介護保険制度がはじまってからわずか6年の間で、有料老人ホームの数は5倍に増えました。この5~6年間で新しくオープンした有料老人ホームのおよそ99%は、介護専用型です。これらは、昔に比べると入居一時金の値段が2分の1や3分の1ほどに安くなっています。ただし、月々の費用はおよそ倍となっており、20万~30万円ぐらいのホームが多くなりました。

入居一時金が下がった理由は、まず第一に、建設費の大幅なダウンです。バブルのころに大企業は新卒の採用を確保するためにたくさんの独身寮をつくりました。その後、大不況となってリストラが進み、せっかくつくった独身寮はいらなくなりました。5億円で建てた独身寮が、たとえば1億5000万円といったとても安い値段で有料老人ホームの事業者に売られていったわけです。そうした独身寮を、壁のペンキを塗り替えたり、寝たきりの人でも入れる特殊浴槽を追加したり、さらにエレベーターをつけるなどの改装を施して、有料老人ホームにしたわけです。

そのために、一昔前だったら介護専用型といっても1000万円を超えた人居金が、300万~700万円になりました。しかし、この1~2年は、有料老人ホームに改装できるような独身寮も少なくなってきました。それでも相変わらず安いのです。なぜなら、鉄筋コンクリート造りではなくて鉄骨造りが多くなったからです。

鉄骨造りの利点は、坪当たり10万円は建設費が落とせることです。そして、柱や梁がないので、居室のスペースをきれいにとれます。逆に欠点は、いわば倉庫のようなものですから音がガンガンと響くということですが、お年寄りのことですから飛んだり跳ねだりはしないので、そんなに気にはならないようです。ただし、となりの部屋でテレビの音を大きくしていたりすると、聞こえてくるということもあります。

以上のように建設コストが大きく落ちたということに加えて、介護保険制度がはじまって介護保険報酬が入ってくるようになったわけですが、それが驚くほどたくさん入ってくるということも、有料老人ホームの価格破壊の一因になっています。