「う~ん、え~よ、ありがと~ね~、」母の日常、その(104)
2006/2/3(金) 午後 0:56
某月某日 前にも書いたが、私は、同じ失敗を何度も繰り返している。介護とは、かくも難しい、が本音である。就寝間近に。
「お袋ちゃん、おしっこ行っとこか?な~」
「うん」
「はい、此処やで~」と、私が母を便座に座らせた時、臭いで(あ~、やったかなー!)と、気付いた。
「お袋ちゃん、ちょっと待ってな~」と、母を便座に座らせ、急いでパンツを取りに。
「なんやの~?でるでぇ、どこいくの~?」
「え~よ、だしといて、すぐ来るからな~」母のパンツには、うんちが、既に、便座の前にも、うんち、が。とって返して、私は母を怒らさないように、慎重に言葉を選んで、パンツを履き替えさせ、便座をキレイに拭き取る、この一連の作業を素早く、やらなければならない。
「なんやのん?なにするんや?」と、私が何時もと異なる行動をとるのを見て、母は素早く察知し、早くも、声を高くした。
「うん、パンツ履き替えとこな~、ちょっとじぃ~としといてなっ」慌てず、やんわりである。下半身を裸にしたものだから、母は、当然。
「さぶいやんかー!、なんやのん、あほかー!」と、言うと同時に、私の頭を両手で叩き始めた。
「痛いぃー、ご免、ごめん、すぐ、終わるからな~、叩かんでもえ~やん」両手が塞がっているので、叩かれ放題だ。
「そんなことしてーえーとおもてんのかー、あほー!!」と、なおも、叩く母。
「もう終わる、もう終わるから、ちょっと待って~な、な~っ、僕が悪いんや~」便座拭きが無くなるまで、拭き続ける。母のお尻も、キレイに拭かなければならない。この間、母は、私の頭を叩き続け、叫び続ける。ようやく、作業が終わった。と、思ったが、まだかすかに何か臭う。折悪しく、母のズボンが茶色だったため、気づかなかった。ズボンにもうんちが。トイレから母の自室へ連れて帰る途中で気づいた。廊下の途中の手摺りに母を留め置いて、慌ててズボンをとりに。
「どこいくねん?ほったらかしかーっ!」と母、怒り心頭か。
「ご免な~、さぶいやろ~、ズボン履き替えとこな~」
「あほー!かえへんわー、はよ、こんかいなー!」ようやく、ズボンを履き替えさせようとしたが「しまった、下着(上の)」にもうんちが、付着している。手摺りに掴まったまま、母の怒りは最高に。今度は上半身を裸にしたものだから。
「あほーっ!!」と母。
「ご免な~」と私。肌着を取り替えるまで、この繰り返し。ようやく、終えて、母を無事寝床へ。
「うん、、、?」と私は、まだ、臭いが消えていないのに、気づいた。私も、折り悪く、茶色のジャージを着ていたので分からなかったのだ。右手の袖口に、うんちが。母の汚れものや私のジャージを直ぐに洗濯機に放り込んだ。うんち、との格闘、約20分くらいか。(なんで、あの時に気が付かなんだかな~)と。私は、まだまだやと、猛省。「お袋ちゃん、まだ、怒ってるかな~」と思いつつ。
「ご免な~、お袋ちゃん、僕が悪いことしてしもたな~」と、寝てる母に、そ~っと声をかけると。
「う~ん、え~よ、ありがと~ね~」と母が。私はこれを聞いて(なんぼでも、失敗してもえ~か、お袋ちゃん、ちゃ~んと、分かってくれてるわ~)と、同時に、母の器量の方が私より一枚上だ、と言うことも、教えられたのである。