ゆうゆう つれづれ -37ページ目

医療記事 : ジェネリックの光と影

効果、安全性に問題の薬も ジェネリックの光と影/2
  記事:毎日新聞社
    【2008年9月2日】

 ◇データ非開示…現場に不信感
「効き目や安全性は、先発医薬品と同等です」--。
後発医薬品について、厚生労働省はポスターでこう利用を訴えている。
だが「効き目が劣る」「副作用が多い」と指摘される薬もあり、
医師や薬剤師の間で不信感を招いている。【高木昭午、渋江千春】



 ◇厚労省が検討会 品質試験し公表へ
「クレメジン」は腎不全患者用の飲み薬だ。
尿毒症の原因となる毒素を腸内で吸着し、腎臓の負担を減らす。
薬価は1日約800円だ。


 岸和田徳洲会病院(大阪府岸和田市)は04年12月、
クレメジンを後発品である「メルクメジン」に変えた。
薬価は1日約540円。
患者負担は月に約2000円安くなる。
いずれも粉末状の薬だが、メルクメジンの方がかさばらず、
飲みやすいのが魅力だった。


 翌年、岡山市で開かれた日本医療薬学会。
小西圭子薬剤部長の報告が出席者の注目を集めた。
メルクメジンに変えた患者13人のうち9人で、
変更前より速いペースで腎不全が進行していたからだ。
調べた患者数が少なく、変更が原因と断定はできなかったが、
病院は05年9月から薬をクレメジンに戻した。
戻した患者12人のうち7人は悪化が遅くなった。
小西部長は「病院で3割の薬剤を後発品にした。
だが、後発品にはよい薬も粗悪品もある。
是非を判断するデータが不足している」と嘆く。


 東邦大薬学部の柳川忠二教授も05年、
クレメジンとメルクメジンを分析し論文を出した。


メルクメジンは毒素の一つ「インドキシル硫酸」の吸着力が
クレメジンの4割程度しかなかった。
別の毒素の「インドール」でも8割弱だった。
クレメジンもメルクメジンも直径0・3ミリ強の粒子からなり、
その内部に微細な穴がたくさんある。
毒素は穴に吸着されると考えられる。
穴の容積の合計はクレメジンの方が多かった。
国の認可ではこうした構造は審査対象外になっている。
柳川教授は論文で「吸着力の差が効果に反映される可能性がある」
と指摘している。


 メルクメジンの製造・販売元のマイラン製薬は
「尿毒症を起こす毒素7種などで、吸着力がクレメジンと同等との実験結果を
国に提出し認可された」と主張し、問題ないとの立場だ。
だが、実験した毒素の種類など実験データは公表できないという


    *


 「ウテメリン」は早産予防薬だ。
数カ月も続けて点滴する妊婦もいる。

聖マリアンナ医大病院産婦人科の医師らは後発品の「フレムーブ」を

206人に使い、05年3月に学会誌で発表した。
 点滴の針を刺した周辺が腫れて痛む血管炎などが11人(5・3%)に生じていた。
ウテメリンでは0・4%にとどまる。
 二つの薬は、有効成分は同じだが添加剤が違う。
論文は「(添加剤の違いと)血管障害との関連も否定できない」と指摘した。

執筆者の一人、三室卓久講師(現・みむろウィメンズクリニック院長)は
「妊婦を守るために論文を書いた。
長期間、体内に入れる薬で添加剤の影響が出やすいと考える。
後発品は認可時に患者に投与されず、問題があっても分からない。
せめて市販後に副作用を調べるべきだ」と訴える。


 フレムーブは05年9月に販売中止となった。
販売元の田辺三菱製薬(当時は三菱ウェルファーマ)は
中止の理由を売り上げ減少と説明し、
「論文の内容は社内で評価したが、その結果は言えない」と話す。


これ以外にも、後発品には
「先発品と溶け方が違う」
「不純物が多い」
「薬アレルギーが出た」などの事例が指摘されている。


    *


 厚生労働省は今年、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」
(座長、西島正弘・国立医薬品食品衛生研究所所長)の設置を

同研究所に委託した。

検討会は7月の初会合で、メルクメジンなど指摘の多い10品目を対象に、
先発・後発品の品質を独自試験することを決めた。


 検討会の川西徹事務局長(同研究所薬品部長)は
「医師や薬剤師、患者の間に『後発品は大丈夫か』との声がある。
大半は問題ないと考えるが、問題があるものが入り込んでいないとも思わない。
結果は薬の名前を明示して公表する」と話す。