某月某日 五月晴れの真っ青な空を仕切ったように、群青色の壁が眺望された。立山連峰だ。北陸の内観研究所の入所日の光景を思い出した。当時は、所長ご夫婦で研修所を切り盛りされていたように記憶している。


7泊8日で、研修開始。八畳くらいの和室で研修生活。先客がお一人いらっしゃった。長崎から来られた、牧師さんか、神父さんだ(どちらだったか、記憶が曖昧)。紹介され、短い挨拶を交わしただけだ。


八畳の隅っこに、半畳ほどの空間を衝立で囲ってある。その衝立の中へ入り、内観するのだ。長崎の方が右端、私が左端。入所し、直ぐに研修が始まった。6時起床、掃除、洗顔、朝食等を済ませ、衝立の中に篭り、丸一日、座して研修する。


研修は、私の場合「両親(まず母)から、世話になったこと、して返したこと、迷惑をかけたこと」の三点を、幼少期(自分が思い出せれるところまで)に遡り、想いだすのだ。二時間おきくらいに、所長が来られ。


「この時間何はどんなことを、思いだしましたか?、どう感じましたか?」所長が問う。


「こんなことを、想いだしました。こう、思いましたが、母に、して返したことは!???」返事に詰まる。


「う~ん、お袋ちゃんに、世話やかしたことばっかりや、して返したこと何てなかったな~、迷惑はようけかけたな~」所長さんは、優しく。


「〇〇さん、世話になったことや迷惑かけたことを、どう思いましたか?」と。


「えっ!、、、う~ん、、、その時はですね!!!、、、(何にも思ってなかったな~)」初日、二日目は、その繰り返しで終わった。