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生命論 「十界」
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「十界」とは、生命の状態、境涯を10種に分類したもので、仏法の生命観の基本となるものです。
十界の法理を学ぶことによって、境涯を的確にとらえ、各人がそれぞれの境涯を変革していく指針を得ることができます。
「十界」それぞれの名を挙げれば、地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界です。
このうち地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天をまとめて「六道」といい、声聞・縁覚・菩薩・仏をまとめて「四聖」といいます。
「六道」は、インド古来の世界観を仏教が用いたもので、もともとは生命が生死を繰り返す世界を六つに大別したものです。
また「四聖」は仏道修行によって得られる境涯です。
*参考文献 「大百蓮華」教学入門より、引用しました。
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十界論 (3)畜生界
畜生という言葉は、もともとは獣や鳥などの動物を指します。
畜生界の特徴は、目先の利害にとらわれ、理性が働かない「愚かさ」です。
大聖人は「癡かは畜生」と説かれています。
因果の道理が分からず、正邪・善悪の判断に迷い、目先の利害に従って行動してしまう境涯です。
また「畜生の心は、弱きをおどし、強きをおそる」(957㌻)、
「畜生は、残害(=傷つけ殺すこと)とて、互いに殺しあう」(1439㌻)と仰せのように、
畜生界の生命は、理性や良心を忘れ、自分が生きるためには他者をも害する 弱肉強食の生存競争に終始していく境涯です。
目先のことしか見えず、未来を思考できない 愚かさの故に、結局は、自己を破滅させ、苦しむのです。
* 畜生という表現は、古代インドの表現を踏襲したものです。
動物であっても例えば盲導犬のように 人を助けることを使命として生きる例もあります。
また逆に人間であっても、戦争のように他の動物よりも残酷な行為をする場合もあります。
地獄界・餓鬼界・畜生界の三つは、いずれも苦悩の境涯なので「三悪道」といいます。
*参考文献 「大百蓮華」教学入門より、引用しました。
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(4)修羅界
修羅とは、もともとは阿修羅といい、争いを好む 古代インドの神の名です。
自分と他者を比較し、常に他者に勝ろうとする「勝他の念」を強くもっているのが修羅界の特徴です。
他人と自分を比べて、自分が優れて 他人が劣っていると思う場合は、慢心を起こして他を軽んじます。
そして、他者の方が優れていると思う場合でも、他者を尊敬する心を起こすことができません。
また、本当に自分よりも 強いものと出会ったときには、卑屈になって諂うものです。
自分をいかにも 優れたものに見せようと 虚像をつくるために、表面上は人格者や善人をよそおい、謙虚なそぶりすら見せることもありますが、
内面では 自分より優れたものに対する 妬みと悔しさに満ちています。
このように内面と外面が異なり、心に裏表があるのも 修羅界の特徴です。
ゆえに、大聖人は「諂曲なるは修羅」と説かれています。
「諂曲」とは自身の本音を隠して 相手に迎合していくことです。
「諂」は「へつらう、あざむく」という意味で、「曲」は「道理を曲げて従う」ということです。
修羅界は、貪瞋癡の三毒(貪り、瞋り、癡かという三つの根本的な煩悩)にふりまわされる地獄・餓鬼・畜生の三悪道と異なり、
自分の意思で行動を決めている分だけ、三悪道を超えているといえます。
しかし、根本は苦しみを伴う不幸な境涯なので、三悪道に修羅界を加えて「四悪趣」ともいいます。
*参考文献 「大百蓮華」教学入門より、引用しました。
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法華経以外の経典では、十界は、それぞれ固定化された生命の境涯として とらえられていました。
しかし法華経では、その考え方を根本的に破り、十界のうち仏界を除く地獄界から菩薩界までの九界の衆生に 仏界が具わっていることを明かし、成仏した仏にも 九界の境涯が具わることを説いて、
十界は固定的な別々の世界としてあるのではなく、一個の生命に具わる 10種の境涯であることを示したのです。
したがって、今、十界のいずれか一界の姿を現している生命にも、十界がすべて具わっており、縁によって 次に他の界の境涯をも 現せることが明らかになります。
このように、法華経に基づく十界論は、自身の生命の境涯を ダイナミックに変革できることを示す 原理となります。
*参考文献 「大百蓮華」教学入門より、引用しました。
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