おわりに
この文章は「台湾は国家か」という問いに答えようというものであり、その答えは「国家である。ただし、未承認国家である」というものであった。
ただ、この文章を書き始めたのは、「台湾独立をどう考えるべきか」という問いに対する答えを探すためであった。しかし、この問いに答えるためには「独立とは何か」「台湾が独立するとはどういうことか」を考えなければならず、これらの問いに答えるためには「国家とは何か」「台湾は国家か」という問いに答えなければならないことに気づいた。その結果、このような文章ができてきた。
この文章は本論と3つの補論から成り立っている。
もともとは、この本論と補論を統合したような形で書くことを計画していた。しかし、それは筆者の能力を超えていた。そもそも、国際法は筆者には難しかった。また、国家とは何かという政治学の根本にある問題を突き詰めて考えていくことは、筆者の能力を超えていた。それゆえ、もともとの形で書くことは困難であることに気づいた。その結果、身の丈に合ったものを、無理しない形で書こうと決めた。その結果、本論以外に補論が3つあるという、変則的な形になってしまった。
こうした経緯でこのような形になったので、補論2,補論3で書かれていることが、本来の本稿の目的に近い。
また、「台湾は国家か」という問いに答えようとしているうちに、「国家であるメリットは何だろうか」という疑問が浮かんできてしまった。この問いに対する答えを探したのが補論1である。
こうした形で一応の完成としたい。
しかし、最初の問いかけである「台湾独立をどう考えるべきか」という問いの答えはまだ探し出せていない。
これは今後の課題としておきたい。