今回の投稿は、東日本大震災の被災地の福島県二本松市で農業を展開しているきぼうのたねカンパニー株式会社 代表取締役の菅野瑞穂さんです。
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福島の地でたねをまき、命を育み、人と人、人と自然をつなぐような活動をしています。
福島県二本松市東和地域で有機農業をはじめて1年後、東日本大震災が起きました。
震災、原発事故により田畑は汚染され、野菜や米を作っても売れなくなり、農地が荒れ果て、おじいちゃん、おばあちゃんの生き甲斐までも奪ってしまいました。
不安や葛藤の中、ココで生きていくためにはいろんな選択をしなければならなかったわたしたちの生活。
我々が創り出した社会はボタンひとつで生活が楽になり、便利さ故に失ってしまった生活を営む知恵や技、地域同士のつながりの大切さ。
信じるのは誰でもない自分だった。
農家として土地を守り、地域の基盤である農業を続け、種をまくことは何かの希望につながっている役割があるということ。
その思いから、震災から2年を経た2013年、きぼうのたねカンパニー株式会社を設立しました。
ココで生きるためには実態を調査し“まずは知ること”を大事にし、覚悟を決め、立ち上がり、福島の現状を伝え続け、新たなつながり、出逢い、経験、そのひとつひとつが私を大きくしてくれた。
今でこそ、福島から伝えたい。
本当の農業の価値や地域で支え合うというコミュニティの重要性。
今も尚、ふるさとに帰りたくても帰ることができない人がいること。
福島県の震災関連死は1800人を越えたこと。(2015年2月時点)
避難によってストレスや持病の悪化、自ら命を絶たれてしまった方がいるということ。
だからこそ、今わたしができること、農業を伝えていく意味というのを改めて感じています。
毎年全国から300人近くの方々が東和を訪れます。
旅行会社との連携をし、米づくりツアーや企業研修、大学のゼミ活動の一貫としても行っています。
震災後の福島の農業の現場に来て、農作業を体験し、農家民宿に泊まり、地域の人と触れ合う、現場体験そのものが地域の価値だと思うのです。
困難な状況から立ち上がって来た人々の生き様は、新たな可能性に溢れ、地域づくりのまちとして新たな雇用や創造ある地域社会を目指していけるとそう感じています。
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◆次回予告
スタッフです。
次回の投稿は、東日本大震災の被災地である岩手県宮古市から、宮古港湾運送株式会社の小野寺秋子さんです。
ご期待ください。