会場:奈良市音声館
青春をテーマにした七つの青春短編を、部員である“無法警察”こと山口信太郎さんの作・演出で上演した公演。
出だしの「LEAVING HOME」と「続・LEAVING HOME」はテスト期間を拡大解釈した単なる家出を、人知れぬ狂気へ着地させているのが上手い。
次の「僕らの無人島旅行 Part1・Part2」では報われない坂田くんに悲哀を感じ、「試される優しさ」は屁理屈で募金させられる山口くんの受けっぷりがよい。「アテルイと俺の青春」は笑える不条理感とちゃんとアテルイとかかった二人の役名が特徴。
ラストの「遠い記憶の彼方から」はシュール系、ドタバタ系が続いた中で唯一の甘酸っぱいラブストーリー。ラストの演出がちょっと気にくわないけど、個人的には七つの短編で一番好き。
全体的に山口くんの作品世界が独特で、それに他のキャスト二人が付いていってる感じ。僕は本筋で見せる「笑いどころ」より、不意に見せるアドリブや小言が面白いと感じたけど、もう少し観客が居たらば、また違った感じに見えたかも。
上演後にはアフタートークもあって、進行にもっと締まりがあれば良かったけど、一日の流れと同じように見えた短編の配列が、偶然だったことを聞けたのは良かった。
ちなみに、キャストの松下奈央さんは郡山高校演劇部からの客演さんでした。客演なんて社会人でも大変なのに、よくやるなぁと思います。