に便利な背上げ機能ですが

上手く使いこなすには

ちょっとしたコツがあるので

そのあたりをお話しします

【正しい寝位置で寝る】

介護ベッドの背上げ機能は

「正しい位置」で寝ることによって

上手く機能します

もし体が頭側に寄りすぎている場合

背上げをした際に

ずりずりと滑り台のように足側に滑っていきます

まだ頭側に寄っている場合は

背上げとともに

正しい寝位置に戻ってくる感じなので

まだいいのですが

寝位置が足側に寄っている場合は最悪です

背上げの曲がるポイントと

体の曲がるポイントが合わず

背中あたりが

ベッドの背上げの曲がる軸になってしまい

腰とマットレスの間に隙間はできるわ

背中の圧迫がすさまじいわ

膝曲げの位置も合わないわ

で

何もいいことがありません

そんな状態で背上げを行って

窮屈な姿勢のままで何時間も過ごされたり

と考えると恐ろしいです

背中が丸まった状態に体が変形したり

呼吸もしづらくなったり

食事もとりづらかったり

色々な支障が出てきてしまいます

【膝曲げ機能を併用する】

背上げだけを単独で行うと

間違いなく体が足側にズレていきます

（滑り台のようにすべっていきます）

ズレた姿勢のまま放置してしまうのは

皮膚にとっても良くなくて

床ずれのリスクも高まります

そこで重要なのが

背上げ時に膝曲げの併用です

背上げと膝曲げをうまく併用することで

背上げ時のズレが軽減できます

ズレない起き上がりの順序はざっと下記のとおり

・まず足上げ機能で足を上げる

・それから背中を挙げる

・ある程度背中が上がったらお腹への圧迫が発生

・それくらいのタイミングで足を少し降ろす

・更に背上げ

・またまたおなかに圧迫

・足を少し降ろす

・背中を上げきる

・またまたおなかに圧迫

・足を降ろす

このような感じで操作をすれば

体のズレは随分軽減できます

ただしこんな細かい動作は非常に面倒！

ということで

今は各メーカーさんとも

ズレない背上げを

１ボタンで出来るようにしています

たとえば

パラマウントベッドさんの

「らくらくモーション」や「ラクリアモーション」

プラッツさんの

「ライジングモーション」

などなど

これらの機能のついたベッドであれば

ズレない背上げも楽に行えそうですね

【背中の圧抜きを忘れずに】

背上げ動作をすると

背中が突っ張ったような感覚になり

不快感が残ります

そこでぜひプラスアルファで行ってほしいのが

「背中の圧抜き」です

具体的には

背中を上げきったら

「背中をマットレスから離す」

（マットレスと背中の間に

　介助者の手を通してもらう）

この動作のみしてもらうだけでOKです

これ実際にやるのとやらないのでは

その後の過ごされる方の姿勢の楽さが

ずいぶん違います

ご利用者さんが

ベッドで少しでも快適に過ごせるよう

ぜひ背中の圧抜きは

忘れずに行っていただきたいです

【背をフラットに戻す際の注意点】

最後に

背を下げてフラットに戻す際の注意点も

お話しします

背を下げきった時にご利用者は

頭が水平位置よりも更に下に

下がっているという錯覚を起こします

私は三半規管の専門家ではないので

詳しくはよく説明できないのですが

平衡感覚などの体の感覚が

ベッドの背下げ時にそう感じてしまうらしいです

頭が水平よりもさらに下に下がっている感覚って

非常に不快です

それを防ぐ為にやって欲しいことは

背下げを行いながら

ご利用者の腰（左右どちらでもいいです）を

少し持ち上げたり降ろしたり…

を繰り返すことです

そうすると不思議なことに

頭が水平より下がっている感覚なく

フラットな位置まで背を下げきることができます

もしよかったら試してみて下さい

ご利用者からの訴えがなかったとしても

このような不快な感覚を

持たれているかもしれません

ちょっとしたコツですけど

少しでもご利用者の快適さの

お役に立てればうれしいです！

【まとめ】

介護ベッドの背上げ機能を使いこなすには

・正しい寝位置で寝る

　特に足側に体が寄りすぎていると

　背中の圧迫・食事がとりづらいなど

　色々な支障につながる

・膝曲げ機能を併用する

　背上げ時のズレが軽減できる

（ズレ軽減の動きを

　１ボタンで行えるベッドも増えている）

・背上げ後の背中の圧抜きを忘れずに

（背中をマットレスから離す）

・背を下げる時に

　利用者の腰を持ち上げる動作を繰り返す

　頭が水平位置よりも下がっている錯覚を

　解消できる

ということで

最後まで見て頂きありがとうございました！

次回は

「高さ上げ機能の活用」

について取り上げる予定です

ちなみに

最適な福祉用具選定のお手伝いをするのは

私たち福祉用具専門相談員の仕事です

地域の福祉用具専門相談員に

遠慮なく相談していただければ

きっとより適合した機種選定を

行ってくれると思います！

ではでは。

【介護ベッドの使い方】⑤背上げ時のズレと圧迫