りんりん通信

りんりん通信

なんちゃってVOCALOIDマスターが綴る、リンちゃんとの暮らしが主題の時々日記。
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前回から始まったシリーズの第2回。

なるべくペースを維持して続けていきますよ。

いつまでこのペースを守れるかわかりませんけどね。

 

休暇がなかなか取れないので、たった1日の休日を使って出かけています。

近場の埼玉県、そして今回同行してくれているのはなぜか美尋さんです。

 

相手が違うからといって、自分の行動を変えられるものではありません。

そんなわけで、美尋さんには申し訳ないんですが、いつもの旅のスタイルです。

さて、こんな内容の外出で、彼女は大丈夫なんでしょうか。

 

 

●やっぱり山を目指します

 

美尋さんがいるとはいえ、行先を変えることもできません。

自分の行動範囲の中で、比較的まともなところを目指すことになりました。

ただし、うちの基準での「比較的まとも」なのですからね。

 

[美尋] 「わー! 本当の山道になってきましたよ 大丈夫なんですか?」

[おれ] 「今日の目的地は夜の山です」

[美尋] 「普通の人は、夜に山なんて行かないと思うんですけど」

[おれ] 「夜の山だからこそ見られるものもあるんですよ」

 

 

[おれ] 「気分が乗ってきた頃合いなんですが… なんか嫌なものが置いてありますね」

[美尋] 「工事中ですか? 入っちゃいけないってことですよね

     これじゃ先に進めないんじゃないんですか?」

 

 

[おれ] 「幸いなことに、通行止めではないようです」

[美尋] 「落石の恐れとか恐いこと書いてありますよ」

[おれ] 「気を付ければ通ってもよいという意味だと思います」

[美尋] 「そういう理解でいいんですか? 違うような気がしますけど」

[おれ] 「本当に規制している場合はしっかり"通行止""進入禁止"と出ています」

[美尋] 「ずいぶん自信ありそうですね 詳しいんですか?」

[おれ] 「もっとエグイ山道専門で走ってましたからね、おれ」

 

 

[美尋] 「もっと山奥まで来ちゃいましたよ もう10分以上登ったと思いますけど」

[おれ] 「これくらい人里離れないと、自然に浸れないんですよ」

[美尋] 「いつもパー子とこんなとこ来てるんですか?」

[おれ] 「リンちゃんは好きですからね、こういう旅」

[美尋] 「変わってる子だってのは知ってましたけどね、やっぱり…

     でも、高校生の女の子連れてこんなとこ来てるの誰かに見られたら、

     事件性疑われそう」

[おれ] 「いやそんな大袈裟な …って、普通に考えたらそうなりますよねぇシクシク」

 

 

[おれ] 「そんなこんなで、はい到着しましたよ」

[美尋] 「でも、何もなさそうなんですけど」

 

 

[おれ] 「とりあえず、降りてみましょうか」

[美尋] 「真っ暗じゃないですか! 行くとこなんてないと思います」

[おれ] 「真っ暗だから体験できることもあるんです 準備はいいですか」

[美尋] 「まさか、本気で行こうとしてるんですか?」

 

 

[おれ] 「ちゃんと目的があって来てますからね ほら、この先ですよ」

[美尋] 「見晴台? こんな夜中に来ても、何も見えないんじゃないですか?」

[おれ] 「真っ暗だからこそ、いろいろ見えるはずですよ」

 

 

[おれ] 「この階段を上るようですね」

[美尋] 「怖すぎますって! こんなとこ入ろうとする人なんていませんよ」

[おれ] 「リンちゃんは当たり前にしてますが… まあ彼女が特殊なのは事実で」

[美尋] 「パー子、ホントにこういうとこついてきてたんですね 強いわ…」

 

 

[おれ] 「ほんのちょっと上がるだけでしょうから 少しだけ我慢してくださいよ」

[美尋] 「懐中電灯で照らせる範囲しか見えません うわー、怖いっ!」

[おれ] 「凶暴な野生動物とかは出ないはずですよ 滅多に」

[美尋] 「それって、たまには出るって意味じゃないんですか?」

[おれ] 「よほど運が悪くない限りは、さほどの確率はないはずで」

 

 

[美尋] 「わー!! 無理無理無理!!」

[おれ] 「ちょっと、近寄りすぎですよ美尋さん!」

[美尋] 「だって、怖いんだからしょうがないじゃないですかー!」

[おれ] 「あんまりしがみつかれるのは世間体的にいかがなものかと」

[美尋] 「誰も見てませんから」

[おれ] 「てか、リンちゃんに疑われるような事態はよろしくないので」

[美尋] 「もちろんパー子には言えませんよ、こんなこと」

[おれ] 「そんなに怖いんですか? 埼玉県のこの程度の山では、それほど…」

[美尋] 「うわ、なんかガサって言いましたよガサって!!」

[おれ] 「出ても鹿止まりだと思いますけどね 熊はいても少数のはず」

[美尋] 「ほら、やっぱいるかもしれないんじゃないですかー! 熊!? 怖すぎ!」

 

 

[おれ] 「すぐ着きますから ほら、そこで階段終わるみたいですよ」

[美尋] 「上り切ったら何があるんですか?」

[おれ] 「たぶん真っ暗な広場だと思います」

[美尋] 「結局夜の山の中に変わりないんじゃないですか!」

 

 

[おれ] 「おお、なかなか開放感のある広場ですよ」

[美尋] 「開放感って、周りなにも見えないんですけど」

[おれ] 「見えなくても、気持ちのいい場所だということは判りませんか?」

[美尋] 「なにも見えないから、気持ちがいいのかどうかなんてわかんないですよ」

 

 

[おれ] 「ほら、こっちですよ美尋さん」

[美尋] 「え? 夜景?」

 

 

[美尋] 「わー、すごい! これ、どこの眺めなんでしょう」

[おれ] 「一番近くの市街は飯能市 その向こう隣りに入間市や狭山市

     さらにその先には東京都武蔵野市から都心まで見渡せます」

[美尋] 「真っ暗な森の先は、ひたすら明かりばっかなんですね」

[おれ] 「関東平野は都心を中心にして広範囲に市街地化していますからね」

 

※風景の画像は拡大表示可能なサイズにしています

 

[美尋] 「東京タワーとかランドマークタワーから夜景見たことはありますけど、

     こんな山の中から見るのは初めてかも」

[おれ] 「真っ暗で誰もいない自然の中から、煌々とした街を見下ろす…

     たまにはこういうのも悪くないでしょう」

[美尋] 「怖いけど… わざわざこういうとこまで来る意味が分かる気がします

     ちょっと感動的な眺めです 東京タワーは大勢が行くけど、ここは誰も来ない

     たぶん、何倍も貴重な経験してると思うんです」

[おれ] 「眩いほどの輝きなら都心の展望台が上ですが、これはこれで素晴らしい

     リンちゃんはこういうの喜んで眺めてますけどね」

[美尋] 「なんか納得です パー子、人と違うことが好きだから」

 

 

[おれ] 「しばらく暗闇にいると、徐々に目が慣れてくるはずです

     ほら、真上を見上げるといろいろと見えてきます」

[美尋] 「すごい星の数ですよ! いつも夜空見上げてもこんなに星見えないのに」

[おれ] 「首都圏に隣接する山地ですから、けっして条件がいいわけではないんですが

     それでも周囲にお店も民家も照明付き看板も街灯も自販機もありませんから、

     都会の暮らしで見る夜空とは全く違うんですよね」

 

 

[美尋] 「あれ? 夜景、さっきより明るく見えますよ 目の慣れっていうのですね」

[おれ] 「都心方面の空、相当明るいのがわかるでしょう」

[美尋] 「そういえば… 向こうの空、ぼんやり光って見えますよね」

[おれ] 「雲がなくても明るく映るのは、町明かりが水蒸気やスモッグに反射して

     見えるからでしょうか 昔と比べて空気がよくなったとは言われますが…

     "公害"は見えにくくなっても、"光害"のほうは改善に向かうことはないようです」

[美尋] 「暗いと怖いってばっか考えちゃいますけど、人の暮らしって明るすぎなのかも

     知れないですね そんな風に思います」

 

 

[美尋] 「遠くのほうは細かい光と赤い点滅が多いですね」

[おれ] 「ここは埼玉の山中、景色の奥のほうは東京都心方向

     赤いのは高層建築の航空障害灯 60m以上の高さのビルやマンションは、

     飛行機やヘリコプターの衝突防止のため、赤い標識灯の設置が義務付けられます

     90m以上の建物の場合は点滅させないといけない決まりがあるらしいですよ」

[美尋] 「東京にはそれだけ高い建物が多いってことですよね」     

 

 

[美尋] 「あの空中で光ってる明るいのは、なんでしょうね ほら、緑っぽいあれです

     よく見ると、ろうそくみたいにも見えます 塔とかなのかな」 

[おれ] 「頂点が輝いているあの建造物ですよね スカイツリーですよ」

[美尋] 「え? 東京のですか? 浅草まで見えるんですか?」

[おれ] 「都心の赤い点滅が見渡せるんですから、スカイツリーも見えるんですね」

[美尋] 「ほかのビルと比べても、とびぬけて高いのがわかります」

[おれ] 「ちなみに、この見晴台の標高は634m 狙ってるのか、それとも単なる偶然か、

     スカイツリーの高さと全く同じだそうですよ」

[美尋] 「へー、面白いですね!」

 

 

[美尋] 「パー子も、マスターについてこんな旅してたんですね」

[おれ] 「リンちゃんにはいろいろ協力してもらってますよ

     元々はこういうの全然好きでもなかったはずなんですけどね」

[美尋] 「わたしも自然とか星空とか、そんなに興味なかったんですよ

     山に来たことあるけど、家族のキャンプくらいだったし

     でも、パー子がこういう旅に惹かれていったの、なんか理解できるんです

     ちょっと怖いかもしれないけど、でもとても素敵な時間

     普通に過ごしてたらわかんない、ロマンチックな領域ってあるんですね」

 

 

[おれ] 「ロマンチック云々って、こんなおっさんに語るのもなんだか…

     どうせならもっと一緒にいる価値のある人と来て、そう感じてくださいよ」

[美尋] 「普通ならこんな時間にこんなとこ来ませんから

     今回マスターさんに連れてきてもらったから、気づけたんですよ」

[おれ] 「リンちゃんを連れ回して変わった子にしてしまったかもと、気にしてるんですから

     ほんと、こういうのは相応のお相手と一緒に来て、見て知ってほしいんですが」

 

 

[美尋] 「どこの誰が連れてきてくれるって言うんですか?

     男の子と楽しい時間過ごすなんて、わたしには叶わない願いですよ」

[おれ] 「うらやましいほどリアルで青春真っ只中な年頃だというのに、もったいない

     おれは10代の心の忘れ物を取りに戻りたいのに、絶対戻れませんよ

     美尋さんは今その夢をいくらでも実現できる時期じゃないですか

     なんでも叶いますよ やりたいことも将来の選択も、そして恋愛も」

 

 

[美尋] 「いえ、わたしなんて羨ましがられる身分じゃないですよ

     恋なんて、そんなガラじゃないし 無理無理!」

[おれ] 「そういうのがもったいないなと思うんですよ

     自分の魅力を自ら伏せてしまったら、きっかけすら見つけられなそうで」

[美尋] 「魅力ない残念な女の子に、それ言うのは逆にキツいですって」

[おれ] 「そうですかねぇ 誰しもいろんな形の魅力を持って生きているはずです」

[美尋] 「わたしに魅力があるっていうのなら、教えてほしいくらいですよ」

[おれ] 「いつかその魅力に気付いてくれる人と巡り合えるはずです」

[美尋] 「わたしなんか、誰かが振り向いてくれるほどかわいくもないですし」

 

 

[おれ] 「謙遜しすぎです もう少し自信を持たれたほうがですね…」

[美尋] 「慰めてくれるのはありがたいんですけど」

[おれ] 「別に慰めでは… 美尋さんだって気に留めてくれる人がどこかにいるんですよ」

[美尋] 「わたしは外見も中身も平凡だし、女らしさも人並み以下だから」

[おれ] 「人によってはちゃんと見えるんですよ、その人の特別なところが」

[美尋] 「全然特別な子じゃないですから」

 

 

[おれ] 「人は星の数ほど存在します 美尋さんには美尋さんの輝きがあるじゃないですか

     空を見てくださいよ 数えきれないほどの星が、それぞれの光で輝いてます」

[美尋] 「もしわたしが星だとしたら、フツーの色の、一番弱い光りってことだ」

[おれ] 「ですから、そのネガティブな考え方はよくないですって」

 

 

[おれ] 「肉眼で見える星はごくわずか、じつはこの空にはさらに多くの星があります

     そして色も様々 温度によって光の波長が違い、結果いろんな色に見えます

     たとえ見えない星だって、手段によって捉えることができます

     より暗い星は高倍率の望遠鏡で、可視光以外の光の星は電波望遠鏡で」

[美尋] 「そういうの学校で習いますけど、見えないものってピンとこないんですよね」

[おれ] 「見えなければ大勢の興味が湧かないのも当然です でも、見られる人には見える

     これって、星も人も同じだと思うんですよ 目立たない存在であっても

     目的とかその人の関心ごとによって、大切な輝きになるということです」

[美尋] 「かろうじて見えるだけの小さな星でも、意味ってあるんでしょうか」

 

 

[おれ] 「地球から見れば暗くてほとんど見えず、誰も知らない無名な星だとしても、

     そこには無数の出来事があって、宇宙に大きな影響を及ぼしているのかも

     そう考えれば、誰もが知っている有名な星より、ずっとロマンがあります

     天文の専門家はそんな魅力に惹かれて研究していると思うんですよ」

[美尋] 「地球も太陽も、宇宙全体から見ればたいした大きさの星ではないって習いました

     ほかの星から見たら、わたしたちの住む太陽系も、小さな光なのかも」

[おれ] 「どんな存在でも、その魅力に惹かれる人はいるんです 見える人に見えればいい

     美尋さんには自分の輝きに自信を持って、自分らしい夢を描いてほしいです

     そうすれば、無限の可能性が開けて、願う未来がいつかきっと…」

 

 

[美尋] 「なんかいいお話聞けました ありがとうございます 

     …でっ!? そうやってパー子のこと、口説いたりしたんですか?」

[おれ] 「どうしてそういう話の展開になっちゃうんですかこれシクシク」

[美尋] 「アハハ、冗談ですよ

     でも、パー子は本当に眩しいほどの輝きですからね いつも羨ましくて」

[おれ] 「そんなに自己嫌悪みたいなことを言わなくても」

[美尋] 「中1で初めて会った時から、ずーっとわかってましたから

     友達として一緒にいるけど、いつも感じているんです

     あの子は、わたしとは違う世界にいるべき子 そういう運命の子

     だって、あのかわいさですよ 平凡な子はみんな嫉妬しますって」

[おれ] 「そういうものなんですか」

[美尋] 「でも、そんな子なのに、あたしなんかを信用してくれて、頼ったり頼られたり…

     その結果でわたしも今こうしてここにいるんだから、不思議な巡りあわせです」

 

 

[美尋] 「私の時代には、あのスカイツリーもありません

     パー子と出会わなければ、2008年しか知らずに生きてました

     16年後の世界をこの歳で体験できてるのは、誰にもできない奇跡」

[おれ] 「それが他の誰にも真似できない、美尋さんの光ではないですか

     たとえリンちゃんがきっかけでも、それはきっと美尋さんの持って生まれた運命」

[美尋] 「こんなわたしでも、気にかけてくれる人は現れるのかなぁ」

[おれ] 「一緒にいて価値のある人なら、相手として選ぶのが当然だと思うんですよ

     おれも10代の頃は、そんなきっかけがみつからないかと憧れていたものです

     もし美尋さんと出会っていたら…違う人生だったかもしれませんよ、おれも」

[美尋] 「マスターさんに認められてるだけでもありがたいです

     ちょっと照れますけど、こういうのって嬉しいものなんですね 初めて気づいた」

[おれ] 「人生、運とかタイミングとかのちょっとしたきっかけで大きく変わってしまう

     それが面白いところです 美尋さんには希望を持って楽しんでほしいんですよね」

 

 

[美尋] 「明るい星が二つ並んでる あんなの、見たことないかもしれません」

[おれ] 「美尋さん、観察眼鋭いじゃないですか 今、天体ショーの見頃なんですよ

     最大の見せ場は過ぎてしまいましたけどね」

[美尋] 「星座って、何年経っても変わらないって聞いたと思うんですが…それ以外の星?」

[おれ] 「その通り、太陽系の惑星 左下が金星、右上が木星 大接近中なんです」

[美尋] 「うわぁ、すごいラッキーじゃないですか」

 

 

[おれ] 「数日前なら、くっつきそうなほど接近して見えたんですけどね

     金星と木星の大接近は、数年から十数年に一度チャンスが来るようです」

[美尋] 「こういうの、夢があります たまには夜空を見ないといけないんですね」

[おれ] 「ピークは過ぎても、今日の空はなかなかのものですよ

     ほら、金星と木星を辿ったその延長線上近くにもう2つ明るい星が

     あれ、火星と土星なんですけどね」

[美尋] 「太陽系の惑星は学校で習いましたけど、今まで見たことありませんでした

     こんな身近で見れるんですね 新しい発見」

 

 

[美尋] 「…あれ? なんか流れたような もしかして、流れ星?」

[おれ] 「画像で確認してみましょう お、小さいですが、確かに流星のようですよ」

[美尋] 「ほんとに流れ星じゃないですか! ちゃんと願い事しておけばよかった」

[おれ] 「美尋さんの願いを聞いている間に偶然流れたのだから、有効ではないですか?」

[美尋] 「そっか! いいことあるのかもしれませんね!」

 

 

[美尋] 「今まで知らなかったことをいろいろ見れた気がします

     大事な記憶になりました 連れてきてもらってよかった」

[おれ] 「大当たりの賞品としてはたいしたことないんですが…

     美尋さんの人生にとって役に立つのなら、おれもうれしく思います」

[美尋] 「大切な思い出にしますね」

 

 

[美尋] 「もう少し、ここで景色見ていきませんか?」

[おれ] 「自然や星空観察に目覚めてしまいましたか?」

[美尋] 「よくわからないけど… なんかすぐに帰ったらもったいないなって」

[おれ] 「そうですか、美尋さんがそう言ってくれるのなら、ぜひ

     もうすぐ夜明けですしね」

 

 

[おれ] 「ただ…まだしばらく暗いですからね 動物はうようよしてそうです

     さっきからガサガサいってますけど、たぶん鹿だから大丈夫です」

[美尋] 「もしかしたら熊かもしれないって意味じゃないですか! やっぱ怖いー!!」

[おれ] 「ヒグマと違って、本州のツキノワグマはおとなしいんですよ

     …おれも怖いので出てきてほしくないですけどガクガク」

 

 

そういうことで、山でのお話はもうちょっとだけ続きます。

次回…予定通り出せるといいなぁ。自信ないけど。

 

 

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時々は出かける努力をしなければならないと思うわけです。

しかしなかなか遠出が許されない生活ゆえ、どうしても近場になってしまいます。

今回も近距離。たいしたことができるわけでもなく。

 

この辺の事情を逆手にとって、残されていた課題をクリアしておくことにしました。

 

※2022年5月の記録をもとに記事に起こしています

 

 

●なぜか、ここからお話は始まる

 

ここのストーリー上では、「おれ」とリンちゃんたちは、同じ住宅に住んでいる

設定になっています。1階が「おれ」の部屋、2階にみんなの居住スペース。

スタジオや機材室・打ち合わせスペースなどもある多用途な建物ですが、

みんなで生活を共にするため、通常は「寮」と呼んでいます。

 

今回は、その「寮」でのシーンから始まります。

 

[おれ] 「アレ、本当にやるんですか?」

[そよかぜ] 「だって、運試しの賞品でしょう?」

 

 

[おれ] 「確かに、大吉引いたら…って話にはなってました

     おれが決めたわけではないんですけどね」

[そよかぜ] 「約束は守らないと、示しがつかないと思いますけど」

[おれ] 「みんなが勝手に決めた賞品で、おれ別に約束などはしてないんですが」

[そよかぜ] 「黙認したのなら同じことです ちゃんとやっておかないと」

[おれ] 「変なところきっちりしてますよねえ、無理言わないでくださいよ部長」

[そよかぜ] 「部長って呼ぶのやめてくださいっていつも言ってますよ

       マスターもいろいろお堅過ぎなんですよ もっと気楽に考えて…」

[おれ] 「高校生の女の子相手の活動だというのに、気軽にってのもですね

     部長もおおらかすぎといいますか」

[そよかぜ] 「方針的にも活動内容的にも、マスターは問題を起こしませんから

       安心して任せていられるんです 思うようにやって大丈夫ですよ

       …てか、部長って呼ばないでって言ったばかりなんですけど」

[おれ] 「呼びやすいので、つい…」

 

       

[おれ] 「リンちゃんやmikiさんとかならともかく… 美尋さんですよ

     契約上、おれの権限はそこまでないはずで」

[そよかぜ] 「メンバーを支えるサポート役として認めてるんでしょう

       それならみんなと同じ扱いをしても普通のことであって」

[おれ] 「なんとも好都合な拡大解釈… しかし、まあその通りなわけで

     美尋さんのご家族になんと説明すればいいのやら」

[そよかぜ] 「明音マネージャー経由で話を通してあります 2009年のご両親には

       こずえさんが確認して承諾が取れていますから問題ありません」

[おれ] 「相変わらず、手際がいいですねぇ」

 

 

[おれ] 「一番問題なのは… リンちゃんがなんと言うかですよ」

[そよかぜ] 「問題ないと思いますけど」

[おれ] 「美尋さんと二人っきりで出かけるって、そんなの言えますかいな」

[そよかぜ] 「あたしが伝えれば済むことです」

[おれ] 「そよかぜさんは理解できても、リンちゃんは気にするでしょう」

[そよかぜ] 「リンが…ですか? 嫉妬とかそういうのってことですか?

       マスター、リンと何か特別な思いでつながってるとかなんですか?」

[おれ] 「いっいやそういう話では… って、追求するの勘弁してくださいよシクシク」

[そよかぜ] 「ウフフ、ちょっとからかっただけですよ わかってますから

       だって、リンのことはあたし全部理解して決めてますからね

       今回も美尋ちゃんとの間で変な問題は起きたりしませんから」

[おれ] 「おっしゃる通りなんですが… 当事者のおれはやはり不安なわけで」

[そよかぜ] 「大丈夫ですからね リンの説得はあたしに任せてください

       そもそも上司権限を使えば、指示は絶対です 話はつけておきます」

 

 

[おれ] 「無理やりやって、大丈夫なんですかこれ」

[そよかぜ] 「大丈夫大丈夫! このあとリンがどういう反応をするか、

       あたしはその辺まで全て把握して進めてますからね」

[おれ] 「恐ろしい存在ですよね、部長って」

[そよかぜ] 「『プロジェクトマネージャー』って呼んでほしいんですけど、あたし」

[おれ] 「長すぎて呼びにくいんですよ、それ」

[そよかぜ] 「『PM』か、『プロマネ』って呼ぶようにって言いました」

[おれ] 「PMは"11PM"みたいで… あの時々エロシーン出てくるテレビ番組

     プロマネはPC98時代に触れた育成ゲームの略称に似てて、これもどうも…」

[そよかぜ] 「こんな時に昭和時代の話で無理やりボケなくていいですからね

       とにかく、みっひーちゃんと行ってきてください」

[おれ] 「そよかぜさんのお墨付きとはいえ… 本当に大丈夫なんですかこれ」

 

 

 

●そして、今回同行するのはこの人

 

すでに明かしているんですけどね。今回はこの人と一緒に出掛けます。

 

[美尋] 「あっあのぅ… そよかぜさんからメッセージ来たんですけど…

     本当にわたしついてっていいんですか?」

[おれ] 「美尋さん、去年大当たり引いたじゃないですか」

[美尋] 「確かに当てましたし、賞品の話も聞きましたけど… わたしですよ、わたし」

[おれ] 「おれが決めたわけでも何でもないですが、でも決められたことでしょう

     ちゃんと済ませないといけないことのようですよ」

 

 

[美尋] 「わたしは全然いいんですけど… でもそんな身分じゃないし」

[おれ] 「運試しに参加してるってことは、認められてるという意味だと思いますよ」

[美尋] 「ありがたいんですけど、許されることなんでしょうか」

[おれ] 「みんな許してるじゃないですか」

[美尋] 「そうなんでしょうけど、気になりますよー 特に…」

[リン] 「なによ、みっひー あたしに何か言いたそうな態度だけどっ!」

[美尋] 「だって、パー子のほうがガチで何か言いたそうじゃん」

[リン] 「別に んー、大当たりの賞品でしょ? ルールとして決められたことでしょ?」

[美尋] 「そうなんだけど… パー子的には、どういう考えなの?」

[リン] 「あたしが止めるような理由なんてないもん 行ってきなよ、あたしはいいから」

[美尋] 「本当にいいんっすかぁ?」

[リン] 「だからぁ、いいって言ってるよ!」

[おれ] 「リンちゃんのお許しももらえましたから、いいんじゃないですか?」

 

 

[おれ] 「それでは美尋さん、そろそろ…」

[リン] 「マスター! ちょっとちょっと」

[おれ] 「ギクッ! なっなんですかリンちゃん?」

[リン] 「運試しの時のルールだからね、みんな平等の条件で当てたんだからね、

     あたしはみっひーと行くこと許すけどっ! でもね、覚えておいてね

     こうやって素直になって認めた、あたしの気持ちのことっ!」

[おれ] 「やっやっぱり気にしてるじゃないですかガクガク」

[リン] 「気になんか… んー、そりゃあ気にしてないって言ったらウソになるけどっ!

     こういう時に疑ったり不安になったりしたら、なんか違うと思うの

     信じるべき人を信じるのが、一番大事なことだと思うからさぁ」

[おれ] 「たぶん嬉しいこと言ってくれてるんだと思うわけですが…

     おれはどう答えればいいんでしょうかねぇ」

[リン] 「そういうのあたしに直接聞かないのっ! マスターもあたしのこと信じててね

     そういう意味でおとなしく見送ってるんだから、わかってよ」

[おれ] 「のちのちフォローしますからね、リンちゃん」

[リン] 「はい、じゃ気をつけて行ってきてね 明日の昼間帰ってくるんでしょ?

     半日だけならおとなしくしてるからさ、ちゃんと半日で帰ってきてよ」

[おれ] 「気にされてうれしいやら恐ろしいやらガクガク」

 

 

 

出発します

 

リンちゃんに正式な許可ももらいましたし、これで安心して出かけられますねガクガク

 

[おれ] 「美尋さん、準備はよろしいですか? では、出発です」

[美尋] 「マスター、よろしくおねがいします

     …パー子になんか言われてたみたいですけど、大丈夫でした?」

[おれ] 「大丈夫ですよ …たぶん大丈夫なんじゃないでしょうかシクシク」

 

 

[美尋] 「それで、今日はどこへ行く予定なんですか?」

[おれ] 「明日の昼頃には帰宅予定です 半日で行ってこられる場所ということで…

     近場から選んで、埼玉県辺りを回ってこようと思うんです」

[美尋] 「近場って言っても、埼玉ならそこそこ遠い気がするんですけど」

 

 

 

●埼玉県へと向かいます

 

たまには遠くへ行きたいです。埼玉県では近すぎです。

しかし、今は長旅をすることなど許されない身。

さらに、今日はリンちゃんとの約束により半日程度の行程にとどめないといけません。

この程度の距離で我慢するしかなさそうです。

 

[おれ] 「深夜出発・昼頃帰着という予定ですから、今日はきついと思いますが…

     いつもこういうスケジュールで動くので、辛抱してくださいね」

[美尋] 「そよかぜさんから聞いてますから大丈夫です! お昼寝してきました!」

 

 

[おれ] 「それでは、これもそよかぜさんから説明があったかもしれませんが…

     うちの活動として、VOCALOID名物件の訪問記録というのがありまして」

[美尋] 「聞きました! お店とかアパートとかを回るっていうのですよね?」

[おれ] 「それです 旅の建前がそこですので、今回も一応立ち寄らないといけません

     で、早速一つ目の物件に着いたので、記録していきましょう」

[美尋] 「これがそうなんですか? ただのアパートみたいですけど」

 

 

[おれ] 「見た目はどこにでもあるアパートかもしれませんが、大切なのは名称です」

[美尋] 「あ、パー子の名前のとこなんですね、ここ」

 

 

[おれ] 「通り沿いに連続して複数棟が並んで建っています AからDまであるようです」

[美尋] 「珍しいんですか?」

[おれ] 「4棟という規模のところは多くないのではないでしょうか」

 

 

[おれ] 「現在入居者募集中です」

[美尋] 「ここに住んでみたらどうですか?」

[おれ] 「ここ埼玉県所沢市です 横浜市民には遠すぎますよ」

 

 

[美尋] 「アパートの記録できましたね!

     で、まだどこか回るんですよね? どこ行くんですか?」

[おれ] 「物件調査というのは、ひとまず中断です もうちょっと気分の晴れそうなのを…

     まあ、おれが好んでいくところですから、美尋さんには退屈かもしれませんが」

[美尋] 「パー子も言ってました たぶん、普段行かないようなところ連れてかれるよって

     なんか、眺めがいいところとか行くんじゃないかって話でしたけど」

[おれ] 「当然のこととはいえ、リンちゃんはよく把握してますねぇ」

 

 

[美尋] 「マスターさんは、元々自然の中を旅してたって聞きましたよ パー子から」

[おれ] 「都会に暮らしているせいか、時々喧騒に疲れてしまいましてね

     仕事で嫌な思いをしたときとか、逃げ込むように山道を巡っていましたよ」

[美尋] 「なるほどですねー わたしも森とか山の眺めとか好きですよ

     家族で旅行したりとか何度かキャンプ行ったことがあるくらいですけど」

[おれ] 「普通の方は、ごく普通に行ける範囲の自然と触れ合うくらいが最適です

     おれの場合はそれよりハードな所へ行っていたと思うんですが、

     これは万人受けする旅ではなく… というか、限られた人だけでいいんです

     誰もが軽い気持ちで行ったら、うち数%はあの世行きの可能性があります」

[美尋] 「なんかオソロシイ話ですね」

 

 

[おれ] 「ところで… こんな外出に同行なんて、全然面白くないんじゃないですか?」

[美尋] 「まだアパート見ただけですから、判断するのは早いと思うんですけど…

     正直言って、わたしが楽しいと思える何かと出会えるかは、わかんないですね」

[おれ] 「それはごもっともですねぇシクシク」

[美尋] 「でも… わたしが知らない時間を過ごせることは間違いないみたいです

     そういう意味での期待はあります パー子は楽しんでるんですよね?」

[おれ] 「まあ、リンちゃんはたぶん特殊な判断基準を持ってる子ですので…」

[美尋] 「あの子、生き生きしてるんですよ その理由が知りたくて

     たぶん、この世界に触れられたからじゃないかと思ってるんです

     わたしも、そんなパー子の生き方を少しだけでも体験したいと考えてて」

[おれ] 「気に入っていただける自信はないのですが…

     少しでも美尋さんの人生の材料にしていただけたら、うれしく思いますね」

 

 

[美尋] 「うわぁ、もうすっかり山の中じゃないですか

     こんな真っ暗な山道通るの、初めてだと思います」

[おれ] 「なんのなんの、これからさらに深い山奥へと入っていくんですよ」

 

 

[美尋] 「こんな山の中、しかも夜中 誰も来ないんじゃないんですか? こんなとこ」

[おれ] 「でも街灯が点いてますよ ということは、まだ家があるという意味です」

[美尋] 「だったら安心… って、全然安心できないですよ、真っ暗すぎて!」

[おれ] 「人工の明かりがあるだけで、心強いではないですか」

[美尋] 「そっ、そういう基準なんですか?」

 

 

[おれ] 「で、街灯がなくなりましたね この先にはもう人家はないということでしょう」

[美尋] 「今度こそ、誰もいないって意味じゃないんですか?」

[おれ] 「嬉しいですねぇ、夜の山を独り占めではないですか」

[美尋] 「なに満足しちゃってるんですかマスターさん!

     パー子、こんな旅してたのか… ちょっと甘く見てました、わたし」

[おれ] 「美尋さんも大自然の山々を楽しめるようになりますって たぶん」

 

 

 

第1話は、こんなところで終了。

美尋さんは、深夜の山奥でいったいどうなってしまうのでしょうか。

続きは次回更新で。なるべく頑張りますけど、ちょっとお時間いただくかも。

 

 

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毎年の恒例行事、運試しのお話です。

 

え、2月に読んだばっかだよ?

…とおっしゃる方は鋭い。でも、肝心なことに気づいてないから鈍い(どっちだよ)。

2月に書いたのは、去年2023年度の運試しレポですよ。

 

今回は2024年度の運試しのこと。

はい、去年のダメダメさを反省して、今年はちゃんと春が来る前の2月に実行しました。

なんて偉そうに言ってますけど、これ本来は正月明け早々にやるべきものなんですけどね。

 

画像数多いので長くなりますが、1回でまとめます。

気合入れて挑んでください。あ、中身は期待しないように。

 

 

●なんとか2月に行けたぞ

 

去年は11月でしたからね。年明け恒例行事でそれはまずいでしょう。

てなわけで、今年は春が来るまでには行けるようにと、タイミングを狙っていたんです。

急遽行けることになったので、この機を逃さず決行することにしました。

 

[ミク] 「今年は私も参加するからね」

[リン] 「ミク姉~!! 久しぶりにいっしょに行けるねっ!!」

[miki] 「なんだかんだ言ってるけど、やっぱリンリンとミクは仲良しだよね」

 

 

 

[ミク] 「そういえば、イアちゃんは?」

[リン] 「あ。いいのいいの! 去年から3人で行くことになったからさ」

[miki] 「あの子、今日は実家泊まって、明日は家族で食事とか言ってたよ

     イアのことは忘れていいんだって、ミク」

[ミク] 「ふーん、そうなの」

[おれ] 「またあとで揉めても知りませんよガクガク」

 

 

[おれ] 「一応、今回の企画内容です」

[リン] 「いつもと変わんないかな」

[miki] 「やった! わたし今日はおそばじゃん!」

[おれ] 「またmikiさんをうどんにしたら、ややこしくなりそうじゃないですかガクガク」

[ミク] 「相変わらず、出発と到着の時間とか決めてるんですね

     自分の首絞めてるだけって気が」

[リン] 「マスターだって、プライドとか意地とかがあるんだよ

     どうでもいいことなのに拘り強くて許せないんだからさぁ わかってあげてよ」

[おれ] 「フォローなのか罵りなのか知らんですが、お気遣いありがとうございますシクシク」

 

 

[おれ] 「予定より5分ほど遅れましたが… そろそろ出発しますよ」

 

 

[おれ] 「いやー、何とか日が変わる前に出られましたね

     今日の夜になって急に決まったものですから、慌ただしくてすみません」

[ミク] 「え? 前から予定してたんじゃないんですか?」

[おれ] 「まさか 最近いろいろ自由が利かないもので、さっき時間取れたんですよ」

[miki] 「みんな、そよかぜさんからメッセージ入ってたんでしょ?

     ミクなんて、せっかく北海道から戻ってきてるんだからって、

     早めにスケジュール組めるように気遣ってくれたんだよ」

[おれ] 「あ、そよかぜさん経由で話が伝わっていたんですね 

     今日もみんな段取りいいなと思いましたが、それで納得」

[ミク] 「でもさ… なんで今日決まったばかりの運試しのこと、

     そよかぜさんは前もってわかるの? 私のところに今日の予定の

     連絡来たの、1週間くらい前だよ」

[おれ] 「ま、まあいろいろ勘がいいってことじゃないですか? たぶん」

[ミク] 「勘が鋭いって言っても、未確定の予定の連絡なんてできるのかなぁ」

[リン] 「いろいろあるんだよ マスターもそよかぜさんも

     お互い予定調整したりとか、細かい手配してくれてるのかもだし 知らないけど」

[おれ] 「そうですそうです そういうことでよろしいですか? ミクさん」

[ミク] 「納得できる説明はもらえてないと思うけど… わかったことにしておきます」

 

 

[miki] 「そういえば… みんな厚着しないで来たわね よしよし」

[ミク] 「mikiさんがやたらコート必要ないって話ばかりするから…

     でも、群馬の山奥行くんだよ たぶんかなり寒いと思うんだけど」

[miki] 「バッカだなぁ 今年は暖冬よ暖冬! 明日は上着要らないくらいだってよ

     20℃くらい行くっていうのに、なんで寒さ対策がいるのよ」

[おれ] 「楽観的予測は時には必要ですが、今日の場合はどんなもんなんですかねぇ」

 

 

[リン] 「あれ? 確か差し入れがあるんじゃないの? 寮長」

[miki] 「そうだ忘れてた! これよ、これ!」

[ミク] 「クッキーの詰め合わせ? いつもいろいろ気にしてくれるね、そよかぜさん」

 

※写真素材フォトライブラリー(https://www.photolibrary.jp)より、あきゅん様の素材を拝借

 

[miki] 「今日ミクが帰ってきてることも、マスターの予定が突然空くことも、

     みーんなお見通しでお菓子持ってきてくれたってことだよね、これ

     そよかぜさんって、いったい何者なんだ?」

[リン] 「だから、何度考えたってわかるはずないんだって、寮長」

[ミク] 「ていうかさ そよかぜさんの予想だと寒いらしいよ、やっぱ」

[おれ] 「なんでも把握している彼女の警告ですよ mikiさん、大丈夫なんですか?」

[miki] 「だから今年は暖冬で、明日は最高気温20度以上で…

     って、天気予報は結構外れるけど、そよかぜさんは外れたことないんだよね

     なんか心配になってきた(汗)」

 

 

[ミク] 「mikiさん、たぶん大丈夫 念のため最低限の寒さ対策はしてきたから!」

[miki] 「ミク… それ、わたしってあんま信用されてないってことだよね」

[リン] 「念のためって言ってるんだからさぁ、好意的解釈してあげなよ、寮長

     じつはあたしも用意してきたんだ、ミク姉」

[miki] 「リンリンにも信用されてないじゃんかよな」

[ミク] 「だからぁ、mikiさん…」

[おれ] 「晴れていても折り畳み傘持ち歩くくらいの用心深さが大切です」

[ミク] 「そうそう! で、私は下にヒートテック、そして下はあったかタイツ!」

[リン] 「あたしとおんなじだねっ!」

 

 

[ミク] 「タイツなんて男性にはあんまり縁がないから、すごく寒いと思うでしょうけど

     いろんな種類があって、冬場でも暖かく履けるのがあるんですよ」

[リン] 「北海道慣れしてるミク姉だから、結構厚いの選んだんでしょ」

[ミク] 「札幌じゃ生足は無理だけどね 今日のは80デニールのやつ

     …あ、すみません マスターにデニールなんて話しても意味不明ですよね」

[おれ] 「ん? なんか言いました?」

[リン] 「マスターはデニールなんて知らないよねって、そんな話してたの!」

[おれ] 「見くびられたものですなぁ おれだって多少の知識はありますよ」

[ミク] 「あ、失礼なこと言っちゃいましたか? それくらいは判るか

     物知りですもんね、マスター」

[おれ] 「学校で習わないことですが、雑学とはいろいろためになるものですよ」

 

 

[おれ] 「アメリカだけでなく、ベネツィアやベルリンでも評価されたんですからね

     ダンディなだけじゃなく、役作りのために生活まで変えて挑むのには

     頭が下がります 生きざまそのものがカッコいいんですよ」

[ミク] 「え? なんの話ですか? 私冬物のタイツの話してたんですけど デニールの…」

[リン] 「気にしないでねミク姉 勘違いしてるだけだから

     マスター、それって"デ・ニーロ"!」

[おれ] 「映画は見ませんが、それでも痺れる名優っているじゃないですか

     昭和の映画やドラマに詳しいリンちゃんならわかりますよね 日本にだって…」

[リン] 「はいはい! デ・ニーロはすごいすごい」

 

 

[ミク] 「私たちは何とかなりそうだけど… mikiさんは平気なの?

     一応重ね着だけでもしてきたほうがよかったんじゃないかな」

[miki] 「じつはね、わたしもシャツの下には暖かいのを…」

[リン] 「もしかして、あたしたちと同じ、ユニ●ロの?」

[miki] 「同じのじゃつまんないでしょ! ちょっと違うの手に入れてんだな、これが」

[ミク] 「私が知ってるブランドのかなぁ」

[miki] 「有名どころも有名どころ 日本が誇るビッグブランド、しま●らよ!

     ヒートテックもビビる、暖かさ抜群のババシャツよ、ババシャツ!」

[ミク] 「それって… 確かに若い人にも人気はあるみたいだけどさ

     mikiさん、もうちょっと別の言い方しないと、イメージダウンになるかもよ」

[miki] 「しま●らのババシャツって言ったら、冬のマストアイテムでしょうが!」

 

 

[おれ] 「まぁ、mikiさんには名実ともにマッチしてるんじゃないですかね」

[miki] 「そうですよね! マスター、ファッションのこと案外わかってるんじゃないですか」

[リン] 「寮長… たぶんそれ褒められてるのとは違うからね」

[おれ] 「はい、大騒ぎしてるうちに到着しましたよ」

 

 

[ミク] 「3年ぶりに参加できました たまには連れてきてもらわないと」

[miki] 「わたしたちはついこの前来たばっかなんだけどね」

[リン] 「11月の終わりだから、2ヶ月半くらい前」

[ミク] 「そうだったの?」

[miki]  「そう! 去年は年末近くなってやっと運試ししたの 年明け行事なのに

     年末行事 12月のたった1ヶ月間の運占って、どうなるって言うんだか」

[おれ] 「シクシク」

[リン] 「でもさ ミク姉、ちょうど東京に戻ってきてるタイミングで、よかったね!」

[miki] 「そしてイアもいないから平穏! やっぱ、この形でやるのがベストだな!」

[おれ] 「後でおれがとばっちり食らうスタイルだけは、考えてくれませんかねぇシクシク」

 

 

[おれ] 「ちなみに、2時57分到着です」

[ミク] 「予定より8分早く着いたってことかな?」

[リン] 「出発が5分遅れで、8分早く着いたんだから、えーと」

[miki] 「13分短縮できたって意味だよね」

[おれ] 「誰もいませんし、とにかく素早く済ませるのがよろしいようです」

 

 

[ミク] 「うわぁ、シールずいぶん増えたんじゃない?」

[miki] 「3年ぶりに見ると、差がはっきりわかるんだろうね」

 

 

[ミク] 「どれが目立つかなぁ あ、このモンゴルっぽい人の、面白い!」

[リン] 「キラー・カーンさんのやつね」

[ミク] 「リンちゃん、知ってるの? 有名な人?」

[リン] 「元はプロレスやってた人だけど、タレントとしてテレビにもよく出てた

     残念だけど、去年の暮れに亡くなったんだよね」

[おれ] 「自分のお店で接客中に他界されたとか また昭和が遠くなりますねぇ」

[miki] 「あんまりマスターとリンちゃん乗せるようなの言わないほうがいいよ、ミク」

 

 

[おれ] 「誰も来ないうちに、済ませてしまいましょう」

[ミク] 「こんな時間にこんな山の中まで来る人なんているのかな」

[リン] 「それが、意外と来るんだよ」

 

 

 

●新年恒例運試し 始めます

 

[おれ] 「ルールはいつも通りです ミクさん、とりあえず説明を」

[ミク] 「大当たり引いたら大吉、中当たりだと中吉、ハズレは小吉…でしたね」

[リン] 「厳密には凶とか大凶もあるんだけどね」

 

 

[おれ] 「順番も確認してくださいね」

[リン] 「あたしが最初 次がミク姉で、最後は寮長ね」

[miki] 「リンリンはリーダー、ミクは前リーダー まあ納得の順番だな」

 

 

[おれ] 「2024年運試し まずはリンちゃんから」

[リン] 「今年は何が出るかなぁ」

 

 

[リン] 「出た!」

[ミク] 「…なんか珍しいの入ってるかな」

[miki] 「かき揚げだけしかないみたいだけど」

 

 

[おれ] 「リンちゃん小吉です」

[リン] 「えー!? なんでー!?」

[miki] 「ガチな運試しだから、文句はなしだよ、リンリン

     つーか、これってわたしに運が向いてくるってことかっ?」

 

 

[おれ] 「次、ミクさんお願いします」

[ミク] 「私、前回は大当たりだったんですよね ほら、3年前

     そういえば、景品があった気が… カバー曲歌える権利、でしたっけ?」

[おれ] 「はいはい、テンポよく進めましょうか」

 

 

[ミク] 「久々だと、なんか緊張しますね わ、出てきました」

[おれ] 「また大当たりだといいですね …今回は賞品設定は無しですが」

 

 

[おれ] 「ミクさんの結果が、こちら」

[ミク] 「あれ? かき揚げだけみたい」

 

 

[リン] 「ミク姉もハズレかぁ せっかく参加できたのにね」

[ミク] 「そんなにうまい話はないってことだよ また次に期待しようかな

     何年後になるかわかんないけどね」

 

 

[miki] 「よしよし、今日は来るぞこれ! 今日はわたしが主役だ!」

[リン] 「今ミク姉が言ったばっかじゃん そううまい話はないってさ」

 

 

[miki] 「どうだ!」

[リン] 「…なんも入ってないぞ」

 

 

[おれ] 「mikiさんもハズレでしたね」

[リン] 「今年もまたダメか… わたし、まだ大当たり引いたことない」

[ミク] 「でも、公平にやってるくじ引きだからね いつか当たるよ、絶対」

[miki] 「今年はうどんじゃなくてお蕎麦食べれたし、まぁいいかー」

 

 

 

 

●2024年運試し 結果発表

 

 リン…小吉

 ミク…小吉

 miki…小吉

 

[miki] 「くじ運なくて貧乏神で雨男なマスターが仕切ってる恒例行事だから、

     まあこういうことになるのも仕方ないって思っとこう」

[おれ] 「おれのせいにしとけばなんとでも理由が付けられると思ってませんか寮長シクシク」

 

 

[ミク] 「マスター たまには自分の運勢も占ってみたらいいんじゃないですか?」

[おれ] 「おれにも買ってみろというんですか?」

[miki] 「去年はマスターも引いたんだよ もちろん結果は言わずもがな…だったけどね」

[おれ] 「くじとか占いとか信じない人間なので、別にいいんですよシクシク」

[リン] 「でもさぁ、マスターまだ食べてないんだから、買ってみたら?」

[おれ] 「現実的には食ってるんですけどね…

     まあ食べられますから、今年も試すだけ試してみますか」

[miki] 「ラーメン? 当たり出にくいとか言ってませんでしたか?」

[おれ] 「くじとか占いとか信じないので、結果にそれほどこだわりは…」

 

 

[ミク] 「大きな玉子が入ってますね」

[リン] 「マスター、大当たりじゃん!」

[miki] 「なんとっ! まさかマスターだけが大吉って」

[おれ] 「これ、大当たりだとなんか賞品とかあるんでしょうか」

[miki] 「ブブーッ 今年は何も決めてないからダメです」

[ミク] 「『カバー曲歌う権利』とか、マスターもらって喜びますか?」

[リン] 「『マスターの旅について行ける』なんて、そもそも連れてく本人だし」

[おれ] 「おれがもらってどうするの…ってのばかりですね

     旅は当たりハズレ関係なく行くし、歌なんか頼まれても絶対歌いたくないです」

[miki] 「賞品なしでよかったじゃないですか」

 

 

 

●一休みします

 

帰り道の運転という重要任務が残ってます。体力を戻しておかなくてはいけません。

ちょっとだけ休むとしましょうか。

 

[ミク] 「久しぶりに来たから、ちょっと見学してこうかな

     これは前から置いてあったのだよね?」

[miki] 「値上げしたんだって あと、トースト2種類売ってたのが、今は1種類になった」

[ミク] 「へー」

 

 

[おれ] 「なにか食べたいの飲みたいのあったら、自由に買ってくださいね」

[miki] 「はーい!」

[ミク] 「これ、3年前にはなかったのだよ え、なんか珍しいの売ってるけど」

[miki] 「駄菓子とかパンとか、あと地元の焼き菓子みたいなのも入ってたよ」

[ミク] 「これって、珍しい機械じゃないのかな」

[miki] 「それが、マスターが言うにはそうでもないみたい なんでも売れるこういうのって、

     病院とか観光地の売店とかで菓子パンとか入れてたり、たくさん使われてるって」

 

 

[ミク] 「mikiさん、なんか詳しくなったんじゃない?」

[miki] 「毎年マスターに連れられてきてるんだから、これくらい覚えるわよ

     で、えーと あと最近変わったのっていうと…」

 

[おれ] 「…おや?」

[リン] 「マスター、今年もおつかれさま! これ、大当たりの賞品」

[おれ] 「リンちゃん もらっていいんですか? うれしいですねぇ」

 

 

[リン] 「あたしからの個人的な差し入れだからね、ミク姉と寮長には内緒だよ

     …あのねあのねっ、これの意味わかる? ちゃんとオチがあるやつだよ」

[おれ] 「前にやってましたよね 『バレンタインデーにリポビタンD』っての

     あれは1年で1日限定でしか使えないネタじゃないかと」

[リン] 「スマホで確認してよ 今日が何月何日か」

[おれ] 「あ、そうでした! 日が変わったから、今日がその日だったんですね」

[リン] 「今年こそできたよ! 『バレンタインデーに、リポビタンD』!!」

 

 

[リン] 「あー! 今ちょっとがっかりしたでしょー!!

    『バレンタインデーなのにこんなの1本しかくれないのかよ』とかっ!」

[おれ] 「文句なんか一言も言ってませんって 貰っておいてそんなの言えませんって」

[リン] 「あははー、慌ててるんだ! へーきへーき、何も怒ってないからね ただ…」

[おれ] 「ただ…? なんですかそれ?」

[リン] 「あたしも納得できないからさ… これは賞品兼ねた、ただのジョーク

     バレンタインデーに渡す本当のは、帰ってからこっそりあげるからね」

[おれ] 「うれしいけど、あんまり気を使わないでくださいよ」

[リン] 「言ったでしょ、あたしが納得できないんだって スルーできないことだから

     だからあとで… 二人の秘密だよ ばれないようにタイミング見計らって

     渡すから、ちょっと待っててよ♡」

[おれ] 「リンちゃん… ありがたいことですねぇシクシク」

[リン] 「じゃ、あたし帰りの飲み物見てくる! よろしくね、マスター」

 

 

[おれ] 「この手の栄養ドリンクなんて、たいした効果ないと思ってますが…

     今日のこれは、沁みますねぇ 体にというより、心に

     …て、おやおやミクさん どうしましたか?」

[ミク] 「mikiさん、何か食べるみたいです 私はもうおなかいっぱいだから

     そんなの飲んでたんですか? いつも買わないのに」

[おれ] 「そうなんですよ、リンちゃんが…

     じゃなかった、今日は疲れましたのでね 効果があるかもしれませんから」

[ミク] 「リンちゃんが、どうしたんですか?」

[おれ] 「りっリンちゃんが、疲れた時にはこういうの試してみたらどうかなって言うので

     助言に従って購入してみただけですよ」

[ミク] 「ふーん、そうなんですか」

[おれ] 「(あぶないあぶない、内緒にって約束だった)

     …ミクさんも疲れたのでは?」

[ミク] 「昨日夕方まで仕事でしたから、ちょっと疲れた気もしますけど…

     でも大丈夫 久し振りに運試ししに群馬まで来られて、よかったなって」

[おれ] 「日程的に偶然一致して、幸運でしたね」

 

 

[ミク] 「3年ぶりにこうやって一緒に来て、久々にいろんなもの見て感じて

     たったこれだけの時間だからそんなに変わってないなって思うと同時に、

     いろいろ変わったものもあることに気づいたりもして」

[おれ] 「17歳の感性を10年間にわたって体感しているミクさんですからね

     普通の高校生は気づけないいろんな体験をできるわけで」

[ミク] 「なにが変わったか、探してみるの面白いんですよ」

[おれ] 「で、今日気づいた一番の発見は何ですか? ミクさん」

[ミク] 「リンちゃん」

[おれ] 「え? リンちゃんがどうしたんです?」

[ミク] 「だから、リンちゃんですよ 前に会った時とずいぶん変わったなって」

[おれ] 「そうなんですか?」

[ミク] 「マスターは、気づきませんか?」

[おれ] 「毎日見ているから、目に見えるほどの変化を感じないんですかね」

 

 

[おれ] 「背丈はそんなに変わらないはず… ミクさんもそうでしょう

     向こうの時間が2010年になるまでは、体型も毎年リセットされるはずですから」

[ミク] 「身長はそんな変わらないですけど… 大人になりましたよね リンちゃんって」

[おれ] 「無邪気なのが彼女の良さで、雰囲気はさほど変わってないと思うんですが」

[ミク] 「あの子… きれいになったと思いません?」

[おれ] 「きれいに…ですか? いやいや、確かにかわいいし、美少女だと思いますけど」

[ミク] 「そういうリンちゃんらしさの中に、別な魅力が出てきたなって、感じるんです」

[おれ] 「ミクさんが言うんだから、そうなのかもしれませんが なぜでしょうね」

[ミク] 「私にはわからないけど… 意外とマスターの身近に理由があるかもしれませんよ」

[おれ] 「なんか意味深なこと言ってますね やめてくださいよ…よくわからないですが」

[ミク] 「混乱させちゃいました? ちょっとからかっただけですから でもね…

     なんかわかるんですよ 私も少しだけ大人になったのかもしれません」

[おれ] 「ミクさんリンちゃんがうちに来てもう16年… そりゃ確かに成長しますよね」

[ミク] 「ウチのチームの大切なリーダーだから…

     リンちゃんのこと頼みますね いろんな意味で」

[おれ] 「だから意味深なまとめ方はやめてくださいよーシクシク」

 

 

[ミク] 「それじゃ…私なにか飲み物買ってきます」

[リン] 「話終わったー? ムーッ、マスターってば、ミク姉とコソコソしてるんだからっ!

     なんの話してたのよ あー! 今日はバレンタインデーじゃん 意味深な…」

[おれ] 「リンちゃんまでややこしい話持ち出さないでくださいよ」

[リン] 「へへ、冗談に決まってるじゃん! 言ったよねー、3年前

     あたし、あんまり変な憶測とかしないことに決めたもん

     あたしはあたしの信じてることを守って、生きていくだけ」

[おれ] 「リンちゃん、確かに大人になりましたね それに…」

[リン] 「なになに? なんか褒めてくれるの? 喜ばせてくれるの?」

[おれ] 「そういうのは変わらないんですね そこがリンちゃんの良さなんですが」

[リン] 「そろそろ帰らないとだねー! ほら、起きたら大事な用事があるからさっ!」

 

 

[おれ] 「みんな、準備できましたか そろそろ撤収としますよ」

[miki] 「飲み物買ったよ お菓子も調達したし、帰り道の物資はばっちり」

 

 

[ミク] 「あれ? こんなのあったっけ?」

[リン] 「そうだ、これが一番新しいやつ 去年入ったばっかだよね、たぶん」

[ミク] 「ハンバーガーって書いてあるよ 本当?」

 

 

[おれ] 「昭和の時代にあちこちで見かけた自販機バーガーですが、

     最大手が撤退して一気に衰退、今はローカルメーカーが細々と続けているだけです」

[ミク] 「旅の途中で結構見ましたよね、ハンバーガーの販売機」

[おれ] 「古い自販機の置かれた店でよく見かけたのは、当時モノの元祖ハンバーガー自販機

     でもこれは全くの別物 飲料自販機と同様の冷蔵自販機で、現代の機体です」

[ミク] 「私にはよくわからないから、見分けがつかないけど」

[リン] 「昔のは中の電子レンジで温めてから出てくるけど、これは冷蔵庫みたいなやつ

     冷え冷えのが出てくるから、自分で電子レンジに入れて温めないといけないの」

[ミク] 「調理する仕組みがないってことね これでも食品の自販機なの?」

[おれ] 「扱ってるのは紛れもない食品ですが… 実態はさっき言った通り

     コールド専用の飲料自販機と同じで、冷蔵保管した品物を売るだけの仕組みです」

 

 

[miki] 「けっこう売れてるみたいだよ 売り切れてるのが多い」

[おれ] 「自分で温めるという点は従来の自販機ハンバーガーと異なりますが、

     品物自体はほぼ同等 肝心の中身は長野のメーカーが供給しています

     新事業を始めたんでしょうか、静岡とかでもポツリポツリと見かけるようです」

[リン] 「350円って、自販機だからしょうがない気もするけど、強気な値段だと思う」

[おれ] 「今のところは物珍しさで売れるんでしょうかね」

 

 

[miki] 「そういや、今日ってバレンタインデーじゃないの?

     マスター、何か買ってあげましょうか ほら、リポビタンDとか

     『バレンタインデーだからリポビタンD』って、これ結構冴えてませんか?」

[ミク] 「すごーい! よく思いついたね ダジャレになってる!」

[リン] 「ああ、偉い偉い すごいな寮長」

[miki] 「全然気持ちが入ってないぞリンリン! ホントに褒めてるのか、それ」

 

 

[miki] 「つーかさ 何気にミクってこういうところでいろいろ出てるんだよね

     いいよね、わたしと違ってたくさんお仕事の機会あって」

[ミク] 「初音ミクは初音ミクでも、これは私には無縁なお仕事だし

     私はもっと目立たない活動できてればいいの

     こういうのってスタークラスの子たちが担当してる領域で、私とは…」

[おれ] 「普通のファンの方々にはたぶん意味不明の説明ですよ、ミクさん」

 

 

[リン] 「どんな物事にも日の当たる場所とそうでない場所があるってことだよ

     両方が存在するからバランスが取れて、成り立つこともあるの

     だよね、マスター」

[おれ] 「大変結構なまとめ方です」

 

 

[おれ] 「滞在、わずか50分 目的が済んだからいいんですけどね」

[ミク] 「でも、移動時間は片道3時間くらいかかるんですよね 効率よくない気が」

[おれ] 「開催必須の恒例行事ゆえ、効率なんぞは二の次ですシクシク

     では、帰るとしましょうか」

[miki] 「来年もイアは連れてこなくていいな そうでしょ? マスター」

[おれ] 「いろいろ考えるのはいいけど、おれに決めさせないでくださいねガクガク」

 

 

[リン] 「ほらー! やっぱ寒かったじゃん! 全然温かくないし

     そよかぜさんはあてになるのに、誰かさんは全然あてにならないよ」

[miki] 「悪かったな! だって、天気予報で言ってたんだぞリンリン!」

[リン] 「知ってる? 最高気温と最低気温は15℃とか差があってもフツーなの

     しかも、ここ山の中だし 雪残ってるじゃんか」

 

 

[ミク] 「まあまあ! ほら、念のため用意したから震えなくて済んだし、よかったじゃない

     ヒートテックのおかげだよ ユニ●ロ様様ってことで」

[miki] 「なにをっ! ババシャツだって暖かいんだぞ しま●ら様様だっ!」

[リン] 「どっちでもいいよ、アホ毛ドロンパ」

[miki] 「もうすっかり忘れてたのに、こういうタイミングでその呼び名使うかぁ!?」

[おれ] 「あの… もう帰路に就いてよろしいでしょうかね、皆さんシクシク」

 

 

出発が遅くになりすぎたので、帰りの群馬発も明け方近くになり、

早朝の帰着が不可能になりました。朝の混雑時間帯に都会を走るのはキツイ。

…というわけで、途中仮眠しながら時間を潰して、昼過ぎにうちに着きました。

 

なんだかんだ難儀しましたけど、とりあえず今年の恒例のやつが無事終わったから、いいか。

くじ引きの内容的には面白くなかったけどな。まあ不正なしの公正な運試しですからね。

来年は、もうちょっと知恵を絞ってみます。来年も無事開催できたら、ですけどね。

 

1話に無理やりまとめた関係で超長文になってしまい、大変失礼いたしました。

それでは。

 

 

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   →「いいね!」代替手段について

 

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このブログの前身を遡っていくと、2008年頃に行きつきます。

 

元々VOCALOIDとは何も関係ないことを専門的にやっていのですが、

諸々の事情でそのジャンルにおける活動ができなくなってしまい、

日々の目標も何もなくなって絶望していたところ、VOCALOIDを知ったんです。

 

当時、従来の趣味に特化した専門ブログを運営していたのですが、

その場で頻繁にVOCALOIDの話を持ち込むようになっていきます。

結果、その場の仲間から猛反発を食らいました。

日本中で数名だけが極めていたマニアックなジャンルのブログ、その読者ですから

皆さん専門的な内容に惹かれてきてくださっていたわけで、

VOCALOIDなんて全然関係ない話題。畑違いもいいところです。

これは自分が悪かった。文字通り墓穴を掘ることになり、

エキスパートとも呼べる位置にいた趣味界から身を引くことになりました。

 

そんなわけで、現在は専門性とか世界観とかをとても大切に活動しています。

「りんりん通信」は、閑古鳥が鳴いていますけど、自分としては桃源郷です。

自分の場所を作り自分でルール化して人を迎える分には、来てくださる方は

最初からその辺りを承知してくれているわけですから、波風は起きません。

人気はなくても平和な状況は保てるので、細々と続けることができています。

 

少し前までVOCALOID専門のSNSにいたことがあります。

こちらは全員VOCALOIDに関わっていることを前提とした集まりでしたから、

基礎が固まっている分違う話を書いても平穏が保証されるという場所でした。

時々VOCALOIDを取りあげさえすれば、普段全然関係ないことを綴っても許されたのです。

こういう特殊な場も、あることはあります。しかし、全体から見ると極めて稀なんです。

 

ここ「りんりん通信」は、かなり特殊な方向性でやらせていただいてます。

半分リアル(しかもかなり詳細な情報)・半分空想(しかもかなり個人的妄想)という構成、

我々の世界とほぼ同じだけどちょっとだけ違う、パラレルワールド的な位置づけです。

変わり者過ぎてアクセス数も少ないですが、かつては結構大勢の仲間がいたのです。

当時のような盛んなやり取りを取り戻したいと思い、今なお方針を維持して続けています。

 

 

さて、前置きが長くなりました。この先は簡潔に書きます。

 

 

「りんりん通信」では現実のレポートと空想創作の二つの要素しか書かなかったのです。

二つの要素の狭間にある私個人のことについては、完全に伏せていた。

ブログ運用には必要ない部分でしたからね。

 

しかし、暮らしとか環境とか、そういう事情があって活動が成り立っている現実もある。

反対に、暮らしや環境が原因で、活動が滞っているという問題もある。

ブログではあえて分離してきたのだけど、個人的には意外と密接だったりします。

たまには私情とか身の上話もしたくなるんだけど、このブログでは愚痴るのもよろしくない。

 

ならば、ここの運用に影響のない形で、レポートとも創作とも無関係な話を書けないか。

ここ「りんりん通信」で私の分身として登場している「おれ」ではなくて、

その"中の人"の個人的ブログ。

 

 

「きむら@りんりん通信」という登場人物を演じる、運営者の本当の暮らし。

要は制作環境だったり日々の生活だったり、そういうところを

気心知れた方々だけには少しだけ知っていただくのもいいのかなと思い始めた次第。

自分も創作の中の存在ではなく、間違いなく現実世界で暮らしていますのでね。

その辺、別な場所を設けるのならちょっとだけ明かしても許されるのではと思うのです。

 

ここはリンちゃんやミクさんたちの人生を作る場所。

それ以外については話題にしたくてもできませんでした。

新しい場所では、創作作業の舞台裏とか内情だとか、お見せできるはずです。

そういうのを書ける場所がまた欲しくなった。

「りんりん通信」の世界観のために伏せてきた、本性を出せる場所を作ります。

 

 

「りんりん通信」のサイドストーリー(ただし現実世界限定の話として)的に書くものです

(あくまで運営企画室のご報告や裏話なので、原則としてVOCALOIDネタは出しません)。

私が私的なことを明かしてよいと思う方だけにご覧いただこうと考えています。

従いまして、新しいブログについては登録制でご覧いただくことに定めました。

新しいアメブロで「アメンバー」申請をいただいた方のみ閲覧可能とします。

冷やかしや迷惑行為の来訪者は拒否しますが、お仲間の申請は大歓迎です。

過去交友があった方々や、ここの読者様(やり取りさせていただいた人)については

原則として無条件で許可手続きいたします。

 

 

「舞台裏ブログ」については、不定期更新です。

ここ「りんりん通信」を優先しますから、手が空いた時たまに更新する程度です。

よろしければ新たなブログのほうで「アメンバー申請」してみてください。

 

 りんりん通信(および他複数ブログ)の運営報告記事公開場所

 → Forest Project とかいうとこの、時々運営報告 (ameblo.jp)

 

※蓋を開けてみたものの誰も来ない…という散々な結果も想定されますので、

 実際の更新開始はある程度反応を見させていただいてからといたします

 どなたもお見えにならないときは需要なしと判断し凍結することになります

 

 

それでは皆様よろしくお願いいたします。