「くっくっくっー、え~ん、わたしをばかにしてっ!、」母の日常、その(115)
2006/2/22(水) 午後 0:37
某月某日 今日も今日とて。母のご機嫌は、余り宜しくない。

「あ~ん!、なにやっー!」と、母が私を睨む。

「別に、そんな、怒らんでもえ~やん」

「なにがやっ-!」

「ご飯おな~、食べよ~、ゆ~てるだけや~」

「いらん!、ばかにしてーっ!」

「誰もバカに何かしてないよ~」

「じぃーっと、なにみてんねん!」

「いや、どっか、具合でも悪いんかな~?思うてな~」

「あほかーっ!」

「どうしたん?今日は~!」

「ばかになってんねんっ!」

「そんなことないやろ~、熱いうちにスープ飲んだら?」

「なにが、のんだらーやっ!」

「ま~ゆっくりでもえ~けどな~、どうしたん?」と、聞く私。

「どうもせーへん!、あほになったぁーっ!」

「お袋ちゃん、あほ、ちゃうよ~」

「うそばっかりついてからーっ!」

「嘘何か、つけへん、ちゃ~んと、起きたやんか~」

「あんたが、わるいねん、ばかにしてーっ!」

「ばかにしたか~、してないと、思うけどな~」

「あ~ん、あ~ん、なにゆーたっ!」泣き出しそうになる母。

「馬鹿にしてない、ってゆ~たんや」と、母に言う。

「あほかっー!、わからんくせにぃー!」母が涙目で。

「どないしたん?おかしいで~」母の両肩に手をあて。

「あほに、なったー!、ゆーてるやろーっ!」

「そんな~、阿呆~、あほ~、って、なってへんで~、心配せんでも、え~よ」

「くっくっくっー、え~ん、え~ん、わたしをばかにしてーっ!」母は、今度はすすり泣きを始めた。

「分かった、わかった、僕が悪いねん、もうちょっと、寝とくか~」(兎に角落ち着かせよう)。

「え~ん、え~ん、わて、ばかになったっ!」(お袋ちゃん、認知症って、苦しい病気やな~)と、私は、改めて思った。


     上巻おわり



                        (下巻へ つづく) 

この1年後、母は倒れ、寝たきりになってしまった。


丸二年間、病院を転々とした。一年前(昨年)、私は、無理を承知で、母を在宅介護することに決めた。


そして、先日(平成二十二年六月十日)母は天国へ逝きました。


☆このブログはこれをもちまして、終了させて頂きます。お読み頂き誠に有難うございました。

 



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