─香(カオリ)17歳─【回想】
中学時代…休み時間…
女子は女子同士で ブルマやジャージを
ずりパンし合ったり…スカートめくりし合ったり…
──ついてけないよ…;
…３、４人が集まって 井戸端会議みたく
ベラベラ喋ったりして…
ドラマや、俳優、アイドルなんかの話しが
興味も無い、聞くつもりもないのに
耳障りに無駄に聞こえてくる…
──萎えるから…;
男子は男子で 教室から廊下から
駆け回って鬼ごっこをしている…
──気が散るのよ…;
そんな休み時間、私は
絵を描いて ファンタジーの世界に
トリップしていた…
キノコにウサギにアリス…
憧れのゴスロリドレス…
一人トリップしていたら
私の机の前を通りかかった
ちょっとグレてる感じの女の子が
私の絵を見て声を掛けてきた…
「あっ、ゴスロリじゃん！」
「見てもいい？」
ちょっとヤバいコなのかと思ってたし
喋った事も無かったから
最初は驚いた…
話してみると凄く気さくだし…
観月は思いやりのあるコだった…
私もだけど、観月もあんまり人と喋らなくて…
何かお互いクラスで浮いてた…
私はイジメとかはされてないものの
クラスの人達とそんなに馴染めなかった…
(暗い人)(真面目な人)(普通な人)
そんなイメージに合わせて過ごしてたから…
見た目が普通だからとか…
こんなの本当の私じゃないから…
私に声を掛けてくれた観月は多分
ありのままの自分でいたから
周りから孤立してたんだと思う…
不良グループに入ってる訳じゃ無いし…
ただ自分のスタイルでいたい…
本当の自分でいても孤立するんだ…
観月とはゴスロリの事で気が合って
すぐに仲良くなった…
でも、観月は急に学校に来なくなった…
観月はずっと自分の性別で悩んでいた…
だんだんスカートさえ履くのに抵抗を感じたり…
リスカの跡もあった…
後から先生が教えてくれたけど
フリースクールって言う所に通う事になったって…
私は何の変化も無く 普通のコのふりして
普通に高校とか通ってるけど…
正直…生きづらい…
パパもママもこれが本当の私だと思ってるから…
いつまで自分を偽ってなきゃいけないの？
このまま就活とか…やだな…
元気かな…観月…
