ジリリリリ…ジリリリリ…(目覚まし時計の鳴る音)

 

ニートと言えど俺はしっかり者だ。目覚ましの設定でさえ実際に起きる5分前に設定している。

もう何年もニートをしている自他ともに認めるエリートニート、俺の名前は 仁井 徹(にい とおる)

 

毎朝10時に起床し、歯を磨き顔を洗う。何気ない日常だ。髭は面倒だから3日に一度くらいでしか剃らない。
親は共働きで俺が起きるころにはもう出勤している。朝食何て用意されているはずがない、、、

 

だが今日はなんか違うぞ。なんだこのいい匂いは。めずらしく朝食を用意してくれたのかと、匂いに誘われるまま一階にあるリビングに向かった。

 

(トントントン、がやがや)

 

あれ、親がいる。仕事に行ってるはずじゃ?

 

俺「お、おはよう」

 

母「おはよう♪」

なぜか嬉しそうな表情をみせる母親

 

俺「…あれ、今日休み?」

 

母「何言ってんの、今日もパートあるわよ。当たり前でしょ」

 

時計を指してもう出勤時間じゃないのかと尋ねようとしたとき、驚いた

 

まだ6時半じゃないか。目覚ましは9時55分にセットしたはずなのに…

なら、この朝食も俺の分はないなと思い寝室に戻ろうとしたとき

 

母「早くご飯食べちゃいなさい。そんなにのんびりしてたら遅刻するわよ」

 

遅刻?何を言ってるんだ。今日も予定は特にないというのに、そもそも親にいちいち予定など伝えるほど若くない

 

俺「目覚ましのセット間違えただけだよ、また寝るよ。」

 

母「寝るってあんた今日から仕事でしょ。何言ってんの。いつまでニート気分でいるのよ。」

 

仕事?はぁ?このエリートニートの俺が仕事?

 

俺「何言ってんだよ母さん、俺仕事なんてないよ。エリートニートだぜ」

 

母「なーに寝ぼけてんのよ。この前面接行って合格したって喜んでたじゃない。なんだっけ?飛行機の掃除の仕事だっけ?今日からなんでしょ?早くご飯食べて初日くらい早めに行きなさいよ」

 

母親が何を言ってるのかさっぱりわからなかった。いったん自分の部屋に戻り深呼吸をした。

 

俺「母さんがついにボケちまった。どうしよう」ときょどりをかましていると、机の上にある封筒に気がついた。

 

俺「なんだこの封筒」


中には紙が1枚入っていた。雇用契約書と書いてある。

 

俺「なんだこれは、身に覚えがないぞ。でもしっかり俺の名前が書かれている。サインも俺の字だ...俺、就職したのか」

 

もうわけがわからない。